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モンスト三銃士 ダルタニャン物語 作者:食物名団隊長.さば
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ダルタニャンの門出 二話 怪しいないしょ話

フランスのマンという街から銃士になるために街を出たダルタニャン。しかし、途中の旅館で自分と馬を馬鹿にされてしまい、怒ったダルタニャンは決闘を申し込むが、返り討ちにされてしまう。気絶したダルタニャンは、急いで宿屋の炊事場に担ぎ込まれるのだった………。
ダルタニャンが気絶して、宿屋の女将さんに傷の手当を受けている間に、さっきの騎士と亭主とは、こんな話をしていた。
「どうした?あの気の狂ったやつは。」
「だいぶよろしいようでございます。」
「いやはや、手に負えない娘だ。女なのに剣を振り回してくるわい。」
「まったくでございます。あの娘の持ち物を調べてみましたが、包みにはシャツ一枚、財布には、たった十一エキュしか入っていませんでした。貧乏人の小娘と見えます。そのくせ生意気にも譫言で、『パリで私をこんな目にあわせでもしたら、きっと後悔するにゃ!』などと…」
「ほほう、まるでお忍びの貴公子のような口を聞くではないか。」
「それから、トレビル殿がどうとか、申しておりましたが。」
トレビル、という名を聞いて騎士の態度が変わった。
「なに、トレビル殿?おやじ、その娘のポケットの中を調べてみただろうな。何が入っていた?」
「近衛兵銃士隊長トレビル殿宛の手紙が一通ございました。」
騎士は突然貝のように口を閉ざし、黙り込んだ。なんとなく気がかりな顔つきで、しばらく考え込んでいたが、とうとう、
「ところで、あの娘は今どこにいる?」
と、亭主に尋ねた。
「二階の部屋で、女房が包帯をしてやっております。」
すると、騎士は急に部屋を出て、ダルタニャンの持ち物の置いてある炊事場の方へ走っていった。
ダルタニャンがやっと気がついたときは、日もとっぷりと暮れていた。
亭主は、身分ありげな騎士に喧嘩をふっかけた娘をかくまって警察沙汰になっては大変だと思って、
「さあさあ、今のうちにお立ちなさい。そのほうがいいですよ。」
ダルタニャンは立ち上がろうとしたが、体のあちこちが痛み、めまいがした。
「それで亭主さん、あの無礼なやつはどこに行ったにゃ?」
「もうお立ちになる所ですよ。ささ、貴女も早く……。」
せきたてられて、ダルタニャンが宿屋の入り口まで来ると、例の騎士の姿が目に入った。
入り口の前には、二頭立ての馬車が止まっていた。そして騎士が、馬車の中の人と何やらひそひそ話をしていた。馬車の窓から顔を出している話し相手は、若い美しい女性だった。色が白くて、長く赤い髪がふさふさと肩のあたりまで波打っていた。
好奇心に駆られたダルタニャンは、尻尾を出さないように柱の影に隠れて、二人の様子を伺った。
そして、この時ダルタニャンは、騎士の左のこめかみに斜めに傷の跡があるのに気がついた。
「それで、枢機官様のお指図は?」
と、女が聞いている。
「すぐにイギリスへ引き返して、公爵がもうロンドンを出発したかどうかを調べて、報告して欲しいとおっしゃっておられる。」
「わかりましたわ。で、あなたはこれからどうしますの?」
「わたしはパリに帰るさ。」
話はこれで終わった。赤髪の美しい女を乗せた馬車が去っていくと、ダルタニャンは騎士の前に立ち塞がった。
「ふっひっひ、捕まえたにゃあ。もう一度勝負にゃ!」
だが騎士は突然マントから魚を取り出し、後ろに投げた。
「にゃあああああああ体が勝手に魚へぇぇぇぇ」
飛びかかってくるダルタニャンを華麗に振り切って側につないでいた馬に騎士は乗った。
「さっきの猫の娘だな。せっかくだか、お前に構っている暇はないのだ。」
そして、馬の尻にひと鞭当てて、暗い闇の中へと消えていった。
「ねえあの娘、どうして地面に張り付いているの?」
「あれは…魚?魚を娘が舐めてるよw」
はっと我に帰ったダルタニャンは、顔を真っ赤にして、その場から立ち去った。思わぬひどい目にあったダルタニャンは、宿賃を払って出発する事にした。すると亭主は、傷の手当代、馬のまぐさ代、と言ってがっちり二エキュを請求した。
ダルタニャンは金を取り出そうと、ポケットに手を突っ込んだ。すると、金はあったがあのトレビル殿への手紙が無い。
「にゃあ、亭主、ポケットに入れてあった手紙はどうしたにゃ?あれはトレビル殿宛の大事な手紙にゃ。本当の事を言わにゃいのなら、トレビル殿に訴えて、調べてもらうにゃ。さあ、白状しろ。それとも、この剣でお仕置きされたいにゃ?」
そう言って、ダルタニャンはいきなり剣を抜いたが、驚いた事にあの乱闘で剣が折れてしまっていて使い物にならなくなっていた。
亭主は、トレビル殿に訴えると聞いて、肝を潰した。トレビル殿といえばその名は、国王陛下とリシュシュー枢機官の次に世間に広く伝わっていたからだ。そこで亭主はいった。
「そうだ、あの騎士だ。あの騎士のひとが持っていったに違いありませんよ、ハイ。」
ダルタニャンは仕方なく喧嘩の種となった馬に乗って出かけなければならなくなった。そしてパリに着くと、かわいそうだがこの馬を売らねばならなくなった。馬はなくてもすむが、剣が無いのは困る。そこで古道具屋で一振りの剣を買った。
次は下宿探しだ。ダルタニャンはパリの街を歩きまわって、ようやくリュクサンブール公園の近くに安い貸し間を見つけた。屋根裏の汚い部屋だった。だが、トレビル殿が住んでいるビュー=コロンビエ通りもすぐ側だと聞いて、ダルタニャンは満足した。
そして、その夜は、これから出世していく自分の未来を空想しながら、いい気持ちになってダルタニャンはぐっすりと眠った。
「…わ〜い、フランスの元帥にまでたどり着いたにゃ………zzzZZ」
次回も未定。まぁ更新していきます〜

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