サミットが終わりましたね。
個人的には、「消費税増税延期の証拠作りにサミットが利用された」という印象が強いです。
あと、オバマさんが広島に行ったという印象も。
初日、安倍さんは「リーマンショック前後の様相」と、これまで言ってきた「増税延期の条件」を直接匂わせる言葉を使っていましたが、2日目の発言では聞かれなかったですね。
報道を見ていると、どうやら、ドイツのメルケルさんに「いい加減にしときなさいよ」と窘められたようです・・・。
さて、サミット開催期間中に、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が、利上げする可能性を述べたようです。
去年の12月におよそ10年ぶりに利上げをして以降、「さらに上がるぞ~」って予測は常にありました。
今年のうちに4回上げるって話もありましたし。
問題は、それが何時なの?ということで、FRBの会合前には騒がしくなるのですが・・・。
どうやら、6月か7月には決定されるみたいです。
ところで、アメリカは何で利上げしたいの?って疑問を持ったことはありませんか?
あるいは、アメリカの利上げで何で大騒ぎするの?という疑問。
特に日本で暮らす自分たちにとって、どんな影響があるの?という疑問です。
このあたりをできるだけ分かりやすく、シンプルに記したいと思います。
低金利ってどういうこと?
金利が変わるとどうなるの?
まず、金利が変わるとどうなるの?ですが、一言で言えば「お金の流れが変わる」となります。
- 金利が高いと、預けている人は得 / 借りている人は損
- 金利が低いと、預けている人は損 / 借りている人は得
となります。
お金をもっている人は、少しでも金利が高いところに預けようとします。
また、金利が低いとお金がない人でも借りやすくなり、金利が高いと早めに借金を返そうとします。
政策的に、利下げを「金融緩和」と呼び、お金を借りやすくして景気を良くします。
一方、利上げは「金融引き締め」、行き過ぎた景気上昇に歯止めをかけることを示しています。
低金利だとどうなのか?
今は金利が低いですね。これは「金融緩和」実施中、ということです。
個人で見ると、銀行にお金を預けても、利子は雀の涙にもなりませんが、住宅ローンの利子は下がっているので、その負担は少なくなっています。
このように、金利が低いと借りている人が得をしているわけです。
これを会社に当てはめると、
「お金を溜め込んで利子をもらうよりも、お金を借りてそれを事業で回したほうが、差し引きで儲かる」
となるのです。
つまり、投資が促進されるわけですね。
会社がたくさん投資をして生産力をあげると、稼ぎが増えます。人手不足になって失業者は減り、社員の給料も上がります。
給料が上がった分、気前がよくなり金払いが良くなります。
ということで、金利を下げたら景気が上向きます。
皆、ウハウハですね(笑)。
アメリカが利上げしようとする理由
だったら金利は低いままでいいじゃないかと思うのですが、残念ながら、そうでもないのです。
まず、設備投資をして商品の供給を増やしたところで、必ずしも需要(=消費)が伴うとは限りませんし、いつか、どこかで頭打ちします。
すると、不良在庫に過剰設備の山、という悲惨な状態になります。
(もちろん、そうならないようにするのが経営者の手腕ですが・・・)
それと、余ったお金の行き場探しが起きます。
設備投資がいっぱいいっぱいになると、不動産とか株とかの資産にお金が流れ、やがて投資から投機に変わります。
すると、どんどんと値上がりし、実態価値以上の価格になるのです。
バブルですね。
バブルですから、いつかは弾けます。そのときの反動は、ひどいものです。
そもそも、ゼロ金利とか、マイナス金利というのは、異常事態ですよね。
お金そのものを商品だと見立てると、それを売っても儲けがないのですからね。
ということで、長い間、低すぎる金利政策であったアメリカは、そろそろ適正化したい、つまり、利上げしたい、と考えているのです。
アメリカの利上げで何で大騒ぎするの?
借金の負担が増える
利上げ後に借金すると今までより損することになるので、アメリカの企業は、借り入れを見送ります。
すると設備投資が少なくなって、生産性は横ばいか低下します。
また、借金を返せていない会社は金利負担が増えます。
よって、企業業績が悪くなる可能性が高まります。
ドル高になる
次に、アメリカ人のお金持ちは、国内で貯金してもたいして儲からないので、少々リスキーでも利息の高い海外(特に新興国)で預けています。
ところが、利上げされれば、アメリカのほうが安全ですからお金を戻します。
現地のお金を売って、ドルを買う、つまり、ドル高になるのです。
これは、別にアメリカ人だけではなく、世界中のお金持ちも同じようにドルを買うと考えられます。
ドル高になると・・・、アップルやマイクロソフトなど、アメリカの輸出メインの会社の業績は、悪くなります。
大騒ぎする理由
ということで、利上げをすると、企業の借り入れ負担が大きくなり、また、ドル高になるので、アメリカの企業は「困る!!」のです。
利上げ自体、行き過ぎた景気の抑制が目的でありますが、その上げ幅によっては、抑制どころか、とんでもない悪影響になるかも、という懸念があります。
あわせて、それが何時行われるかによって、お金を移動させる最適のタイミングが決まりますからね。
なので、いつ、どれだけ利上げするのか?と大騒ぎになるのです。
FRBのイエレン議長が、「年内4回の利上げ」と言いつつ、実行してこなかったのは、その影響が大きいからでしょう。
おそらく、「上げるよ~」と言って、市場に準備(=折り込済みといいます)をさせていたのではないかと思いますが・・・。
日本への影響
ドル高になるということは、円安になるわけですから、日本の輸出企業にとってはプラスになります。
あわせて、日本株への投資も行いやすくなりますね。
なので、株価上昇!、日本の景気向上!!と考えるのが妥当なのです。
ところが・・・。
日本の輸出先国であるアメリカの景気が悪くなると、日本商品が売れなくなります。
いくら為替差益が出ても、それ以上に売り上げが落ちると・・・。
そして、日本の株価はアメリカに連動しているといわれますが、「落ちるときに連動する」といったほうが正しいかもしれないのです。
上のチャートは、この1年間のニューヨークダウ、下は日経平均です。
落ちるときは同じように落ちますが、上がるときはそうでもないのですね。
特に、1月半ば以降、アメリカは上がっているけど、日本は横ばい。
これで、アメリカが落ち始めたとき、日本が逆行して上がるか?と聞かれると・・・、大声でYES!と答える人は、まずいないのではないでしょうか。
むしろ、株は下がる!景気は悪くなる!!と考える人のほうが多いかもしれません。
私は、一度ドンと下がって、その後、上がると予想しています。
ま、よそうはウソヨ、ですけどね。
まとめ
株価自体、さまざまな要素で上がったり下がったりします。
為替のプラス要因とアメリカの経済悪化(悪化するとはかぎりませんが・・・)というマイナス要因が、どの程度、相殺するか、あるいは、中国をはじめとした各国の社会・経済状況など、いろんな影響があるので、どうなるかは本当に神様にしか分からないのでしょう。
なお、おそらくですが、短期的には円安になると思いますので、アメリカ旅行を予定している人は、利上げ前にドルに替えておいた方がお得かもしれませんよ。
もちろん、保証しませんが。
以上、アメリカの利上げの意味と影響について、記しました。
かなり乱暴に端折っている部分もあります。大体、こんなもんだといった程度でご理解ください。
そして、この手の話にご興味のある方は、こちらをどうぞ。
では、また。
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*本ブログの記事を徐々に移しています。
◆中高年の登山初心者向けのブログ。もちろん、若い人もご一読を。
*「登山ツアー参加のメリット・デメリット」をUPしました。