藤田さつき
2016年5月29日15時59分
熊本地震で2度の震度7を観測した熊本県益城町では、避難者の半数近くが車やテントなど屋外で避難生活をしている。目立つのは「避難所では子どもが迷惑になる」という子育て家庭。町は主要なテント村を5月末に閉鎖すると決めたが、子育て家庭の居場所を確保する課題が浮上している。
益城町のパート、中村沙也加さん(25)は夫(24)と長男(4)、長女(2)の4人で屋外避難を続けている。自宅のアパートは震災直後の診断で「危険物件」とされ、数日間は軽自動車に4人で宿泊した。疲れがたまり、避難所へ行くと、大勢の避難者でごった返していた。地震後に夜泣きが始まった長女が泣くたび、急いで抱いて外へ。長男が走り回れば注意した。別の母親が「子どもがうるさい」と言われたと聞き、3日目に車中泊へ戻った。
「避難所では気疲れしてしまった。遊べずにつらい思いをしている子どもを叱るのもいやだった」
4月末に入ったテントは強風雨で破れ、駐車場に置かれたアルミ製の貨物コンテナに移った。炎天下では天井板が熱くなり、壁にかけた温度計は35度を示した。日中は1時間もいられないが、朝晩は冷え込み、すき間風も入る。子どもたちに、ぜんそくの症状も出てきた。
28日にシャワーが近くにあるテントに移ったが、コンテナ以上に熱がこもる。暑さは日増しに厳しくなっており、中村さんは「仮設住宅へ入れるかも分からず、こんな生活が夏になっても続くのか」と話す。
益城町やボランティア団体の調べでは、前震から1カ月の今月14日時点で町内の避難者3397人のうち、1550人(46%)が車中やテントなど避難所の外で生活。岡山県総社市などが陸上競技場で運営しているテント村に避難する約600人のうち、少なくとも3割近くが小学生以下の子どものいる家庭だ。
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