京都・舞鶴市、ヨウ素剤分散備蓄へ 原発事故対応
関西電力高浜原発(福井県高浜町)の30キロ圏に全域が入る京都府舞鶴市が、重大事故時に服用して被ばくを抑える安定ヨウ素剤の備蓄場所を市内に分散する方針を決めたことがこのほど、分かりました。現在は市内1カ所で集中備蓄しているが、地震や水害などが重なった場合、事前配布している5キロ圏外では全住民への配布に懸念があり、複数の備蓄場所設定に向けて関係部局が調整している。
市は原子力規制委員会の対策指針に基づき、ヨウ素剤を原発5キロ圏と準じる地域で3歳以上約540人に事前配布。5~30キロ圏の約8万5千人には事故後に配布する。ヨウ素剤は市保健センター(同市余部下)で一括管理しており、住民の避難行動開始に合わせ、市職員が学校や公民館など市内32カ所の避難時集結場所に運んで配布する計画。
市は3月に住民避難計画を改定、地区ごとに住民説明会を開いているが、住民からは「交通渋滞が起き、一刻を争う中でヨウ素剤を確実に配ってもらえるのか」などの不安や、児童生徒のため学校での分散保管を求める意見も出ている。
市は、過去に氾濫した由良川、原発に近い大浦半島、東西に分かれる市街地といった地理条件を考慮し、市内3~5カ所の公共施設での分散備蓄を検討している。市危機管理室は「混乱なく住民に安定ヨウ素剤が配布できるよう分散して備蓄したい」としている。
【 2016年05月28日 16時50分 】