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Truce for
躊躇せずブラウは踏み出す。
一瞬でも迷えばその隙は確実に自らを滅ぼすとわかっているから。
わずか数歩で翼竜の眼前まで肉薄し、脚を鞭のようにしならせた蹴撃を鼻先に叩き込んだ。
「硬ったいなぁ!!」
義脚を伝わって返ってきた感触に思わず顔が歪む。
小型のバス程もある巨体にこの程度の蹴りでは蟷螂の斧よりも心許ない。
そう判断したブラウは翼竜の額を蹴り、反動で距離を取る。
続くのは断続的な発砲音。
ナグトは見る限り最も防御力に乏しそうな翼膜に高濃度のダスト弾を撃ち込む。
着弾点に紫色の閃光と爆煙が起こるが、だがしかし。
「たじろぎすらしないのか。まさしく化け物だな」
翼竜は声ひとつ上げず4人を睥睨する。
ゆったりと体を揺らし、じっくりと目の前に立ち尽くす敵を観察している。いや、この翼竜からすれば4人は敵ですらなくただの獲物と映っているのかもしれないが。
先ほどまでの絶叫が嘘のようだ。
「新種にしては進化が進みすぎてる。知能も低くはないみたいなんだがよ、こいつ一体何年生きてんだ」
ズヴァートがアタッシュケースを開け放つ。
中に収まっていたのは12個の細長い金属質な光を放つ円柱。
それは黒いオーラの燐光を漏らしながらふわりと浮き上がりブラウの周囲を漂う。
「ロス、合わせろ」
ズヴァートに言われ、ロスは黙って頷き拳を固める。
「ムドプカンの動きを待て。先手を取ったって有効打がねぇんじゃ意味がねぇからな」
「ムド……なんだって?姐さんなんだそりゃ」
「こいつの名前だよ、あたしが今決めた。なんだよ文句あるか?」
ズヴァートに睨まれ、ロスは苦笑を返した。
ムドプカンが動く。
一度全身を大きく震わせたかと思うとその口を顎が外れんばかりに大きく開く。
「来るぞ!」
ズヴァートの声に一瞬遅れてそれは飛来した。
30センチメートルほどもある巨大な針。数にして二桁以上。
ムドプカンの喉奥から弾丸のような勢いで、さながらフレシェット弾の如くズヴァートとロスめがけて針が撒き散らされる。
2人は迷わず回避。
左右でも後退でもなく、針の雨をくぐり抜けるようにして前へと出る。
「オラァ!」
怒号一閃、ロスはオーラを纏わせた右腕でムドプカンの顎をアッパーカットで打ち上げる。
その威力は凄まじく、ブラウの蹴撃にも、ナグトの射撃にも身じろぎ一つしなかった翼竜の顎を跳ね上げた。
だが堅牢な外骨格に守られた頭。ムドプカンは苛立たしそうな声を上げるだけでダメージには程遠い。
「ナイスアシストだ」
跳ね上がった頭の奥。人間で言えば喉仏あたりだろうか、そこにズヴァートは狙いを定めた。
「ヒオットスヌック。味わってみるかい」
ズヴァートの周りを漂っていた全ての金属筒が変形する。
側面にスリットのようなものが開き、高速回転を始めた金属筒を黒い、そこの空間が消失したのかと見紛うほどに真っ黒なオーラが包んだ。
そのオーラは回転筒を軸に細長く伸びてゆき、それはまるで黒曜石でできた投擲槍に似ている。
そして槍はその12本全て狙いを違えずムドプカンの喉を突き破らんと襲いかかる。
金属同士がこすれあうような削音が響いた。
「ダメだ!通ってねぇ!!」
ズヴァートは吐き捨て、ヒオットスヌックを槍形態のまま自らの近くまで戻す。
繰り返される攻撃、しかしこの巨体の前には攻撃とすら認識されていないのだろう。
もしかしたら自分の周りでなにかうるさいことがされている、程度にしか感じていないのかもしれない。
その証左とでも言うようにムドプカンは翼を大きくはためかせ宙へと浮かび上がった。
その動きを見て4人は反撃に備える、が。
「逃げる!?いや違う!こいつわたし達を無視して街に行くつもりだ!」
ブラウの言うとおり、ムドプカンの首は市街地の方へと向いていた。
「不味い、追撃不能な高度まで上がられてはどうしようもない!」
そう言いながらナグトが引き金を引く。
連続する発砲音と着弾の光。
しかしムドプカンは堕ちない。
「隊長!打ち上げてくれ!」
ロスはそう言いながらブラウへと駆け寄った。
「おっけい!おもいっきり行くから気をつけてね!」
ロスがブラウの真上へと飛び上がる。
その下でブラウは倒立すると一度大きく身を縮めて、
「よいっしょぉー!」
オーラを込めた両の脚で思い切りロスの足裏を蹴り上げる。
彼の体が打ち上がった。
今まさに飛びたたんとしていた翼竜よりも高く。
両腕の砲口から桃色の砲炎を散らしながら軌道修正、同時にムドプカンの動きを見る。
「どこだ……羽撃きの起点は、膂力のウィークポイントは……」
上から見下ろして改めて分かる、自らが今敵としているものの圧倒的な巨体。
一つ羽撃きを下ろすたびにムドプカンの全身の鱗が蠢き、翼の付け根の筋肉が波の様にうねる。
黒黒としたその体には幾度見なおしても弱点などなく、野生の暴力の前に人の叡智など気休めにもならないという現実を見せつけるようだった。
だが、ここで逃せば。
「オーラの消費とか燃費とか考えてる暇はない!ココで空になっても構わない!」
ロスは叫び、両腕に全力を込める。
テゲナーヴァルクラップの許容量を超えるオーラの奔流。
ロスの両腕の血管が奇妙に膨らみ、ついには血が噴き出す。
両腕に有刺鉄線を巻きつけられたような痛みをこらえながらロスはムドプカンの背中に着地、そして間髪いれず右翼の付け根に手をかけた。
「刃が通らなくても、弾が刺さらなくても、単純な膂力で負けるわけにはいかねぇんだよぉっ!!」
腰を落とし、全身から大量の汗を吹き出しながら翼をロックする。
まともに考えれば止まるはずがない。膂力というものは得てして体の大きさに比例する。
2メートルもないロスの体と、5メートルはあろうかというムドプカンでは膂力の差は圧倒的のはずだ。
だが。
この戦闘で初めてムドプカンは感じた。
明確に邪魔をされているという、自らの行動を阻害するに足りうるという敵としての認識。
体躯の容量差、現実的な筋量、膂力で負けるはずはないという事実にわずかばかりではあるが傷が走る。
右翼がうまく動かない苛立ちにムドプカンは声を一つ上げると思い切り羽撃きを強めた。
だが、右翼が動かない。
「思ったより……パワーはないみたいだな、お前……」
ロスは翼竜の背の上で口角を上げる。
実際のところ笑う余裕などない。
過料に供給したオーラの影響で両腕の血管は不規則に拍動し、両腕の大部分を占めるテゲナーヴァルクラップも嫌な音を立てていた。骨もどうにかなっているかもしれない。
だが、離さない。
そしてムドプカンの巨躯が、傾く。
揚力を失った体は左翼だけであがくように空をかき回しながら地面に叩きつけられる。
その衝撃で舗装された道路は陥没し、地震のような嫌な揺れが起こった。
全身の膂力にオーラを回していたロスは着地の衝撃に耐えられず、不自然な体勢で地面に転がり落ちる。
「見たか化け物。あんまり舐めるなよ……」
震える脚で立ち上がり、血の滴る腕でロスはムドプカンに指をつきつける。
満身創痍のロスとは対照的に、高度にして7メートルは超えるであろう高さから叩きつけられたにもかかわらず、翼竜は何事もなかったかのように立ち上がった。
「ロス!離れて!」
ブラウの警告。だが反応は間に合わない。
ムドプカンはロスを怒りの篭った眼で睨みつけたあと、その体を大きく振り回した。
丸太のような尾がロスの脇腹を捉える。
声も上げられなかった。
体の中で何かが割れたような音と、焼きごてを体内に埋め込まれたかのような激痛。
腹部に嫌な感覚が広がり、胃の内容物が食道を駆け登る。
バッティングのボールの如くロスの体はあっけなく吹き飛ばされ、廃工場と道路を区切る金網フェンスに突き刺さった。
なおも追い討たんとムドプカンはロスに歩み寄る。
歪む視界と耳鳴りの止まない頭で彼は巨体を見上げる。
抵抗をしようと体に力を込めても痛みがそれを許さない。オーラももう残りカス程度しか残っていない。
ブラウ達に助けを求めようにも距離が離れてしまっている。
「コレは……さすがに、負けた……かな」
声にならない声でつぶやいた。
ムドプカンとの距離はもう3メートルもない。
翼竜の口が大きく開く。
放たれるのはあの針の暴風だろう。防御も回避も間に合わないのであれば、もはや打つ手はない。
純然たる死の気配に、ロスは覚悟を固める。
ムドプカンの喉奥が白く光った。
そっと、ロスは目を閉じる。
そして響く轟音と、白く光る無数の小さな針の暴風。
「死ぬには速いんじゃない?おにーさん。その首はボクが予約済みなんだからさ」
どこかで聞いた声に、ロスは思わず眼を見開いた。
自分とムドプカンの間に誰かがいる。
視覚がぼやけていてよくわからないが、見覚えのある姿だった。
小柄な体に、似つかわしくないほどの長く大きな一本槍。
深い黄緑色のサイドテールに純白の制服。
人懐こそうな笑顔と声。
「ヤ、ナギ?」
「ボクだけじゃないよ」
ヤナギがそう言って指差す方向。
こちらに背を向けて、ムドプカンの暴風に向かって立つ男の姿。
巨大な盾にツーブロックのヘア。
「や、どうも。先行チームとの連絡途絶って聞いてな?あわてて来たわ、まさか君らだとは思わんかったけれど。間に合ってよかったで」
アサギは翼竜の咆哮をその盾で受け止めていた。
敵として戦ったあの盾が、今は自らを守っているという状況に驚きを隠せないが、だが。
安心感がある。
あの盾の防護性能をロスはよく知っているから。
あの盾が、ムドプカンの咆哮すら受け止めるその光景は心強さがあった。
「あらぁ、ひっどい怪我。立てる?運んであげようかしら?」
ロスの隣からハスキーな声がする。
スラリと背が高い黄色のド派手なアシンメトリーヘアに大きなリングピアス。小脇には巨大な工具箱を抱えていた。
「援護の遅れをお詫びします。そして翼竜の足止めに感謝を申します」
オミナエとは反対側の隣。
赤錆色の一本おさげに長く反りの浅い刀。
「SAYO!?お前らなにしに来やがった!漁夫の利狙いか!?」
SAYOのメンバーを見てズヴァートが駆け寄りながらヒオットスヌックを構える。
「違うわアホ!……ったく、オミナエ、このバケモン足止めできるか?」
アサギの声にオミナエは頷いて、
「3分位かしらね?それくらいなら、コレで十分よ」
工具箱をまさぐり、数本の細長いスティックを取り出した。
「BRNZがメカに強いならこっちはバイオに強いのよ」
オミナエは黄色い唇を歪めて笑い、それをアサギの盾越しにムドプカンの鼻先に放り投げる。
「おいオカマ!ソイツにまともなモノは効かねぇぞ!」
ズヴァートの声にオミナエは露骨に嫌そうな顔をしてロスに小声で言う。
「アナタのところのメガネちゃんデリカシーないわねぇ」
「聞こえてんぞオカマァ!!早く退避しろ!そのグリムはまともじゃない!」
その叫びにオミナエは肩をすくめて言い返す。
「まぁまぁわかったわよ。見てなさい」
直後、ムドプカンの鼻先に転がった数本のスティックに変化が起こる。
「アサギ、下がってちょうだい?それに触れると面倒よ」
「あいよ」
スティックが勢いよく膨らみ、外面に亀裂が走る。
その隙間から白透明でキメの細かい泡が噴出した。
その泡は瞬く間に翼竜の鼻や口に触れ、ムドプカンが煩わしそうに首を振ると、もがくたびに更にまとわりつく。
「ソレ、生き物の粘液を参考にして作られたのよ。とてつもなく高い粘性と弾性を持っててねぇ?」
オミナエはいたずらっぽく笑いながら続ける。
「グリムだって生き物なのでしょう?なら口や鼻、呼吸器を塞がれたらどうなるかしらね?力で引きちぎろうとしたって柔らかくてとってもよく伸びるの。髪にガムとかくっつくと面倒よね?ソレと同じ」
ムドプカンは目の前の乱入者に構う余裕もなく顔にべたつく粘液を引き剥がそうともがいていた。
手が使えるならば引き剥がすこともできよう。しかし、翼竜の前腕は逞しい翼になっている。
「進化のし過ぎも、考えものってことよ。尖り過ぎた進化は、絶滅の原因なんだから」
オミナエはそう言うとロスの体に手をかけた。
「運んであげる。あの粘液も長くは持たないわ。空気に長く触れていると硬化が始まっちゃうのよね」
190センチメートルを超える屈強なロスの体を軽く立たせて肩を貸す。
「ごめん、助けて貰っていきなりで悪いんだけれど、どういうこと?」
ブラウがあっけにとられたような怪訝な顔で問うと、サビが答えた。
「私達にとっても想定外でした。本日は休日のはずだったのですが、未確認のグリムが市街地に向け侵攻しているという一報を受け出動することとなったのです。先遣隊が情報を収集するから、私達は情報が確定し次第増援に当たり、グリムの無力化あるいは討伐を行え、と。その先遣隊があなた方だとは露ほども存じておりませんでした。信じていただけるかはわかりませんが」
そう言われ、ナグトが口を開く。
「信じよう。俺達のチームメイトを救ってくれたことが何よりの証左だ。本当に礼を言う」
「おいナグト!まじであっさり信じるつもりか?こいつらだぜ?」
ズヴァートが抗議するが彼はため息を一つ付いて言い返す。
「もし、このグリムとの交戦のいざこざにまぎれて俺達を殺すつもりだったならわざわざこうして姿を晒す必要はなかったはずだ。あのグリムとの交戦で疲弊したところを闇討ちすればいい。違うか?それに何より、俺達は彼らのことを知らない。ただあの時あの場で鉢合わせて1回きり交戦した、それだけじゃないのか」
ズヴァートが言葉に詰まる。
「正直に申し上げます。あなた方のことは反吐が出るほど嫌いです。この場で切り捨てることも厭わない程には」
サビの冷たい言葉。
ズヴァートの額に青筋が浮かぶ。
しかし彼女は少しだけ表情を緩めると、
「ですが、あなた方以上に私はグリムが嫌いです。なます切りにしたいくらいには」
そんなサビを見てアサギが言う。
「すまんな、こいつしゃべるのが下手くそでな。嫌いとかいうとるけれどこいつみんなに嫌いや嫌いやって言うから気にせんでええで?今日のこの場では、仲良くしようやって言いたいんや」
それに、とアサギは言葉を続ける。
「あのグリム、君らのチームでこのにーちゃんがここまでやられるんや、まともな相手じゃないんやろ?お互い協力者がいて困ることはないはずやで」
「ムドプカンだ。あのグリムの名前は」
ズヴァートの指摘にオミナエが言う。
「あら?あのグリム、新種じゃなかったの?」
「いや、ついさっきあたしが命名した」
それを聞いたアサギは呆れたように、
「勝手に命名してええんやろうか……」
そう呟く。
「いいんだよ。新種の命名権は基本的に発見者のものなんだから、きちんと視認して交戦までしたあたしが命名しちゃいけない理由なんてねーだろーが」
開き直りのような調子で彼女はそう言うとオミナエに支えられているロスに近寄る。
「ロス、まだやれるか?」
「さすがに無理だよ!見てたでしょ!?あんなの食らって生きてるだけラッキーなんだよ!?」
ヤナギを制したのはロスだった。
爪が割れ剥げ、見れば薬指も不格好に曲がっている。その腕でロスはヤナギを制して言う。
「あぁ、もちろん……でも、少しだけ時間と、アレをくれないか……?アイツのトドメは、オレにくれ」
小さい、だが確かな声でロスはそう言う。
「わかった。だがリスクは理解しているな?寿命縮むぞ。あとグラースにしこたま怒られる。それでもいいか?」
ズヴァートの念押しにロスは頷いた。
「おにーさん正気!?肋骨が折れてるんだよ!?息をするのだって辛いはず!ボクも経験あるから分かるんだよ!?それに下手に動いて割れた骨が肺に刺さったら……!」
「大丈夫、オレの体は特別製だ」
そう言うとロスはオミナエから体を外し、自力のみで立つ。
「残ったオーラで、テゲナーヴァルクラップの主要機構の応急修復をした……バレルの歪みのせいで、砲門機構が修復できなかったけれど……代わりに、射出機構のチャンバーに送られた圧力と、熱、オーラを置換筋肉部に送れるよう、バイパス回路を切り替えた。だから、一撃だけだけど、射出機構に使われる出力を全部打撃に込められる……一撃だけだ、今の状態だと、テゲナーヴァルクラップが、それ以上の負荷に耐えられない」
高ぶる呼吸を抑えながらロスが言う。
「あくまでも、自身の手による決着を望まれるので?」
サビが理解できないといった表情で呆れたように言う。
「男ってのはそういうのがあるのよ。納得しろとは言わないけれど、理解はしてあげなさい」
オミナエが微笑みとともにそう告げてちらりとムドプカンを見る。
「もう保たないわ。皆覚悟は良いかしら?過信はできないけれどアサギの盾はある程度以上の攻撃を防げる。アサギの防御を起点に打開策を見つけるしか勝ち目はないわ」
「僕の他にもう一人くらい盾役できる奴がおったら少しは楽になるかもしれんのやけれど、まぁ仕方ないな、気合入れて行きましょ」アサギはそう言って盾を構え直す。
「僕は盾を構えとる間はオーラの大部分を盾の強化に回すことになるから攻撃性能極端に落ちる、そして僕のセンブランスはオーラを持たん相手には通用せん。それだけは覚えといてや」
「ずいぶんとあっさり手の内を晒すんだな?」
ズヴァートに言われ、アサギは口角を上げた。
「手の内の隠しっこしとって勝てる相手やない。それに僕の奥の手はセンブランスや、センブランスさえ見破られんかったらどうとでもなる」
「あっそ、まぁいい。あたしの武器は見ての通りこのふよふよ浮いてる槍なんだが、オーラで刃を形成してる。あんまり長いこと駆動させてられないからパパっと終わらせねーとジリ貧になるぞ」
「承知しました。ロスがこの状態では、この中で最も単純な火力に秀でているのはブラウ、あなたでしょう。守りの軸がアサギならば攻めの軸はあなたです」
サビに名指しでそう言われブラウは驚く。
「わ、わたし!?いやいやそうかなぁ、サビさんも結構ヤバいと思うんだけれど……」
「私の刀ではあれだけの硬度と質量を持つものに有効打を与えるのは難しいと判断します。必要なのは鋭い一撃ではなく重い一撃。あなたの蹴撃が花拳繍腿でないことは存じています。期待していますよ」
「わ、わかりました、頑張ります」
慣れない賛辞の言葉にブラウは居心地悪そうに答えた。
「アタシがどうにかしてムドプカンの動きを止めるわ。止められないかもしれないけれど少なくとも自由に飛び回らせたりはしない。ナグトとか言ったかしら?アナタのサポートも必要になるわ、アタシとアナタであの化け物の注意と狙いを散らす、できるわね?」
「無論。全力で当たろう」
彼の返事にオミナエは頷く。
「ボクはどうしよう、ヌホコはたぶん通らないし……」
ヤナギの言葉に返したのはロスだった。
「オレのサポートを頼めるか」
その提案に彼女は迷わず答える。
「おにーさんが言うなら仕方ない。ボクが面倒みてあげるよ!」
仕事は決まった。
ムドプカンが顔に張り付いた粘液を轟咆とともに吹き飛ばす。
「さて、そんじゃぁ」
アサギが盾にオーラを通しながら一歩前に出る。
「化け物退治と行きましょか!」
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「la L'inno per il "IDOLA"」 小林秀聡
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