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地デジ電波を直流電流に 金沢工大院生がアンテナと回路

開発したアンテナ、回路を前に研究の成果について話す古田貴大さん(右)と伊東健治教授=石川県野々市市の金沢工業大で

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古田さん設計 世界トップ級の発電効率

 金沢工業大大学院博士前期課程1年の古田貴大さん(25)=名古屋市出身=は、地上デジタル放送用電波を効率よく直流電流に換えるアンテナと回路を開発した。都内での実験では東京スカイツリーから半径25キロ内、東京23区を網羅する範囲で腕時計を動かすほどの電流が得られた。広範な地域に電源供給できる技術として注目される。

 古田さんが開発したアンテナ、回路は安価な部品を使い、アンテナの形状やアンテナがとらえた電波を直流電流に換える整流回路を工夫。電波のエネルギーを世界トップ級の8.7%という高い効率で電気エネルギーに換えた。

 回路駆動には電流より電圧が重要だが、都内での実験ではスカイツリーから25キロ離れた地点で100万分の1ワット以下の微弱な電波を受け、約0.2ボルトの電圧を得ることに成功した。

 今回は地上デジタル放送の約500メガヘルツ帯の電波を使用。古田さんが次に狙うのは、Wi−Fi(ワイファイ)などに使われる2.4ギガヘルツの高周波マイクロ波。「家庭用Wi−Fiでテレビ、エアコンなどのリモコンや壁時計を電池なしで動かせるようになったら」と意欲をみせる。

 指導した伊東健治教授は「遠隔地の監視システム、例えば地滑りを予知する傾斜計や通行人カウンターなどに使えるのでは。無線電力電送研究の一方で微弱電流で駆動する機器の開発も進んでおり、用途は広がっていく」と話した。

 古田さんは今月5、6日、ポルトガルで開かれた米国電気電子学会マイクロ波技術ソサエティ主催の国際学会で論文を口頭発表。同学会の学生論文賞で3位を受賞した。 (松本芳孝)

 

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