【新竹=伊原健作】半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)は2017年1~3月期をメドに、回路線幅が7ナノ(ナノは10億分の1)メートルの半導体の生産を始める。劉徳音・共同最高経営責任者(CEO)が26日、台湾・新竹で開いた技術シンポジウムで明らかにした。微細化技術で競う米インテルや韓国サムスン電子に先駆けたい考えだ。
TSMCは17年1~3月期をメドに回路線幅が7ナノメートルのシステムLSI(大規模集積回路)の小規模生産を開始し、18年1~3月期に量産体制に入る方針だ。生産する工場や規模、投資額などの具体的な計画は明らかにしていない。
用途として、主にデータセンター向けを想定している。すべてのモノがインターネットにつながる「インターネット・オブ・シングス」(IoT)や人工知能(AI)、自動運転車などの技術の進展でデータセンターの重要性が高まっている。7ナノ製品の実用化で「コンピューターをさらに高性能にできる」(劉氏)としている。
半導体回路を微細化すると処理能力が向上し、生産コストが下がるため、各社がしのぎを削っている。データセンター向け半導体で世界シェア99%を握るインテルは17年下期に初の10ナノ製品を発売する予定だが、7ナノ製品に関する予定はないとしている。
TSMCの現行の最先端品は16ナノ製品で、米アップルのスマートフォン「iPhone6s」などに使われている。17年初めに10ナノ製品の量産を開始する方針だ。サムスン電子は16年末に10ナノ製品の量産準備に入ると4月に表明している。7ナノ製品ではTSMCが先行する姿勢を示したことで開発競争が激化しそうだ。