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銘柄分析
Written by 谷山歩 3記事

「楽しい時」が帰り時

「株のお祭り騒ぎ」マザーズ銘柄で泣かないための2つの心得

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(写真=PIXTA)

資産を増加させるためには株価が大きく上昇する株式を購入する必要があり、多くの投資家は「新興市場銘柄」とりわけ「マザーズ市場の銘柄」を買う傾向にある。

たしかにマザーズの銘柄はものによっては数十倍にまで株価を膨らませるものも多く、言い方は悪いがそれこそ「一発あてる」ことで資産を一気に倍増させることが可能だ。

しかし、その反面で株価が上がり過ぎた場所を買ってしまうと「株価の天井」を引くことになってしまい、その後の株価急落をくらって資産が一気に減少する。

そんなことにならないためにもこの記事では、そのような新興市場の株式が上がり過ぎる局面、そして天井をついて急落する局面の2つの局面に分けて考察してみよう。

マザーズ銘柄大暴落の実例

直近、株式市場でおこった実例として、テーマ株としてにぎわいを見せたジグソー <3914> 、ブランジスタ <6176> の2つの例をあげる。ほかにも多くの銘柄が暴落したが、前述の2銘柄は特に下落の仕方が激しく、参加していた投資家も非常に多かった。

まずジグソーだが、この銘柄は上場後まだ1年もたっていないが株価は上場時の4000円台から一時的に2万円を超えるまでに株価を膨らませている。しかし5月13日を最後にたった3日間で株価は一気に20000円から10000円近辺まで暴落をする。

次はブランジスタだが、こちらも上場後1年たっていないが、上場時の600円台から株価は一時的に15000円台まで株価を伸ばすものの、5日間で6000円近辺まで暴落する。

ちなみに天井でこの銘柄を買っていた場合、最低売買単位の100株のみでも100万円以上の含み損失が生じることとなる。なお、この2銘柄の下落はヤフーファイナンスなどの株価チャートで確認をしてもらいたい。

株価大暴騰のメカニズム

新興市場のテーマ株が大きく上昇する際に、投資家たちの間で「祭り」という言葉が使用されることが多い。猫も杓子も上昇株を買い、買えば誰しもが儲かる状態であり、その上昇はいつまでも続くような錯覚を持つ状態をいう。

そのような上昇はいずれ終わるのだが、祭りに参加している投資家たちはそのことに気づかない、もしくは気づかないふりをしてしまう。そうして我慢できずに暴騰した株の天井をよりによって「信用取引」などを利用することで購入してしまうのである。

信用取引とは簡単にいえば借金のようなものである。金を借りて株を買うのだ。なぜ祭りに参加する投資家が信用取引を使用するのかというと、理由は2つある。

1つ目がラッキーパンチで利益が出せた素人の投資家が今後も出せるだろうと安易に考えて、強気姿勢で株を買い追加してしまうために使用される。

2つ目が暴騰株が既に株価があがりすぎて、現物取引(持っている資金)では買えない水準になっているから仕方なく金を借りて株を買おうとする。

この2つの理由が重なり株価が熱狂的な状態になっているがゆえに暴騰株の天井付近では本来なら入らないはずの架空の資金(信用資金)が大量に流入することになる。つまり、簡単に言えば一つの銘柄でバブル的な現象が起きていると言える。祭りに参加している投資家はこの時点では最高に楽しい気分になっているが、この時点が潮時(株の売り時)だといえる。

株価大暴落のメカニズム

さて株価が上がると利益を確定するために安い株価で購入した人たちが株を売る。祭りが熱狂的な状態になると多少の売りを吸収して株価は上がり続ける。しかし吸収しきれないほどの大きな売りが出てきたときに、買いが支えきれずに株価は一気に下がり始める。

この時点においてはいまだ祭りの最中だと信じる投資家たちは株価が下がったら買いチャンスだと勘違いして買いに走るが、そのうち売りが止まらないことに気づく。そして、とことん株価が売られる「ストップ安」になり株が売れなくなる。

ストップ安になると、売りが殺到して株を売ることができない状態に一時的になる。高値で株を購入してしまった投資家は急いで株を処分しようとするが大抵は後の祭りである。

もしストップ安になった日の翌日に運よく売却することができれば損失は少なくて済むが、問題はストップ安が連続で続くようなほどひどい下げになる場合だ。

実はさきほど信用取引で金を借りて株を買う投資家がいると説明したが、この投資家たちの保有株にある一定の損失が生じると信用取引を強制的に決済されてしまうことがある。それは追証の投げと呼ばれ、損失がこれ以上膨らまないように投資家の意に反して市場に売りがでるのだ。これによって株価の下落はより一層加速することになる。

暴騰株の急落をチャートで見ると一発でわかるが、株価を上げる時にはゆっくりと、下げる時には一気に下げていることが分かる。いわば祭りの熱狂が覚めた投資家たちが我先にと売りを出そうとしているためパニック的な売りとなるのだ。

新興銘柄を取引する際の心得「資金管理」「リスク管理」

初心者であるならこのような銘柄を取引をする際には十分な注意が必要だ。まず、暴騰している株はいずれ下げ始めることを認識しておく必要がある。そのうえで取引するのであれば、十分な余裕資金を投じた上で、下落が生じたら損失覚悟で撤退をする覚悟が必要だ。投資の世界では、これを「資金管理」と「リスク管理」と呼び、弱肉強食の株式市場で長期的に生き残るために必須の能力とされる。これらを十分学んだうえで資産増加に挑んでいただきたい。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学を卒業後、証券会社において証券ディーリング業務を経験。2級ファイナンシャルプランナー。ヤフーファイナンスの「投資の達人」においてコラムニストとしても活動。2015年には年間で「ベストパフォーマー賞」「勝率賞」において同時受賞。ネットマネーや日経マネーと言った経済雑誌での執筆活動も行う。個人ブログ「インカムライフ.com」を運営。

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