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伊勢志摩サミット首脳宣言を採択 「新たな経済危機回避」

拡大会合に臨む安倍首相(右手前から6人目)らG7首脳とアジアなど7カ国の首脳ら=27日午前、三重県志摩市で(代表撮影)

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 主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)は二十七日午前、世界経済への対応や南シナ海情勢などに関する首脳宣言を採択した。世界経済に関する「伊勢志摩経済イニシアチブ」を盛り込み、先進七カ国(G7)が財政、金融、構造改革の三つの政策を進める「三本の矢のアプローチの重要な役割を再確認する」とした。中国が軍事拠点化を進める南シナ海情勢では、平和的解決など三原則をうたった。サミットは同日午後、安倍晋三首相が議長として記者会見し、閉幕する。

 首脳宣言では、世界経済の現状について「回復は続いているが、成長は引き続き緩やかでばらつきがある」とし、昨年のサミット時と比べ「世界経済の見通しに対する下方リスクが高まっている」と指摘した。「新たな危機に陥ることを回避する」として、G7として「適時に全ての政策対応を行う」と掲げた。

 首脳宣言では財政、金融、規制緩和などの構造改革について「個別、総合的に用いる」と強調。一方で、それぞれの国がどのような政策を取るかは「各国の状況に配慮」するとした。焦点だった財政出動に関しては各国の債務残高に留意しつつ「機動的に実施」するとした。

 海洋安全保障では「東シナ海および南シナ海における状況を懸念」と表明。中国の名指しは避けたが、国家は国際法に基づき主張する▽自国の主張を通すため力や威圧を用いない▽仲裁を含む平和的手段による紛争解決を追求する−との三原則を盛り込んだ。

 核軍縮については、G7の「最優先事項の一つ」と再確認。核兵器が「非人間的な苦難」をもたらしたとして四月のG7外相会合で採択した「広島宣言」を支持した。

 北朝鮮の核・ミサイル開発に対しては「最も強い表現で非難」と明記し、北朝鮮に国連安保理決議を完全に履行するよう求めた。拉致問題を含む国際社会の懸念に直ちに対処するよう強く求めた。

 温暖化対策の新枠組み「パリ協定」の年内発効に向けた努力も盛り込んだ。

◆課税逃れ対策も 6付属文書採択

 伊勢志摩サミットは二十七日午前、首脳宣言以外に、六分野にわたる付属の合意文書も採択した。

 一つは「腐敗と戦うためのG7の行動」。タックスヘイブン(租税回避地)を利用した課税逃れ対策として、租税回避地に設立された会社や口座の「実質的所有者」の情報について透明性を確保し、資金洗浄を防ぐことなどを確認した。

 「テロ・暴力的過激主義対策に関するG7行動計画」では、サミット参加各国がテロ関係者の情報を共有。国境警備で旅客機の乗客予約記録を活用し、文化財の不正売買阻止など資金源根絶に取り組むとした。

 「女性の能力開花のためのG7行動指針」は、教育や職業訓練での男女格差解消、女性の理系分野でのキャリア促進に向けた奨学金拡大、安全保障や防災での女性進出を盛り込んだ。

 「サイバーに関するG7の原則と行動」では、テロ目的でのサイバー空間利用の増加に懸念を示し、サイバー攻撃に対抗するための密接な協力を確認。

 「質の高いインフラ投資推進のためのG7伊勢志摩原則」では、投資先の雇用創出につながる投資促進を明記。

 「国際保健のためのG7伊勢志摩ビジョン」では、ジカ熱など公衆衛生分野の緊急事態に対する連携強化を盛り込んだ。

 

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