アンパンマン。
数年前、子どもたちにとって神様のような存在だった彼について、ある噂を聞いたことがある。
アンパンマンバレ
その噂の内容は、大筋、こんなものだった。
「アンパンマンって、2〜3歳くらいまでの子供たちに大しては、最強なコンテンツ。
だけど、子どもが5歳くらいになると、『アンパンマンなんかにハマっていることがバレると恥ずかしい』という、ユニバレ(ユニクロの服を着ていることが周囲にバレて恥ずかしいと思うこと)ならぬ”アンパンマンバレ”という気持ちが生じるみたい。
結果、急激にその神通力を失うんだよね」。
−アンパンマンバレ−。
当時は、「ふーん」程度にしか思っていなかった。
でも、今、それは事実として、確実に長男に訪れているようだ。
長男が放った衝撃の一言:「アンパンマン、キモいもん」。
考えてみれば、確かに最近、パッケージにアンパンマンのキャラクターが載ったスティックパンを食べる機会は本当に激減したと思う。
だからだろう、ぼくは子どもたちにとってのヒーローにまつわる、このへんてこな噂が本当かどうか確かめたい衝動に駆られた。
だから、ふと、長男に聞いたんだ。
ぼく)「最近、アンパンマン見てないようだけど、もう見ないの?」
長男)「うん、アンパンマン、キモいもん。」
ぼく)「!!」
長男)「 それに妖怪ウォッチのジバニャンよりも弱いし。食パンマンなんていつも食パン食べてるし」
ぼく)「ええー、ジバニャンより強いと思うけど笑」
長男)「でも、もういいの。面白くないもん」
ぼく)「そ、そうか・・・。もういいのか。。」
衝撃だった。
言葉が紡げなかった。
アンパンマンに興味を失ったどころの話ではなかったのだ。
長男は、彼を、アンパンマンをキモいとまで言い放ちやがったのだ。
アンパンマンラブだった、あのころ
思い返すと、本当に1年ちょっと前まではまったく様相は違っていたと思う。
- そもそも録画したアンパンマンを欠かさず見て、
- 「あ〜んパーンチっ!」といってパンチを喰らわしてきたり、
- アンパンマンのパンをむしゃむしゃしたり、
- アンパンマンのリンゴジュースをぐびぐび飲んだり、
- アンパンマンミュージアムにも2回行ったり。
未だに強烈に印象に残っているのは、やはり、アンパンマンミュージアム。
1歩足を踏み入れただけでアンパンマン色に染まる宇宙空間。
敷地面積は全然違えど、その空間はまさにディズニーランドのアンパンマン版と感じたもの。
- 一緒にジャムおじさんのパン工場に入り、キャラクターのパンを頬張ったよね。
- アンパンマンがいっぱいのトイレで用を足したよね。
- お土産で、アンパンマンの本を買ったよね。
- あの、ギネス記録(アンパンマンの登場キャラクターは1700を超えていて、ギネス記録に認定されています)と言われるたくさんのアンパンマンの仲間たちと写真を撮りまくったよね。
胸いっぱいの思い出とともに、脳裏によぎる、浜崎あゆみのなんとかって曲。
「今日がとてもアンパンマンで楽しいと、明日もきっとアンパンマンで楽しくて
そんな日々が続いてく、そう思っていたあのころ♪」
検証:アンパンマンに非はあったのか
永久不滅だと思っていたアンパンマン。
でも、噂通り、長男の心のなかには、彼の居場所はなさそうだ。
では、改めて考えてみようではないか。
彼に何か落ち度はあったのだろうか?
なぜ神通力を失ってしまったのだろうか?
世の中でアンパンマンの存在感は今も昔も圧倒的
上記の記事は少し前に、ぼくがブログネタのためにメモしていたサイトだ。
ここには輝かしい彼の実績がこれでもかと記されている。
幼児向け歯ブラシでは、ライオンがアンパンマンでシェア首位を守る。サンスターは09年にポケットモンスターを採用したジョンソン・エンド・ジョンソンにも大きく水をあけられていたが、しまじろう人気でかなり巻き返したようだ。
歯ブラシは当たり前。幼児向けパック飲料だって朝飯前。
幼児向けパック飲料でもシェア首位は明治の「明治それいけ!アンパンマン」シリーズだが、売れ筋は果汁が多く、甘いもの。すくすくやさいは野菜100%の商品もあり、新市場を開拓した。
映画だって強いさ。
幼児向け映画でもやはりアンパンマンは強く、昨夏公開のシリーズ第24作「それいけ!アンパンマン よみがえれバナナ島」は5億1000万円の興行収入をあげた。
どう考えても、決してアンパンマンがマイナスになる何かをしたことはないし、
親であるぼくと妻が恣意的にネガティブキャンペーンを張ったわけでもない。
だとしたら、どうして、彼は長男の心から墜ちたのだろう?
「アンパンマンは役割を終えた」説
そんなぼくは、改めて長男が放った言葉を反芻していた。
長男)「 それに妖怪ウォッチのジバニャンよりも弱いし。」
そしてピンときたんだ。
長男がアンパンマンに心躍らせていた頃。
その頃は、長男が他に見るアニメはほとんどなかったはず。
なぜそう思うかというと、その時期にアンパンマン意外の番組のDVDの録画予約をした記憶がないからだ。
でも今は違う。
妖怪ウォッチにレゴニンジャゴー、スパイダーマンにペンギンズ、戦闘中に逃走中、VS嵐に世界の果てまでイッテQ・・・。
圧倒的に、アンパンマンにとって、TVの画面を奪い合う競合が増加している。
とすれば・・・
彼はその競争に敗れたといえる。
「そんな敗者であるアンパンマンにハマってるなんてことが友だちにバレたらいやだ」、という、アンパンマンバレという感情も理解できる。
だけど、本当は・・・
本当は、アンパンマンは役割を終えたといったほうがいいのだろう。
まだ、言葉も分からない時期に、シンプルなストーリーと、シンプルなキャラ設定という出で立ちで華々しく存在感を示した。
そして、子どもたちが言葉が分かるようになり、いろんなものを判別出来るようになったタイミングで、他のアニメやバラエティ、おもちゃにその席を譲った。
彼は自ら、舞台を降りていったんだ。
また、次に彼を必要とする幼い子どもたちのために。
まとめ:子どもがアンパンマンが好きな時期は超貴重!
まとめよう。
簡潔に言おう。
子どもがアンパンマンにハマる時期は、ほんとうに数年のみだ。
そのわずかな期間でしか、日本が誇る世界レベルのコンテンツたるアンパンマンと触れ合うことは出来ない。
親としても、心して対峙しなくてはならない、プライスレスな時間なのだ。
アンパンマン。
ありがとう。
そして、さようなら。
ほんだらのー!