デジカメマニアとしての最近のマイブームは「ポケットに入ること」です。
前にもちらっと書きましたが、特殊な用途を除いてデジカメは完全にスマホに置き換わっています。
デジカメの利点といえは「画質がいい」とか「ズームできる」とか微妙なものばかりで、そんなものはスマホの「意識しなくてもつねに持ち歩いている」という利点一発で粉々に打ち砕かれてしまいます。だって一般的な人が日常的に撮る写真の9割はご飯とか自撮りとか集合写真でしょう。そんなもん広角単焦点レンズをつけたスマホで事足りますもんね。記録写真だから画質なんかいらないし、ズームもデジタルズーム(トリミング)でまったく気にならない。だったらカメラなんか一台でいいっつー話です。
これって実はカメラが好きなはずの自分自身にもいえることで、仕事用の一眼レフとかを除けば僕も普段からカメラを持ち歩くことってそんなにないんですよね。せっかく普段用にと小さいカメラをいくつも買ったのに……。
それではもったいないので、ちょっと自己分析してみたんです。
「そもそもカメラ専用機を持ち歩く必要はあるのか」
「必要があるなら、なぜカメラを持ち歩かないのか」
「そんな自分がどうすればカメラを持ち歩くようになるのか」
これで結局、「いらないじゃん」っていう結論になったら趣味用のデジカメは売り払ってもいいかも。持ち歩かないデジカメなんて置いといても仕方ないし。
……さて、じゃあ1つずつ考えてみましょうか。
「そもそもカメラ専用機を持ち歩く必要はあるのか」
これは「ある」ですね。というのも、やっぱりスマホだと撮りたいのに撮れないシーンって結構あるんですよ。たとえばちょっと暗いお店でご飯や人を撮るのはスマホにはかなり厳しいですし、そういうところだとスマホのフラッシュも炊きにくい。
先日もとあるお店で肉寿司を食べたんですが、店内が暗すぎてぜんぜん明るく撮れないんですね。色もコントラストも出ないし、ブレまくるし、ぜんぜんおいしそうじゃない。本当に記録しただけ。これは人それぞれの感じ方なので、それでいいって人もいるでしょうけど、少なくとも僕は撮った写真はネットにアップするか人に見せるかするので、「もうちょっと綺麗に撮りたいのになぁ」と思いました。
こういう場面って結構あるので、やっぱりデジカメは持ち歩きたいわけです。そういうときだけ持っていくというのもありですが、僕はあまり計画的ではないので突発的に必要になることの方が多いんですよね。
よし、自己分析終了。やっぱりデジカメは必要だな。
で、「必要があるなら、なぜカメラを持ち歩かないのか」ですが、これは冒頭でも書いた通り、スマホの「携帯性」というメリットが大きすぎて「画質」というデメリットをカバーできてしまっているから。逆にいうとデジカメの「携帯性」というデメリットが大きすぎるからともいえます。ちなみにカバンに入れろよという意見は、僕が何よりも荷物を増やすことを嫌がる性格なので却下です。
じゃあどうすれば「カメラを持ち歩くようになるのか」。
「画質」が「携帯性」を覆せない以上、改善できるところは「デジカメの携帯性」しかありません。
デジカメの携帯性がスマホに並べば、「画質」の差分でデジカメが優位になります。
スマホレベルで自然に身に付けることができ、スマホレベルでサッと取り出して撮影できるようにするためには……。
これはもう「ポケットに入るサイズ」のデジカメを探すしかありませんよね。なぜなら僕が普段、スマホをポケットに入れているからです。
ということで、いろいろ試してみたのですが、「ポケットに入る」ための条件で重要なのはただ一つ。
「厚み」
です。
正直、たいていのコンデジであれば縦横のサイズは大したことありませんし、iPhoneよりコンパクトです。ところが、レンズ分の厚みがあるためにポケットに入らないのです。
この時点で、ミラーレスは却下です。たとえば僕が持っているミラーレスだとEOS M2に22mmとか、GF7に12-32mmとかをつければかなり薄くなりますが、それでも厚みは5cmくらいにはなってしまいます。5cmではポケットには入りません。できれば3cm、少なくとも3.5cm程度に抑えたいところです。
もっと薄くできる可能性があるとしたら……これはもう沈胴式のレンズを搭載したコンデジしかありません。
しかし、ここで立ちはだかるのは「画質」の壁です。
コンデジでも薄くてコンパクトなものはセンサーが小さいものが多く、スマホとの違いを出しにくいのです。ぱっと見てスマホよりも明らかに綺麗だとわかるためには、1型センサー以上でないと厳しいでしょう。
それでいて厚みを可能な限り抑えた機種となると……。
という感じでどんどん条件を絞っていった結果、厚み3.5cm以下という条件で出てきたのは3機種しかありませんでした。
Canon デジタルカメラ PowerShot G9 X(ブラック) 光学3.0倍ズーム 1.0型センサー PSG9X(BK)
- 出版社/メーカー: キヤノン
- 発売日: 2015/10/22
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キヤノンのG9Xと、
RICOH デジタルカメラ GRII APS-CサイズCMOSセンサー ローパスフィルタレス 175840
- 出版社/メーカー: リコー
- 発売日: 2015/07/17
- メディア: Camera
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リコーのGR IIと、
Panasonic コミュニケーションカメラ ルミックス CM10 F2.8 LEICA DC ELMARITレンズ AndroidTM5.0搭載 DMC-CM10-S
- 出版社/メーカー: パナソニック
- 発売日: 2016/02/25
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パナソニックのCM10です。
G9Xは厚みが3.08cm。同ランクの1型コンデジの中でも圧倒的に薄く、軽量コンパクトです。
GR IIは盲点でしたが、画質はAPS-Cで1型をもはるかに凌ぎ、それでいて3.47cmとギリギリ3.5cmを切っています。ズームはありませんが、そもそもスマホ的な使い方をするならズームは不要ともいえます。
っていうかGRは持っているので、実際にやってみればいいんですよね。ためしにジーンズの尻ポケットに入れてみたらギリギリ入りました(膨らみが気になるといえば気になりますが)。
ポケットに入れて手ぶらで常時携帯するなら、ここらへんが限界ですね。
ちなみに他にも1型コンデジだとRX100とかG7Xとかあるのですが、残念ながらそれぞれ3.59cm、4.04cmと3.5cmをオーバー。APS-Cでいくと、富士フイルムのX70が候補ですが、やはり4.44cmとオーバーしています。
CM10はちょっと特殊なカメラで、2.11cmとずば抜けて薄型ではあるのですが、どちらかというとかなりスマホよりなんですよね。Android搭載しているし、SIM挿してネットもできるし。通話機能がないしバッテリーのもちを考えると、結局スマホはまた別に持ち歩くことになりそうですが、安いSIMを挿して写真SNS専用スマホとして使うのも面白いかもしれません。できればこの厚みでカメラ専用機を作ってほしいんですけどね。
ということで、現状だと僕の場合はG9XかGRの二択で、すでに所有しているGRを持ち運ぶことになりそうですが、ここへきてGRの暗所AF性能の低さが気にかかるところです。暗いところだとiPhoneよりもフォーカスが迷うんですよね、GR……。
スマホに滅ぼされそうになっているコンデジですが、高級路線でどんどん趣味的な方向へ逃げるのではなく、徹底的に薄型にしてスマホに勝負を挑む機種ももっと出してほしいなと、そんなことを思いました。