国・地方の債務残高対GDP比を2010年代半ばにかけて安定化させ、2020年代初めには安定的に引き下げます。このため、今後10年以内に国・地方のプライマリー・バランス※黒字化の確実な達成を目指します。まずは景気を回復させ、5年を待たずに国・地方のプライマリー・バランス赤字の対GDP比の半減を目指します。また、財政健全化目標の実現と新たな施策実施の両立を図るため、新たな施策には、そのための恒久的な財源を確保する原則を徹底します。こうした国等の責任ある財政運営を確保する「財政健全化責任法」を早期に成立させます。
※プライマリー・バランス 国債費関連を除いた基礎的財政収支のこと。国債の利払いと償還費を除いた歳出(一般歳出)と、国債発行収入を除いた歳入(税収など)についての財政収支。
国債に対する信認を確保していくことの重要性を認識しつつ、財政健全化に資する節度ある国債発行に努めます。また、公債の安定消化に向けた一層の取り組みを進めるとともに、国債保有のあり方を含めた適切な国債管理政策を実行します。
消費税を含む税制抜本改革については、平成21年度税制改正法附則や「中期プログラム」による道筋に沿って実施します。これにより、安心で豊かな福祉社会及び公正で活力ある社会を実現します。
消費税については、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げに要する費用を賄うとともに、これからも増加が見込まれる年金、医療及び介護の社会保障給付と少子化対策の費用に全額を充てることを予算・決算において明確にした上で、経済成長戦略とムダ削減の不断の努力を行いつつ、消費税の税率を引き上げます。
消費税率等については、
(1)少子化対策や年金・医療・介護の機能強化に要する費用(基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げ分を含む)(7兆円)
(2)高齢化の進展に伴う今後必要な社会保障費の自然増分(初年度1兆円)
(3)現在、消費税以外で賄われている年金・医療・介護にかかる費用(7.3兆円)
等を考慮し、当面10%とすることとし、政権復帰時点で国民の理解を得ながら決定するものとします。その際、食料品の複数税率等、低所得者への配慮も併せて検討します。
なお、抜本改革の検討に当たっては超党派による円卓会議等を設置し、国民的な合意形成を図ります。
個人所得課税については、格差の是正や所得再分配機能の回復の観点から、各種控除や税率構造を見直します。最高税率や給与所得控除の上限の調整等により高所得者の税負担を引き上げるとともに、歳出面も合わせた総合的取組みの中で子育て等に配慮して中低所得者世帯の負担の軽減を図ります。金融所得課税の一体化を更に推進します。
資産課税については、格差の固定化防止、老後扶養の社会化の進展への対処等の観点から、相続税の課税ベースや税率構造等を見直し、負担の適正化を図ります。
自動車関係諸税については、税制の簡素化を図るとともに、厳しい財政事情、環境に与える影響等を踏まえつつ、税制のあり方及び暫定税率を含む税率のあり方を総合的に見直し、その負担を軽減する方向で検討します。
地方税制については、地方分権を推進するとともに、税収が景気変動による影響を受けにくく安定的で、かつ、税源の偏在性が小さい仕組みとするため、消費税を含む税制抜本改革の一環として、地方消費税の充実を検討するとともに、地方法人2税のあり方を見直すこととし、もって、国と地方を通じた社会保障制度の安定的な財源の確保を目指します。
たばこ税については、たばこと健康に関するあらゆる総合的な検討、葉たばこ農家、たばこ小売店等への影響も勘案した十分な検討が必要であり、中途半端な議論のままで引き上げを行うことは適当ではありません。
酒税のあり方については、税制の中立性・公平性・国際性の観点や財政状況等を踏まえ、酒類間の税率格差を縮小する方向で検討します。
低炭素化を促進する観点から、税制全体のグリーン化を推進します。
環境税については、税制全体のグリーン化を図る観点から、様々な政策的手法全体の中での位置づけ、課税の効果、国民経済や産業の国際競争力に与える影響、既存の税制との関係等に考慮を払いながら、納税者の理解と協力を得つつ、総合的に検討します。
納税者番号制度の導入の準備を含め、納税者の利便の向上と課税の適正化を図ります。