導入の検討すらされていない
今年4月1日から全国の政令市で導入可能になった「総合区」制度が、早くも暗礁に乗り上げている。
毎日新聞が全国20政令市を対象としたアンケート調査を行ったところ、導入を検討しているのは、新潟市、名古屋市、大阪市のわずか3市のみ。「メリットがない」ことが、大半の政令市が導入を検討しない理由だという。
「総合区」は、多くの政令市で問題となっている、市と行政区による二重行政を解決するために導入された制度。従来から政令市に置かれている行政区を総合区に格上げし、「予算と権限」を与え、地元の問題や課題を総合区長の判断で解決できるようにすることが目的だ。
多かれ少なかれ、各政令市は二重行政の問題を認識しているはず。なぜ「総合区」制度を検討すらしないのか。
その答えを探るには、総合区制度を盛り込んだ改正地方自治法が'14年5月23日に成立した、「経緯」を振り返ってみる必要がある。
この法案の背景にあるのは、橋下徹前大阪市長がぶち上げた「大阪都構想」である。
法案の立案は官僚の仕事
'11年11月27日の大阪府知事・市長のダブル選挙で、松井一郎氏と橋下氏がダブル当選。大阪都構想は現実味を増していった。
そして'12年8月29日には、大阪都構想を実現するために「大都市地域における特別区の設置に関する法律」が議員立法で国会に提出され、成立した。
この法律が議員立法によって成立したとき、「法案の立案は官僚の仕事である」というメンツを失った総務省の焦りは、尋常でなかった。というのも、この種の法律はほとんど内閣提出であったからだ。内閣提出とはつまり、官僚によって法案が作られてきたということである。
-
血税3兆円がムダに!?総務官僚が引き起こした、マイナンバーという名の「人災」(2016.05.24)
-
絶対買ってはいけない! 銀行窓口で平然と売られている「ボッタクリ」金融商品(2016.05.27)
-
5年後、10年後に「生き残る会社」「消えている会社」347社を実名公開! ~すべてのサラリーマンと就活生必読(2016.05.19)
-
年金も退職金も福利厚生も、公務員だけは安泰! サボったもの勝ちの「嗚呼、素晴らしき世界」(2016.05.23)
-
最強企業トヨタで「偉くなる人」に共通すること〜30万人の中から部長・役員はどう選ばれるのか?(2016.05.16)
- 「法案の立案は官僚の仕事である」というメンツを失った総務省の焦り (2016.05.29)
- 弁護士が「食えない」は本当か? 増加批判に隠された「不都合な真実」(2016.05.22)
- 不祥事続発の日本年金機構。その「母体組織」の驚きのルール~「文字入力は一日平均5000字まで」「50分働き15分休憩」(2016.05.15)
- 地方のカネを奪おうとする財務省の横暴〜「国の借金1000兆円」というウソに騙されるな (2016.05.01)
- マイナンバーカードが届かない! 総務官僚のエゴが招いた大トラブルの真相(2016.04.24)
- 大人気「ふるさと納税」に総務省が待った! 官僚たちが水を差す本当の理由(2016.04.17)