[PR]

 東日本大震災の津波で被災した仙台市と宮城県石巻市を結ぶJR仙石線が全線復旧してから、30日で1年になる。新しい野蒜(のびる)、東名(とうな)両駅(同県東松島市)周辺で宅地の造成が続く中、28日に初めて85区画が引き渡された。待ちわびた被災者はさっそく地鎮祭を催し、祝詞(のりと)が響いた。

 両駅は海に近かった場所から、北の高台の造成地へ約500メートル移った。造成地は約91・5ヘクタール(東京ドーム約20個分)で、山を崩して造った中では被災地で最大規模。来年秋には集団移転の住宅278戸と災害公営住宅170戸に、1300人余りが暮らす街になる。

 津波で自宅を失った菊池はま子さん(86)は約100坪の宅地を受け取った。いまは東松島市の次女宅(59)で暮らし、年明けに新居に移る。さいたま市に避難している92歳の友人も近くに引っ越してくるという。「また手芸をしたり、仙石線で美術館に出かけたりしたい」と話す。(茂木克信)