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真珠湾訪問に慎重姿勢

日米首脳会談後、共同記者発表するオバマ米大統領(左)と安倍晋三首相=三重県志摩市で2016年5月25日午後10時49分(代表撮影)

 安倍晋三首相は今のところ、米ハワイの真珠湾を訪問することに慎重姿勢を崩していない。25日にオバマ米大統領と会談した後の記者会見で「現在、ハワイを訪問する計画はありませんが、昨年、戦後70年の節目に米国を訪問し、上下両院合同会議でスピーチを行いました」と語った。

 首相は戦後70年の節目にあたる昨年4月に米議会で演説し、真珠湾にも触れながら「悔悟」の念を表明した。この演説を踏まえ、8月には戦後70年談話を発表、すでに戦後の総括は終わったとの認識を持っている。

 また、首相を支持してきた保守層の間には、第二次世界大戦の戦犯を裁いた極東国際軍事裁判(東京裁判)に疑念を持つ人が少なくない。首相が真珠湾を訪問すれば、日本が開戦に踏み切った経緯に再び焦点が当たる。歴史論争が再燃する恐れがあり、慎重論の背景になっている。

 「核兵器なき世界」を目指すとの未来志向のメッセージを打ち出しやすいオバマ氏の広島訪問に比べ、首相の真珠湾訪問は過去に立ち戻らざるを得ないため、政治的なリスクが高いと言える。

 だが、政府内には「戦争で亡くなった人を悼むだけなら支障はない」との意見もある。オバマ氏の広島訪問を受け、成熟した同盟関係をさらに印象づけるために首相が真珠湾を訪問すべきだとの世論も高まりを見せている。このため首相は今後、真珠湾訪問の可能性を探るものとみられる。【古本陽荘】

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