レザー課長です。
今回は「革靴の手入れ方法」について私が常日頃行なっている方法をレクチャーしていく。
営業マンの足元は常日頃見られている。そんな革靴の手入れはちゃんと行き届いているだろうか?私は革靴の手入れも仕事の一つとして捉えている。いくら「デキる営業マン」でも足元に気を配れない営業マンは結果の底が見えている。先輩上司に注意される前に気付いてほしい。あなたの革靴は汚れていないだろうか??
5分でできる!履く度に行う手入れ方法
「革靴の手入れは“毎日”行う!」
そう聞くと、急に億劫に感じてしまう人が多いが、実は毎日の手入れにかける所要時間は私も5分弱。手入れには、毎日のデイリーケアと、月に1度程度のスペシャルケアに分けられる。デイリーケアに必要なことは至ってシンプルで「その日の汚れを落とす」ということだけ。
肩肘張らず気軽に行ってみよう。もっと思考を柔軟にして「毎日の5分で差を付けられる」と考えてみると楽しくなる。
必要なアイテム
①綿の布or着なくなったTシャツ
あまりキメが粗いものを使用すると、かえって革靴にキズが付いてしまうのでキメの細かい布やTシャツなどがベスト。
②革靴用ブラシ
馬毛100%のブラシを使用すること。市販600円程で購入できる。
赤い四角枠で囲っているのは革靴用のクリーナー。特にあると便利で汚れが落としやすい。なければ布と馬毛ブラシでも問題はない。
ステップ1:大きな汚れを馬毛ブラシでブラッシング
外出時や通勤時などで、付いたホコリを馬毛ブラシで落とすことが目的だ。アッパー部分全体にかけてブラッシングする。
表面のホコリや汚れを落とすことが目的である。力を入れすぎると柔らかい馬毛ブラシでもキズがつく可能性があるため、しつこい汚れは何度も優しくブラッシングすること。ホコリを払うような感覚で、革靴の表面に馬毛ブラシが触れる程度で構わない。
アッパーとソールの間は重点的に行うこと。もし汚れが落ちにくかったら柔らかい歯ブラシを使うと落としやすい。
ステップ2:大きな汚れが落ちたら布拭きで仕上げ
ブラッシングで大きな汚れを落とし、布やTシャツで仕上げる。
ステップ1である程度の汚れは落ちている。しかし、布やTシャツで仕上げに磨くことでより革靴に光沢が生まれる。この際にクリーナーを使うことでより革靴がキレイに仕上がる。履く度に行う作業としてはここで終了だ。所要時間としては5分もかからないかもしれない。繰り返しになるが、デイリーケアの目的は「その日の汚れを落とすこと」。
また、一度履いた靴は連続して履かずに2~3日間隔を空けて履くこと。人間の足は一日でコップ1杯分(200~300ml)もの汗をかく。一日中歩きまわった革靴の中は実感がなくても汗だくで、いつでも湿気100%。一度履いたら「休ませる・履かない」というのも立派なデイリーメンテナンスの一つ。
厳密に言うと、「毎日」ではなく「履く度」に手入れをする。一日中履いた革靴は、営業の社員でも事務の社員でも、革靴に汚れがつかないことはない。普段私達が毎日お風呂で体や髪の毛を洗うように、革靴も毎日手入れをしてやるのが基本。オイルに関しては、正直なところ「革の材質」により異なる。例えば「カーフ」などの高級レザーは、履いていなくても手入れ・オイル補給が必要。ここの記事では、いわゆる一般的な革靴を対象としたベースとなる内容なので、逆に手入れに自信が無い人はカーフの革靴を買うべきではない。
月1回でOK~自宅でできる革靴の栄養補給とガッツリ手入れ
革靴は「生き物」。最低でも月一回の栄養補給が必要になってくる。栄養補給をしないと革靴はすぐに傷み、良い革靴でも2ヶ月も保たないことがある。しかし、この栄養補給はやり過ぎてもいけない。必要以上の補給はかえって革靴を劣化させる原因にもなるため月1回~2回にとどめる。また、私が1週間に2度以上同じ革靴を履かないのでこのぐらいの頻度で済んでいるということも言える。つまり、革靴を履く頻度、ローテーションのサイクル、仕事環境などで大きく変わってくるということを覚えておいてほしい。
革靴が「生き物」というのは、型にはまった手入れ方法がそもそも存在しないという意味である。
必要なアイテム
①綿の布or着なくなったTシャツ
あまりキメが粗いものを使用すると、かえって革靴にキズが付いてしまうのでキメの細かい布やTシャツなどがベスト。
②馬毛ブラシ
馬毛100%のブラシを使用すること。市販600円程で購入できる。
③豚毛ブラシ
馬毛ブラシよりも毛自体が固く、クリームを伸ばしたりなじませる際に使用する。仕上げとしての艶出しにも使用するのでできれば2つ用意して使い分けたい。
④革靴用クリーナー
月一回の時にはとことん汚れを落としてあげることが重要なので、揃えておこう。
⑤革靴用クリーム
栄養補給のために必要となる。革靴の劣化の防止に油分の補給が必要になる。また、色落ちしている場合は色クリームも一緒に使用する。靴クリームには無色のものと色付きのものもある。
⑥撥水or防水スプレー
撥水・防水スプレーは、水からの害を防ぐ主目的も当然あるが、埃や汚れを付きにくくする防塵効果も実は備えている。最後の加工というイメージで使用する。
⑦’あると便利なアイテム
・シューキーパー
形を維持したまま手入れができるのでブラッシングやクリームを塗る際に塗りやすくなる。シューキーパー信者には申し訳ないが、正直言うと「必至のアイテム」ではない。新聞紙で十分代替可能であり、むしろ新聞紙の方が自由自在でお金もかからない。
・歯ブラシ
歯ブラシは、靴底のサイドや靴底に付いた汚れを落とす際に便利だ。もし時間に余裕があればやってもらいたい。
ステップ1:汚れを落とすブラッシング
月に1度のスペシャルケアでは靴紐全部取っ払い、しっかり手入れしていこう。
馬毛ブラシでブラッシング。基本はデイリーケアと変わらない。力を入れずに歯を磨くように磨きたい部分に馬毛ブラシを当てながら汚れを落としていく。しつこい汚れは後ほどのクリーナーに任せる。ここで、重要なのはブラシで落とせるだけの汚れを落として、革靴の状態を確認すること。
もしここで大きなキズが見つかったらこちらを参考にしてほしい。
ステップ2:クリーナーで細かい汚れを落とす
革靴専用クリーナーを布or馬毛ブラシにつけて革靴に塗っていく。基本的な汚れはクリーナーで落とすことが可能だ。キズのようについた汚れでも研磨するように落とすことができる。またここでは雨シミを確認しておく。雨の日に履かなくても、居酒屋の場などで飲み物などをこぼされても雨シミのように黒い斑点として残る。
雨シミが見つかったらこちらを参考に。

クリーナーを使うことで、落ちにくい汚れもガッツリ落とすことができる。しかし、クリーナーにも油分や水分が含まれているため付け過ぎると却ってシミになってしまうため、一回で付ける量としては布が湿らない程度の量に抑える。足りない時は布に継ぎ足して革靴を磨いて汚れを落としていく。
ステップ3:余分なクリームは拭き取る(乾拭き)
ステップ2で塗ったクリーナーでも油分を含んでいるため、余分なものは取り除くこと。人間の体を洗った後のボディソープを洗い流すイメージ。余分な油分が残っていると酸化を引き起こし革靴は痛んでしまう。
布に関しては2枚用意しておこう。もし1枚しか用意していない場合は写真のように布の中でキレイな面を使用すること。クリームは染みこむと落ちにくいので、クリーナーで汚れを落としきったらすぐに余分なクリームを拭き取る。
ステップ4:革靴に栄養補給(靴クリームを塗る)
ステップ3までは、履く度に行う作業である。ここから重要になってくるのは、必要な油分や水分の補給。靴クリームには色付きのものがあり、私は常に色付きのものでその靴の色に合わせて使い分けている。また、特に色付きクリームが必要でない場合は「M.MOWBRAY デリケートクリーム」を使い栄養補給をしている。黒の革靴に関しては、黒か無色のものしか使わない。
また、見た目上色が落ちていない靴でも、色付きクリームは使用していく。色付きのクリームは「色付け」が目的ではなく栄養補給が目的である。見た目でわからなくても、革の内部は乾ききっているため、クリームで栄養補給していくのだ。。
最初の段階で紐を全部外しておくと、このように細部に渡り栄養が補給できる。特に靴紐で圧迫された足の甲の部分は乾燥するとシワができやすい。月一回のスペシャルケアでは細部まで拘ってほしい。ここでもつけすぎに注意して塗ること。また、擦るというよりなじませるといったイメージで行う。油分や水分が行き渡るように薄く伸ばしながら全体の色合いを確認して塗っていく。クリームではタイプできない「色あせ」についても確認しよう。
もし色あせているようであれば、こちらの記事を参考してほしい。
ステップ5:栄養がなじむのを待ってから最後の仕上げへ
ステップ4が終わった後は3分程放置し、油分がなじむのを待つ。その後余分な靴クリームが浮いてくるため、豚毛ブラシで取り除いていく。この作業でさらに革靴に光沢が生まれる。

油分を含んだ靴クリームは、多く残ると固まり雨シミのような厄介な汚れになる。なじましたあとの磨きが重要になってくる。
ラストステップ:撥水スプレーor防水スプレーで汚れ予防
磨き終えた革靴を少しでも長く維持できるように、撥水or防水スプレーで仕上げる。
吹きかける際は、近過ぎず20~30cm程離して全体にスプレーをかける。
手入れした革靴は休憩
手入れした革靴を早く履きたいという気持ちは痛いほどわかる。しかし、しっかり手入れをしたからこそ少し革靴を休憩させて万全状態に引き上げていく。特に前日に履いたものでなければ2日~3日、通気性の良い日の当たらない場所で革靴を休憩させよう。
この「休憩・放置」のステップが、革靴の寿命を引き延ばす重要な行程になる。
手入れで決まる「仕事と革靴」の寿命
「手入れって面倒だなぁ~」って思うかもしれないが、例えば子供を授かったり、ペットを飼いはじめたら、その育児や育成に「めんどくさい」という感情は生まれないはず。もちろん、革靴に対する温度差の違いもあるかもしれないが、それは「手入れの重要性」を正しく理解していないからかもしれない。つまり、「革靴による成功体験」があなたにないからこそ重要性を感じないのだと思う。どうしてデキる営業マンや、名だたる社長らが口を揃えて「靴を磨きなさい」と言うのか、一度考えてみると意識が変わるかもしれない。