日本経済の停滞の根底には、企業の「賃金を抑制して内部留保と海外投資へ」の経営方針が、家計のフローを圧迫していることがあります。消費主導の経済成長ができないので、企業部門の黒字を政府部門の赤字で埋め合わせて景気の失速を回避する構図が定着しています。*1
しかし、ストックでは家計部門は「カネ不足」とは言えません。バブル崩壊や金融危機後も、金融資産の対GDP比はそれ以前と変わらないペースで上昇を続けています。
政府負債の増加が家計資産の増加と対応しています。
アメリカでは、近年やや上昇したものの、日本のような長期的上昇トレンドは見られません。*2
日本は家計部門(の一部)に「消費よりも資産蓄積」の強い性向があることが、財政赤字の景気刺激効果を減殺していると考えられます。
財政出動するのであれば、消費性向が高い層にカネが届くようにするとともに、資産を積み上げる一方の層には、何らかのペナルティを科すことも一考に値するでしょう。