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【芸能・社会】

佐藤浩市には演技力超えた力ある 映画「64」原作者・横山さん大絶賛

2016年5月28日 紙面から

「64−ロクヨン−後編」で熱演する佐藤浩市(右)と三浦友和(C)2016映画「64」製作委員会

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 公開中の映画「64−ロクヨン−前編」(瀬々敬久監督)の原作者・横山秀夫さん(59)がこのほど、本紙のインタビューに応じ、主演をつとめた俳優の佐藤浩市(55)の魅力について語った。

 劇中で佐藤が演じたのは県警の広報官・三上義信。県警記者クラブの記者たちとの丁々発止のやりとりや、県警の内部抗争での苦悩や葛藤を抱えながら自身の信念に基づいて突き進む。もともと、佐藤のファンだったという横山さんは「主演が佐藤さんと聞いた時は思わず小躍りした」と顔をほころばせた。

 佐藤が横山さんの原作で主演をつとめるのは、2001年放送のドラマ「逆転の夏」(TBS)、05年放送のドラマ「クライマーズ・ハイ」(NHK)に続き3作目。佐藤の演技力について横山さんは「もともと、色気のある俳優さんだと思っていた。複合的な感情の数は私が考えると、80とか90に分けられるが、その多くを視覚的に分からせることができる、演技力を超えた力がある」と絶賛する。

 映画の後編ラストは原作と大幅に設定が変わったが、佐藤の意見も大いに反映された。そんな経緯もあり、横山さんは「脚本を読んで『映像としてはこのやり方もあり』と思いはじめ、最後は『このやり方しかなかったのかな』と思うようになった。結果として、うまく、活字(原作)とのすみ分けができた」と満足げな表情だ。

 「本であれば『100ページ前にこういうことを書いてあったから、主人公の今の気持ちはこうだろう』と読者が想像することができるが、佐藤さんは何の前置きも説明もなくそういう感情を表出させられる」と、自身の描いたキャラクターを演じる佐藤にほれ込んでいる。今後、佐藤に演じてほしい役柄を聞くと「この先、佐藤さんに出ていただけるような作品を書けるかは分からないが、『これだ!』という作品が書けた時には(主演するように)念を送ろうと思う」と創作意欲をにじませた。(高橋謙太)

 ◆「64−ロクヨン−」 横山さんの原作を2部作で映画化。佐藤演じる県警の広報官・三上が、自身が刑事として関わった、わずか7日間で幕を閉じた昭和64年に発生した未解決の少女誘拐事件の謎に迫る。出演はほかに綾野剛、榮倉奈々、瑛太、三浦友和、永瀬正敏ら。前編は7日に公開され、22日までに動員82万人、興行収入10億円を突破。後編は6月11日に公開される。

 ●横山秀夫(よこやま・ひでお) 1957(昭和32)年1月17日生まれ、東京都出身。国際商科大学(現東京国際大)卒業後、上毛新聞社に入社。91年に「ルパンの消息」が「サントリーミステリー大賞」の佳作を受賞したことを機に同社を退社。98年に「陰の季節」が「松本清張賞」を受賞。著作の「半落ち」「クライマーズ・ハイ」「臨場」「出口のない海」などが映像化されている。

 

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