歌手 吉幾三さん
一病息災
[歌手 吉幾三さん]腸の病気と肝炎(3)輸血からC型肝炎に感染
1989年(平成元年)の紅白歌合戦で歌い終わると、ダウンした。タキシードを着たまま、救急車で運ばれた。その前に腹痛で行ったトイレは、血便や下血で便器が真っ赤になった。
大腸の内壁の一部が外側にとび出し、出血したりする「結腸憩室炎」と診断された。貧血で輸血した。入院と静養で、3か月も休む大病になった。
下血が治まると、念願のハワイ公演も行った。2004年、51歳でまた体調を崩した。全身にじんましんが出た。「姉の葬式の時だった。死んだ姉ちゃんが異変を教えてくれたと思う」
輸血による感染が多いC型肝炎だった。思い当たるのは、30歳と37歳、2回の腸の病気で入院した時の輸血だ。大好きだった酒を断ち、治療薬インターフェロンの投与による副作用との長い闘いが続いた。
「あれを打つと、2、3日は倦怠感で無気力になり、食欲がなくなる。髪の毛も抜け、うつ状態が続いた。公演などの前は避け、終わると夜中でも医者にお願いして、打ってもらった」。完治に4年半かかった。
その回復と同じ頃、自分の名をとった「IKZOブーム」が巻き起こった。四半世紀前のヒット曲「俺ら東京さ行ぐだ」などの楽曲が、若者らに他の曲とミックスされ、動画サイトで流された。「知らない間に、多くの人が俺の曲で楽しんでくれていたんだね」
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歌手 吉 幾三(よし いくぞう)さん(62)