「ソレ」は突然やってきた。
いつも通り溜まり場のドアを開け、入った瞬間気付いた。
みんなの様子がおかしい。
やたらニヤニヤしている。ニヤニヤしていると思ったらくだらねーことで急に爆笑しだす。死にそうな程笑っている。
「おい、何がそんなに楽しいだ。笑」
そう聞くと耳馴染みのない隠語が耳に入ってきた。
「ソレ」は最近でこそよく耳にする言葉だが、当時は警察24時でもあんまりフューチャーされてなかったように思う。
「これ吸ってみ」
差し出されたのはモンキーパイプとライター。
「俺はそういうのやんねーよ」
「ふーん」
興味なさそうなツレの態度にムカついた。
だがそれ以上に「ソレ」に興味が湧いた。
見ているととにかく楽しそうだ。◯ンナーでラリってるのとは様子が違う。
くだらない事でみんなで死ぬほど笑っている。
そしてみんなお菓子を手にしている。各自それぞれがそれぞれのお菓子を食べている。
「これまじうめぇ…」
「どれ…うめぇ…」
(なんなんだよコイツら…)
心の中でそう思いながらも、自分だけ浮いてるのが嫌だった。
「俺もやる」
「やる?こうやって…(カチッ)スゥーーーーー……………プハーーー。吸ったらためろよ?」
「おー。(カチッ)スゥーーーーー……………プハーーー」
「……何もこねーよ?」
「ちょっと待っとってみ」
数分後…
「やっぱりこねーよ」
「足りねーんじゃね?」
「(カチッ)スゥーーーーー……………プハーーー。俺だけ効かねーんじゃねーの?全然普通だぞ?」
「(お菓子を食べながら)フフッ…」
(何だコイツ!)
数分後、それは突然やってきた。
(あれ…なんか変だぞ?)
未知の体験が始まった。
(あれ?時間の感覚がおかしい。今の出来事がだいぶ前のようで…あれ?また時間が飛んで…あれ?なんだこれ…)
「食ってみ。」
差し出されたのはなんの変哲もないチョコ。
「……うめぇ…」
気付いたら死ぬほど笑っててまた時間が飛んでいる。
「これ飲んでみ」
渡されたのは何の変哲もないジュース。
「…うめぇ…(爆笑)」
気付いたらまた時間が飛んでいる。もうわけがわからない…。そしてお菓子が止まらない。
必死に冷静になろうとして、まわりを見てみるとみんなテレビを見て笑っている。俺も見てみた。
「ダハハハハハ!ヒーヒーッっ……死ぬっ…死ぬっ!コイツどやべぇ…ヒーッヒーッ…」
あんなおもしれー奴見たことなかった。誰かって?藤井隆だ。
「こんなんどこでゲットしてきたんだよ」
「(お菓子を食べながら)あっ?うん。」
ツレは答える気もなけりゃ、聞いた俺自身返事が来た頃にはどうでもよくなってた。
楽しい時間はあっという間に過ぎ、気付いたら2時間位経っていた。
「んじゃ俺帰るわー」
「は?帰れる?まじ?」
「おー。」
俺が聞いた時にはもうツレは普通に戻っていた。
(まじかよ…俺帰れんぞ…)
そんな心配もしたが、気付いた時にはシラフに戻ってた。
「すげーなコレ」
「おー、ヤベーな」
これが俺の初体験♡
ん?肝心な「ソレ」がわからないって?
近所のイラン人にでも聞いてみな。
では。
※ この話はフィクションです。