消費税率引き上げ 再延期の場合の課題は

消費税率引き上げ 再延期の場合の課題は
安倍総理大臣が28日夜、麻生副総理兼財務大臣、自民党の谷垣幹事長らと会談し,
来年4月の消費税率の10%への引き上げについて、2019年・平成31年10月に2年半、再延期する考えを伝え、引き続き調整することになりましたが、実際に再延期する場合、法律の改正が必要になるほか財政健全化目標や社会保障費を賄う財源の確保に影響が出ることが懸念されます。
来年4月の消費税率の10%への引き上げは、法律で決まっていて、これを延期する場合、政府は法案を改めて国会に提出し、可決・成立させる必要があります。
また、消費税率の引き上げを再び延期することになれば、1000兆円を超える巨額の借金を抱える財政再建への影響も懸念されます。政府は、政策に必要な経費を税収などでどれだけ賄えるかを示す国と地方を合わせた「基礎的財政収支」を財政健全化の指標としていて、今年度で15兆円の見通しとなっている赤字を▽2020年度・平成32年度までに黒字化することを目標に掲げています。
また、▽これに先立つ2018年度・平成30年度には「基礎的財政収支」の赤字をGDP=国内総生産と比べて1%程度まで縮小することを目安としています。消費税率の引き上げが延期されれば、これらの見直しが必要になる可能性もあります。
さらに、税収の減少分にどう対処するかも課題になります。
財務省では、消費税率の10%への引き上げで年間の税収は軽減税率の影響を除き5兆6000億円程度増加すると見込んでいます。
増収分は社会保障の充実などに充てることにしていて具体的には、▽所得の低い高齢者への給付金の支給や、▽年金の受給資格を得るための期間を、現在の25年から10年に短縮すること。また、▽待機児童対策として、保育所の運営費を補助することなどが計画されていて税率の引き上げが実際に延期されれば、これらに充てる財源が不足することも懸念されます。