東京都大田区の羽田空港で27日、大韓航空機の左翼エンジンから出火した事故で、エンジンの多数の部品が外側を覆うカバーを突き破って滑走路上に散乱していたことが分かった。同日午後から現場の調査を始めた運輸安全委員会が明らかにした。安全委は、離陸へ滑走開始直後にエンジン内部で異常が起こった可能性が高いとみている。
事故が起きたのは、羽田発ソウル行きのボーイング777型機。乗客302人、乗員17人の全員がシューターで脱出した。東京消防庁によると、脱出時などに20~70代の男女19人が打撲などの軽傷を負ったり体調不良を訴えたりした。
国土交通省は、大規模な事故につながりかねない重大インシデントと認定。運輸安全委は航空事故調査官4人を羽田空港に派遣した。韓国の国土交通省も状況確認のため、監督官1人を同空港に派遣することを決めた。大韓航空は27日夕、乗客輸送のため韓国の金浦空港から代替機を羽田に飛ばした。
運輸安全委によると、航空機が停止した約700メートル手前からエンジン関連の部品が散乱していたほか、ブレーキ痕もあった。「滑走開始直後に破裂音が聞こえた」との乗客の証言もある。安全委は機長らから事情を聴くとともに、フライトレコーダー(飛行記録装置)などを解析して詳しい出火原因を調べる。
警察庁によると、テロの兆候を示す情報は把握していないという。
事故を受け、羽田空港はA~Dの4滑走路を全面閉鎖。約2時間後にC滑走路を除く3本の運用を再開し、C滑走路も午後6時20分すぎ、発着を始めた。午後8時時点で300便が欠航し、54便が目的地を変更するなどの影響が出た。