ライフハッカー編集部 - ニュース・コラム,映画,科学,趣味 08:00 PM
観客が原因で、映画館の空気はシーンごとに変わる?
Popular Science:人間の体は『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を観ているときに感じる胸のドキドキを、完全には封じ込めておけないようです。映画の上演中に「空気が変わる」ことは、比喩でなく本当にあるという研究結果が発表されました。
Natureの電子ジャーナル『Scientific Reports』に、5月10日付けで発表された研究論文によると、映画館の空気は、観客の心理状態によってその化学的組成が変わってしまう場合があるとのことです。
私たちが息を吐くとき、それと共に何百種類もの化学物質が体外に出ますが、それらの中には、体内で起きている化学変化を示すものもあります。「もし、映画によって強い情緒反応が引き起こされるのであれば、その後まもなく、(心臓血管系や運動器系、神経内分泌系、自律神経系などで起こる)体内の生化学反応による揮発性生成物が空気中に放出されるのではないか」と、研究グループは推測したのです。
これが本当かどうかを確かめるため、研究グループはドイツのマインツにある映画館で、天井の排気口から出てくる空気を集めました。研究の対象となったのは、全部で16作品、上映回数は108回にのぼります。映画の内訳は『ウォーキング with ダイナソー』から『マチェーテ・キルズ』まで幅広く、観客数はのべ9500人を数えました。
観客の体から放出されて空気中を漂う化学物質の多くは、ストーリーが展開するにつれて、数値を著しく変化させました。中でもサスペンスとコメディに分類されるシーンは、組成の変化にもっとも強い影響を及ぼしているようでした。
研究グループは、もし第三者がこうした変化を知覚できるのであれば、組成の変化は「警戒せよ」とか「警戒解除」などのシグナルとして機能している可能性がある、と推測しています。
さらに論文には、「同席した観客によって生成された化学物質という付随的な要素によって、観客ひとりひとりの、その映画に対する感想が変わってしまう可能性がある」とも書かれています。
The Air In Movie Theaters Actually Changes From Scene To Scene|Popular Science
Kate Baggaley(訳:阪本博希/ガリレオ)
Photo credit: Bonita Sarita via VisualHunt / CC BY-NC-SA