エンジン内部で故障か タービン回転翼破損
東京・羽田空港で離陸滑走中の大韓航空機から出火、乗客乗員319人が緊急脱出したトラブルで、国の運輸安全委員会は28日、同機の左エンジン後部にあるタービン(回転式の原動機)のブレード(羽根)が多数損傷していたことを明らかにした。エンジン最前部にあるプロペラ状のファンブレードには異常がなかったことから、何らかの理由でエンジン内部の部品が外れるなどして、高速で回転するブレードに接触し、損傷させた可能性があるとみている。
安全委が28日、左エンジン内部を内視鏡で調べたところ、タービンのブレード数十枚が折れ曲がったり、破断したりしていたことが判明。破断した破片の一部はエンジンカバーを突き破り、滑走路上に散乱していた。
タービンは多数のブレードで構成されており、エンジンが作動すると高速回転する。仮に一部のブレードが外れるようなことがあると、他のブレードを次々と壊す可能性があるという。一方、ファンブレードや圧縮機には目立った異常はなく、鳥の羽根も付着していなかった。そのため、安全委は鳥などの障害物がエンジン内部に吸い込まれた可能性は低いとみている。
同機のエンジンは米プラット・アンド・ホイットニー社製。取り込んだ空気を高圧にした上でジェット燃料を混ぜて燃焼。タービンが回ることで、ファンブレードの回転につなげて推力を得る仕組みだ。安全委は今後、メーカーの協力も得てエンジンを更に詳しく調べる方針だ。
元日本航空機長の杉江弘さんは「金属疲労などでブレードの破片が飛び、(エンジン内部の)燃料配管を損傷させて燃料漏れを引き起こして引火した可能性がある。定期点検をはじめ、整備が適切だったのかが、調査の重要なポイントとなる」と指摘した。【内橋寿明】