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「GeForce GTX 1070」レビュー。449ドルの「Founders Edition」は,GTX 970より低い消費電力で,GTX TITAN Xより速い
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印刷2016/05/30 07:00

レビュー

449ドルの「Founders Edition」は,GTX 970より低い消費電力で,GTX TITAN Xより速かった

GeForce GTX 1070
(GeForce GTX 1070 Founders Edition)

Text by 宮崎真一


GeForce GTX 1070 Founders Edition
GeForce GTX 1000
 2016年5月27日,高い絶対性能を備えながらも低消費電力動作を実現する新世代GPU「GeForce GTX 1080」(以下,GTX 1080)搭載グラフィックスカードの販売が始まった。ただ,高いクロックでの動作にフォーカスした設計となる特別版リファレンスデザインを採用するカード「Founders Edition」は,北米市場におけるメーカー想定売価が699ドル(約7万7100円,税別)のところ,国内での売り出し価格はざっくり税込10万円前後であり,価格を見て二の足を踏んだという人も多いのではないかと思う。

 その点,搭載グラフィックスカードが6月10日に発売と予告されている下位モデル「GeForce GTX 1070」(以下,GTX 1070)は,Founders Editionでも北米市場におけるメーカー想定売価が449ドル(約4万9500円,税別)であり,仮に「699ドルが税込10万円」というのと同じドル円相場を適用した場合,6万円台半ばから購入できる計算であり,少なくともハイエンドクラスとしてはずいぶんと手の届きやすい金額になる。

 では,GTX 1080の下位モデルは,どれだけの実力を持ち,上位モデルとはどれくらいの性能差があるのだろうか。4GamerではGTX 1070のFounders Editionを入手できたので,発売に先立って性能検証結果をお届けしたい。

入手したGTX 1070 Founders Editionの製品ボックス。GTX 1080 Founders Editionのそれと同じデザインだった
GeForce GTX 1000 GeForce GTX 1000


GP104のフルスペックでGPCを丸ごと1基削減。グラフィックスメモリには8000MHz相当のGDDR5を採用


GTX 1070 GPU。チップ上の刻印は「GP104-200-A1」だった。入手したGPUチップには「QUAL SAMPLE」という刻印もあるので,製品化直前の性能評価用エンジニアリングサンプル(=性能は最終製品版と同じとされるサンプル)
GeForce GTX 1000
 GTX 1070が採用するGPUコアは「GP104-200」。GTX 1080の「GP104-400」と同じく,Pascalアーキテクチャに基づいて,TSMCの16nm FinFETプロセス技術を用いて製造されるプロセッサだ。

 シェーダプロセッサ「CUDA Core」32基をひとかたまりとして,8基のロード/ストアユニットと8基の超越関数ユニット,1基の「Warp Scheduler」(スケジューラ),2基の命令実行ユニットなどと組み合わせて1ブロックとし,これを4基まとめたうえでジオメトリエンジン「PolyMorph Engine 4.0」とL1キャッシュ,8基のテクスチャユニットなどとセットで演算ユニット「Streaming Multiprocessor」(以下,SM)を構成する仕様は,上位モデルと完全に同じ。もちろん,5基のSMごとに1基のラスタライザ「Raster Engine」を与えてミニGPU的な「Graphics Processing Cluster」(以下,GPC)とする点も変化はない。

 では何が違うのかというと,GP104のフルスペックとなるGTX 1080ではGPCが4基なのに対し,GTX 1070ではGPCがまるまる1基削減された3基となっている。SM数は5基減って15基となるので,総シェーダプロセッサ数は1920基(32×4×53)という計算だ。
 L2キャッシュ容量は上位モデルと同じ2GB。ROPユニットも同じく64基である。

GTX 1070のブロック図(※一例)。こんな感じでGPCが1基無効化され,GTX 1080比で75%の規模となっている
GeForce GTX 1000

 フルスペックから一部を削った「7」系と聞くと,「GeForce GTX 970」(以下,GTX 970)の「グラフィックスメモリ3.5GB問題」を連想する読者がいるかもしれないが,CUDAの開発キットに付属する,CUDAデバイスの能力を調べるためのツール「DeviceQueryDrv.exe」を実行してみても,L2キャッシュ容量とROPユニット数はGTX 1080と同じだった。

DeviceQueryDrv.exe実行結果。L2キャッシュ容量は2097152bytes(=2048KB)と報告されている
GeForce GTX 1000

Precision X OCでブースト最大クロックを確認したところ
GeForce GTX 1000
 動作クロックはベース1506MHz,ブースト1683MHz。GTX 1080と比べると順に101MHz,50MHz低い。ただ,それでも第2世代Maxwellのハイエンド向けGPUでもとくにリファレンスの動作クロックが高い「GeForce GTX 980」(以下,GTX 980)と比べると順に380MHz,467MHzも上回るので,GTX 1070も「動作クロックの高いGP104」らしい製品であると言える。
 なお,後述するテスト環境で確認したところ,EVGA製のオーバークロックユーティリティ「Precision X OC」(Version Reviewer 4)で,コアクロックは1822MHzまで上昇した。

NVIDIAコントロールパネルの「システム情報」を開くと,搭載するグラフィックスメモリが合計容量8GBで動作クロック8008MHz相当のGDDR5と確認できる。入手したGTX 1070 Founders EditionではSamsung Electronicsの「K4G80325FB-HC25」(8Gbit,0.25ns品)を搭載するので,チップレベルのクロックマージンはないことになる
GeForce GTX 1000
GeForce GTX 1000
 さて,GTX 1070におけるGTX 1080からの重要な変更点としては,グラフィックスメモリがGDDR5Xではなく従来どおりのGDDR5であることが挙げられる。GTX 1080はGDDR5Xの採用で10GHz相当という高いデータレートを実現しているわけだが,GTX 1070は,GeForceとして初採用となる8008MHz相当(実クロック2002MHz)のGDDR5メモリを組み合わせ,256bitメモリインタフェースで約256GB/sのバス帯域幅を確保する仕様となっている。
 GTX 1080の持つ約320GB/sの帯域幅と比べると8割に留まる帯域幅が,とくに高いグラフィックス負荷設定時にどういう結果をもたらすかは,後段における注目の要素となるだろう。

 そんなGTX 1070の主なスペックを,ここまで名前が挙がったGTX 1080とGTX 980,GTX 970のほか,第2世代Maxwellのトップエンドモデル「GeForce GTX TITAN X」およびその下位モデル「GeForce GTX 980 Ti」,そして,競合の最上位モデルとなる「Radeon R9 Fury X」と比較したものが表1である。



カード自体はGTX 1080 Founders Editionとほぼ見分けが付かないが,電源部の規模は小さく


カード長は実測約267mm(※突起部除く)
GeForce GTX 1000
 GTX 1070の仕様を確認したところで,入手したGTX 1070 Founders Editionを見ていこう。
 カード長は実測で約267mm(※突起部除く)で,これはGTX 1080 Founders Editionとまったく同じ。2スロット仕様で,ポリゴンをイメージした三角形の凹凸が目を引く外排気型クーラーのデザイン,そして8ピン×1という補助電源コネクタの仕様も変わっていないので,「GTX 1070」というGPU型番の彫り込みがなければ,GTX 1080 Founders Editionと見分けが付かない。

GPUクーラーの表側と背面側にそれぞれ「GTX 1070」の彫り込みがあり,これがGTX 1080 Founders Editionと見分ける手立てになっている
GeForce GTX 1000 GeForce GTX 1000
補助電源コネクタは8ピン×1で,外部出力インタフェースはDisplayPort 1.4×3,HDMI 2.0b(Type A)×1,Dual-Link DVI-D×1で,ここもGTX 1080 Founders Editionと同じ。コネクタ仕様では見分けられない
GeForce GTX 1000 GeForce GTX 1000
デュアルレーン化を果たし,動作クロック650MHzでデータ転送が可能なSLIブリッジコネクタ「SLI HB Bridge」に対応する点と,カードが隣り合った並びでSLI動作させるとき,ファンに向けたエアフローを確保すべく,カード背面側補強板の半分を簡単に取り外せるようになっている点もGTX 1080と共通だ
GeForce GTX 1000 GeForce GTX 1000

GeForce GTX 1000
 GPUクーラーを取り外して基板を確認してみると,GPUクーラー,そして基板デザインもGTX 1080と極めてよく似ている。
 もっとも厳正を期せば,GPUクーラーでGPUの熱を受ける部分が,GTX 1080 Founders EditionだとVapor Chamber(ヴェイパーチャンバー)なのが,GTX 1070 Founders Editionでは銅製ヒートシンクになっているので,クーラーのコストは下がっているはずだ。

GPUクーラーを取り外したところで,GTX 1070 Founders Edition(左)とGTX 1080 Founders Edition(右)を比較。GPUの熱を受ける部分が変わっている。NVIDIAによると,GTX 1070では銅製ヒートシンクと3本のヒートパイプという構造になっているようだ
GeForce GTX 1000 GeForce GTX 1000

 また,電源のフェーズ数がGTX 1080の5+1から4+1へと,GPUの規模に合わせて小さくなり,それに合わせていくつかの部材が省かれている。基板自体は瓜二つにも見えるのだが,よく確認してみると,PCI Express x16スロット近くで確認できる型番らしき表記が異なっていた。GTX 1080の「180-1G413-DAAA-A00」に対してGTX 1070だと「180-1G411-DFAAA-A01」といった具合だ。
 たとえばレイヤー数など,基板レベルのコストダウンが入っているかどうかまでは何とも言えないが,「上位モデルと似て非なる基板」をGTX 1070 Founders Editionが採用している可能性は高いと筆者は見ている。

ここでも左がGTX 1070 Founders Edition,右がGTX 1080 Founders Edition。ぱっと見は部材の数が減っているだけという印象だが,基板の型番と思われる文字列も微妙に異なっているので,流用ではないように思われる
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同じFounders Editionということで,電源部の部材自体は変わっていないようだ。On Semiconductor製のDual MOSFET「4C85N」や,GPU用電源フェーズでコイルあたり2個採用する「470」刻印入りコンデンサ,メモリ用電源フェーズで採用する4連の「330」刻印入りコンデンサ,基板背面に搭載するデジタルPWMコントローラと思われるチップ「μP9511P」は,GTX 1080 Founders Editionは完全に同じだった
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GTX 1080のほか,GTX 970以上の従来世代モデル,R9 Fury Xと比較。DX12のテストも


 今回,GTX 1070のテスト対象としては,先の表1でその名を挙げたGPUを用意した。GTX 970だけは,リファレンスカードを用意できなかったが,代わりに用意したPalit Microsystems製カード「NE5X970014G2-2041F」は,リファレンスクロックが設定され,かつリファレンスカードと同じ外排気仕様を採用するカードなので,リファレンスデザインに準じたスコアが出ると考えている。

 テストに用いたグラフィックスドライバは,GeForce用が,NVIDIAから全世界のレビュワーに配布された「GeForce 368.19 Driver」。一般向けにはより新しい「GeForce 368.22 Driver」と「GeForce 368.25 Driver」がリリースされているが,GeForce Driverの場合,新しいリリース番号のドライバはそれより古いリリースの修正内容を含むため,「一般向けと同じレベルの最適化が入ったリリース」という理解でいいだろう。
 対するRadeonでは,テスト開始時点の最新版となる「Radeon Software Crimson Editon 16.5.3 Hotfix」だ。

 そのほかテスト環境は表2のとおりで,採用するグラフィックスカードとドライババージョン以外はGTX 1080のレビュー時と変わらない。


 テスト内容は基本的に4Gamerのベンチマークレギュレーション18.0準拠。ただし,GTX 1080のときと同様に,DirectX 12タイトルを前にした性能を探るべく,「Ashes of the Singularity」(以下,AotS)のテストも追加した。
 AotSのテストでは,グラフィックス設定プリセット「Standard」あるいは「Extreme」を選択したうえで,ゲーム側に用意されたベンチマークモードを用いる。これもGTX 1080のレビュー時と変わらない。

 テスト解像度は,GTX 1070がハイエンド市場向けということもあり,3840×2160ドットと,16:9アスペクトでその一段下となる2560×1440ドットを選択している。

 あと,これはいつもどおりだが,CPU「Core i7-6700K」の自動クロックアップ機能「Intel Turbo Boost Technology」は,テスト状況によって挙動が変わる可能性を排除すべく,マザーボードのUEFI(≒BIOS)から無効化してあるので,こちらもご了承のほどを。


メモリバス帯域幅の狭さが露見する場面もあるが,基本的には「GTX TITAN X以上」と言える結果に


 今回掲載するグラフは,一番上にGTX 1070を置き,その下にそれ以外のGeForceを型番順で並べ,一番下にR9 Fury Xという並びにしているが,いずれもグラフ画像をクリックすると,より描画負荷の高いテスト条件におけるスコア基準で並び替えたものを表示するようにしてあるので,見やすいほうで比較してほしいとお伝えしつつ,テスト結果を順に見ていこう。

 グラフ1は,「3DMark」(Version 2.0.2067)の総合スコアをまとめたものだが,GTX 1070はGTX 1080の82〜83%程度という結果になった。GPUの規模と動作クロックの違いから,両者のスコア差はもう少し開くと考えていたのだが,GTX 1070は存外踏ん張っている印象だ。

 また,1〜4%程度というわずかな違いではあるものの,GTX 1070がGTX TITAN X,つまり第2世代Maxwellの最上位モデルを上回っている点にも注目しておきたい。付け加えると,置き換え対象となるGTX 970に対しては50〜55%程度という,圧倒的なスコア差を付けている。

GeForce GTX 1000

 実際のゲームタイトルにおける傾向はどうだろう。グラフ2.3は「Far Cry Primal」のテスト結果となる。
 ここでGTX 1070のスコアは対GTX 1080で79〜81%程度と,3DMarkから若干開いた。また,GTX TITAN Xと比べた場合,相対的にはGPUコア性能勝負となる「ノーマル」でGTX TITAN Xの89〜99%程度と置いて行かれる一方,メモリ性能がスコアを大きく左右する「最高設定」で109〜110%程度と逆転を果たしているのが目を引くところだ。
 数字上のスペックだけなら,メモリバス帯域幅はGTX 1070の256GB/sに対してGTX TITAN Xは336.5GB/sと勝ち目がないだけに,ここはPascalアーキテクチャで大幅な改善の入ったメモリ圧縮技術が奏功したと見てよさそうである。

GeForce GTX 1000
GeForce GTX 1000

 続いてグラフ4,5は「ARK: Survival Evolved」(以下,ARK)のスコアをまとめたものとなる。

 ARKにおいて,GTX 1070はGTX 1080の78〜91%程度のスコアを示した。4条件を見てみると,3840×2160ドットで上位モデルとのギャップを詰めているのだが,正直,その理由は分からない。「Low」の2560×1440ドットでは相対的なCPUボトルネックが生じた可能性もあると思うが,「High」ではシェーダプロセッサ数よりも動作クロックがスコアに影響を及ぼしやすくなったのだろうか?
 3840×2160ドットで,GTX TITAN Xに対して20%高いスコアを示している点や,GTX 980,GTX 970あたりを子供扱いしている点にも注目しておきたい。

GeForce GTX 1000
GeForce GTX 1000

 グラフ6.7は「Tom Clancy’s The Division」(以下,The Division)のテスト結果だが,ここでGTX 1070はGTX 1080の82〜85%程度。3DMarkと似た傾向だ。
 記憶力のいい読者は,GTX 1080のレビュー時と比べて全体的にスコアが下がっていることに気づいたかもしれないが,これは,当該テスト時と今回のテストの間にThe Divisionのバージョンが上がって1.2に変わったのが直接の原因だろう。バージョンアップ告知に,ゲームエンジンやベンチマークモードに関する明確な言及はないのだが,何らかの変更が入ったことで,3840×2160ドットでGTX 1080とR9 Fury Xのスコアが縮まり,いきおい,GTX 1070がR9 Fury Xの94〜96%程度というスコアにつながったのだと考えている。

GeForce GTX 1000
GeForce GTX 1000

 「Fallout 4」は,とくに「ウルトラ」プリセットでグラフィックスメモリへかかる負荷が非常に大きくなるのだが,グラフ8,9を見ると,果たしてGTX 1070は,対GTX 1080のスコアが2560×1440ドットで91〜95%のスコアを示せているのに対し,3840×2160ドットでは82〜86%程度と,目に見えて引き離されているのが分かる。
 ただ,対GTX TITAN Xでは解像度を問わず104〜106%程度と,高クロック化したGDDR5と新しいメモリ圧縮技術効果で踏ん張っている。同じ256bitメモリインタフェースを採用するGTX 980に対しては27〜39%程度,GTX 970に対しては38〜55%程度高いスコアというのも立派だ。

GeForce GTX 1000
GeForce GTX 1000

 「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」(以下,FFXIV蒼天のイシュガルド ベンチ)の結果がグラフ10,11である。
 「標準品質(デスクトップPC)」の2560×1440ドットではスコアの頭打ちが近いのか,上位陣のスコアが丸まり気味だが,それ以外を見てみると,GTX 1080が図抜けたスコアで,GTX 1070は,GTX TITAN XとGTX 980 Ti,R9 Fury Xと構成する第2グループのトップランナーになっている。
 「最高品質」の2560×1440ドットにおいて,ベンチマークレギュレーションがハイエンドGPUにおける理想のラインといえる平均80fpsを超えてきた点も押さえておきたい。

GeForce GTX 1000
GeForce GTX 1000

 グラフ10’,11’は,そのFFXIV蒼天のイシュガルド ベンチを平均フレームレートで見たものとなる。最高品質の2560×1440ドットでGTX 1070が80fpsオーバーというのはなかなか興味深い。

GeForce GTX 1000
GeForce GTX 1000

 「Project CARS」の結果をまとめたグラフ12,13だと,GTX 1070はテストした全条件でGTX 1080に次ぐ2番手の位置を確保した。スコア自体は81〜95%程度,かつ3840×2160ドットではスコア差が開くので,Fallout 4に近い傾向といえるかもしれない。「高負荷設定」の3840×2160ドットで,4Gamerのベンチマークレギュレーション18.0が合格ラインとする平均60fpsにあと一歩に迫っている点も評価できよう。

GeForce GTX 1000
GeForce GTX 1000

 グラフ14,15はAotSの結果だ。ここでGTX 1070はGTX 1080の82〜84%程度,GTX TITAN Xの113〜116%程度と,GeForce同士の比較ではおおむね妥当なスコアに落ち着いたが,一方でR9 Fury Xに対しては89〜94%程度と,明確に置いて行かれてしまった。

GeForce GTX 1000
GeForce GTX 1000

 GP104では,グラフィックス描画のスレッドとGPGPUスレッドの発行を並列に仕掛けた場合,その実行スレッドの切り換えを100μs未満で行うことができるようになり,この効率改善によって,Async Computeをサポートしていないことのデメリットは克服できるというのがNVIDIAの言い分だ。GTX 1080のレビューで筆者は,「GPUのポテンシャルだけで押し切っているように見える」と指摘したが,それを踏まえて今回の結果を見ると,従来比で高い動作クロックを持ってしても何とかなっていない印象を受ける。
 DirectX 12タイトルのサンプルが1つなので,断言まではできないが,ひょっとするとこの部分は,Pascal世代においてもGeForceの泣きどころとなるかもしれない。


GTX 970をも下回る消費電力! ワット性能の高さにまた驚く


 上位モデルと同じく8ピン×1の電源供給が必要となる一方,TDP(Thermal Design Power,熱設計消費電力)は150Wと,上位モデルから30W低いGTX 1070。その実際の消費電力はどの程度なのだろうか。
 今回も,ログの取得が可能なワットチェッカー「Watts up? PRO」を利用して,システム全体での消費電力を測定,比較してみよう。

 テストにあたっては,ゲームでの利用を想定し,ディスプレイ出力が無効化されないよう指定したうえで,OSの起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークを実行したとき,最も高い消費電力値を記録した時点を,タイトルごとの実行時とした。

 その結果はグラフ16のとおり。
 アイドル時のスコアはGTX 1080と同じで,第2世代Maxwellと比べると数W低いといったところだが,より注目したいのはアプリケーション実行時だ。GTX 1070はGTX 1080と比べると41〜55Wと,TDPの値を大きく超えた消費電力低減を実現している。
 このスコアは,「GM200」コアのGTX TITAN X&GTX 980 Tiより85〜124W,「Fiji」コアのR9 Fury Xより105〜161W低い。直接の置き換え対象となるGTX 970と比べた場合,DirectX 12タイトルであるAotSだけは,Pascal世代で入った実行スレッドの切り替え効率改善効果か6W高いが,DirectX 11タイトルでは18〜41W低いわけで,消費電力あたりの性能は,GTX 1080に引き続き,GTX 1070も尋常ではないということになるだろう。

GeForce GTX 1000

 最後に,GTX 1070 Founders Editionが搭載する外排気GPUクーラーの冷却能力を見てみたい。ここでは,3DMarkの30分間連続実行時を「高負荷時」として,アイドル時ともども,TechPowerUp製のGPU情報表示ツール「GPU-Z」(Version 0.8.8)から温度を取得。その結果をグラフ17にまとめた次第だ。
 なお,テスト時の室温は24℃。システムはPCケースに組み込まず,いわゆるバラック状態に置いたときのスコアとなる。

 GPUごとに,温度センサーの位置も温度の制御法,GPUクーラーすら異なるため,横並びの比較に意味はない。その点はくれぐれも注意してほしいが,アイドル時のスコアに違いはほとんどなく,おおむね横並びとなった。また,基本的にリファレンスクーラーを採用することもあり,高負荷時の温度もおおむね横並びだ。このあたりは,「いつもどおりの温度制御」が入っているという理解でいい。
 GPU温度をより下げて運用したい場合は,いずれ登場する,グラフィックスカードメーカー各社のオリジナルクーラー搭載モデルを待つことになるはずである。


 なお,筆者の主観であること断ったうえで,GTX 1070のGPUクーラーの動作音を述べると,GTX 1080とまったく変わらない印象を受けた。つまり,静音性に優れるとは言えないが,うるさくて堪えられないほどでもないということだ。


GTX 1080以上に人気が出そうなGPU。安価な選択肢が出揃うことに期待


GeForce GTX 1000
 ベンチマークテスト考察の段でも述べたが,GTX 1070の性能がここまで高いとは思っていなかったというのが正直なところで,テストを終えた感想としては,いい意味で裏切られたという思いが強い。「せいぜいリファレンススペックのGTX 980 Tiと同程度で,カードメーカー各社のクロックアップ版と比べると落ちる」くらいのイメージでいたが,今回の成績を見る限り,クロックアップ版ともいい勝負ができそうだ。
 しかもそれで,消費電力はGTX 980 Tiからざっくり100Wは低い。ここに大きな魅力を感じる人も多いだろう。

 GTX 1070 Founders Editionの北米市場におけるメーカー想定売価は449ドル(税別)。冒頭でもお伝えしたとおり,仮にGTX 1080 Founders Editionと同じ計算式が適用された場合,国内の売り出し価格は税込で6万円台半ばになると思われるが,シリーズ2番手ということを考えると,この金額の評価は分かれるのではないかと思う。
 その意味では,379ドルという,非Founders Editionの北米市場におけるメーカー想定売価が反映された5万円台半ばの製品が出てくると,一気に人気が高まるのではなかろうか。

 GTX 1070カードが5万円台半ばまで下がると,GeForce GTX 900シリーズをパスして,「GeForce GTX 680」「GeForce GTX 780」あたりで頑張ってきた人にとって,とくに魅力的なアップグレードパスとなってくるはずだ。

GeForce GTX 1000

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