【巨人】菅野、26イニング連続自責ゼロなのに…今季初黒星
◆巨人0―1阪神(27日・東京ドーム)
悔しさを押し殺した。孤立無援の菅野は試合後、厳しい表情で前を向いた。7回1失点(自責0)、26イニング連続自責ゼロの力投も報われない。またも打線の援護に恵まれず、3試合連続で勝ちがつかないどころか今季初黒星。チームも自身登板10戦目で初めて敗れたが「初回にどんな形であれ、1点を取られた。受け止めないといけない。悔しい」と気丈に振る舞った。
初回1死一、二塁。ゴメスの三遊間への内野安打を坂本が三塁へ悪送球。この間に先取点を奪われた。過去9登板、4回まで全て無失点。初めて序盤に失点したが、後続を打ち取って最少失点で踏ん張った。6回2死二、三塁では今成を外角低めの147キロ直球で見逃し三振に打ち取りガッツポーズ。「できるだけ最少失点に抑える。それ以上のことはできない」と122球の熱投も、味方の貧打に見殺しにされた。
3月31日のDeNA戦(横浜)の8回から40イニング連続自責点0。5月5日に広島・天谷に2ランを打たれたが、それ以来、この日を含めて最近3試合はまた自責ゼロ(2失点)が続く。だが、菅野はその個人記録にこだわりを見せない。そこには、エースとしての強い自覚があるからだ。
「チームとしての失点というくくりで見ないといけない。自責点で見ると(味方の失策など)どこかに妥協点を見つけて言い訳がましくなってしまうので。そこは責任を持ってやっていきたいと思っています」
だから、この日、初回に坂本の失策で失点した後、1死満塁で高山を遊ゴロ併殺に打ち取って味方のミスをカバー。拳を握って感情をむき出しにした。
菅野がマウンドにいる間、味方打線は22イニング連続無得点と沈黙。防御率0・56で4勝1敗となった悲運のエースを由伸監督は「ちょっとしたことで失点したけど、どうこうというものでもない」とかばった。
2学年後輩の相手先発・岩貞とは、東海大時代にともに日本代表として、米国での日米大学野球選手権を戦った。防御率1位、2位対決で1―0の投げ合いを結果的に制したのは2位の岩貞。「素晴らしい投手だ。でもプロなんでね。いい投手だと思って終わるのでなく、また対戦するチャンスがあったらやり返さないといけない」。無念の黒星で、エースの反骨心に火がついた。(片岡 優帆)