「出産立ち会う権利ない」夫、男性産科医を銃撃
【カイロ秋山信一】保守的な風土が残るサウジアラビアの首都リヤドで25日、女性の出産に立ち会った産科医の男性が、出産後に訪ねてきた女性の夫に銃撃され、重傷を負う事件があった。逮捕された夫は「男性の医師に出産に立ち会う権利はない」と主張した。サウジでは公共の場で男女が接することは望ましくないとされ、親族や友人にも妻を会わせない男性が多い。
事件が起きたのは、サウジ最大規模の病院「キング・ファハド・メディカル・シティー」。病院の発表や地元メディアによると、女性は5月中旬に来院。以前に受診したことはなく、男性産科医の立ち会いの下、自然分娩(ぶんべん)で出産した。
夫は25日に「お礼のためだ」と称し、病院の庭で医師と面会。衣服の下に隠し持っていた銃で、男性の胸などを撃った。医師は集中治療室(ICU)で治療を受けているが、容体は安定しているという。
サウジでは、公共の場で男女を分離すべきだとの考え方が根強く、飲食店や銀行でも男性向けと女性・家族向けのスペースを分けている店が多い。報道によると、サウジ保健省は男性医師が女性を診察する場合、女性看護師が立ち会うよう指示している。今回の事件について、ソーシャルメディアでは、医師に同情する声が多数を占めている。