ドルの3年にわたる上昇局面は終わりに近づいていると、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の欧州外国為替責任者のトマス・クレッシン氏は指摘した。強いドルは世界経済の利益にならないと各国中央銀行が認識していることが背景にある。

  クレッシン氏はロンドンで開かれたブルームバーグのFX16会議で「ここ数年にわたる強いドルのトレンドは終わりを迎えた」と述べ、「ドルはユーロと円に対して幅広いレンジで推移する可能性が高く、これ以上大きく上昇することはない」と予想した。

  同氏は2月に上海で開かれた20カ国・地域(G20)会合を受けて欧州中央銀行(ECB)と日本銀行が通貨安を誘導する可能性は低いと指摘。G20では金利引き下げや金融政策による競争を抑制することで各国当局が一致したようだと付け加えた。

  さらに、米金融当局は「インフレ率が目標の2%を上回ることもいとわない姿勢」である一方、「日本ではマイナス金利策が裏目に出ている。政策リターンの縮小と市場の信頼性の低下という問題に疲れた投資家に対処する、政策リスクのかつてない高まりに直面している」と分析した。

  クレッシン氏によると、PIMCOはユーロと円の下落を見込む取引を減らした。

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数は2015年までの3年間に25%上昇したが、今年は4%近く下落している。

原題:Strong Dollar Trend Almost at an End, Pimco’s Kressin Says(抜粋)