安倍首相の結論は正しい
サミットが終わった5月28日、安倍首相が2017年4月からの消費増税を2年半延期すると報道された。その前に、サミットで安倍首相が提出した資料が話題になった。
サミットの席で安倍首相はその資料を見せながら「リーマン級の世界的危機が再来するリスクがある」と言ったのだが、民進党はその資料の作成元を問題視し、国際機関でもそうした予想はなく消費増税の口実だ、と批判している。国内メディアやFT(フィナンシャル・タイムズ)、ルモンドなどの海外メディアでも、まるで民進党と同じような批判を展開する記事が出ている。
前提として、民進党も消費増税を見送る意向は一致している。だから、彼らが何を批判したいのかさっぱりわからない。民進党はアベノミクスの失敗というが、しかし、民進党が批判する安倍政権の金融緩和は、雇用の改善という結果を出している。
GDPの低迷は、民主党時代に成立した消費増税法のためである(3党合意があったので、自公の責任も免れないが)。今回の消費増税の先送りは、以下に示すように、やる場合とやらない場合のメリット・デメリットを合理的に判断した結果である。
経済政策を策定するにあたっての手順は、①目標を確認した上で、②現状認識を行って、③処方箋という順になる。
まず①であるが、マクロ経済政策の目標としては、一つはGDPを拡大させること、もう一つは雇用を改善することだ。GDPは今の状況、雇用は遅行指標なので前の状況を反映している。財政政策と金融政策を駆使して、これらの目標を達成することが、もっとも重要になる。
財政政策も金融政策も、どちらもGDP、雇用に影響を与えることができるが、財政政策はGDPに、金融政策は雇用によく効く。
では、どの程度を目指すかといえば、GDPについては、人もモノも十分に能力を発揮できるような潜在GDP水準にできるだけ近いことが望ましい。実際のGDPと潜在GDPとの乖離を「GDPギャップ」というが、これを解消するのが望ましい。
筆者はGDPギャップを速やかに解消することが政府の責務だ、とする法制度があってもいいと思っている。この観点から見れば、一部の財政学者のいう財政健全化法は経済にとって害悪になる可能性もある。
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