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就活面接6月解禁なのに…「内定」もう5割

産経新聞 5月29日(日)7時55分配信

 来年3月卒業予定の大学生・大学院生の就職活動は、企業の面接・選考が6月1日に解禁される。経団連の採用指針では解禁日が昨年の8月1日から2カ月早くなった。日程変更は2年連続。解禁日が前年までの4月1日から4カ月遅くなった昨年は人材争奪戦が激化し、内定を出す代わりに他社への就活を終わらせるよう強要する「オワハラ」が問題となったが、今年は沈静化しているという。ただ内定を前倒しで出す企業はむしろ増えており、選考解禁前夜には半分の学生が事実上の内定を得ているとの見方もある。

 「6月に入って、きちんと面接を受けてくれれば、いいことがあるよ」

 東京都内の私立大学に通う4年の男子学生は5月中旬、大手情報通信会社の担当者との“面談”でこう言われた。「内定」という言葉は出なかったが、事実上の内定だ。

 外資系やIT企業にとどまらず、経団連加盟の大手企業でも指針破りが行われており、6月までに実質的な選考を終え、解禁日に形式的な最終面接を行う企業が少なくないという。

 ◆指針破りは承知

 就職情報提供会社のディスコの調査によると、5月1日時点で内定を獲得した学生は29・1%に上り、昨年の同時点の17・9%を大幅に上回った。結局、選考解禁日を早めた分だけ、企業が内定を出す時期も早まっただけのようだ。

 ディスコの吉田治広報課長は、「事実上の内定を含めれば、5月末段階では5割近いところまで上昇するだろう」と予測する。

 大学や学生側も指針破りは承知の上だ。神奈川県内の私立大学のキャリアセンター担当者は「実際の採用日程は、指針通りでないことを前提にして希望先企業の採用スケジュールを入手するよう学生に指導していた」と打ち明ける。

 ◆オワハラない?

 一方、オワハラについて、経団連の榊原定征会長は「今のところは問題があるとは聞いていない」としている。昨年は大手企業の選考開始が遅くなり、その結果を待っていられない中堅・中小企業が学生を囲い込もうとしたことがオワハラの一因だった。今年は大手の採用が終わってからという従来のスタイルに戻したところが多く、日程変更が功を奏したかたちだ。

 ただ、6月解禁がこのまま定着するかは未知数。3月の会社説明会開始から選考開始までの期間が3カ月と短くなったため、「学生が業界や企業について十分に研究する時間がなく、ミスマッチにより内定辞退者が増える」(就活情報サイト担当者)と懸念されている。経団連も今後出てくる問題も踏まえ来年以降の日程を検討する考えだ。

最終更新:5月29日(日)8時50分

産経新聞

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