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あえて「二流社員」を選んだ人たちの賢明なる生き方

有井太郎
2016年5月27日
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一流への登竜門となる管理職を
目指さない人が増えた構造的な原因

 人事コンサルタントの山口俊一氏は、「二流の生き方との関連性はわかりませんが」と前置きした上で、ビジネスパーソンが管理職に魅力を感じない構造を説明する。

 「平均年齢の高齢化に伴って、管理職は狭き門になっています。しかしその割に、日本の管理職は他国に比べて賃金面でのメリットが少ないんです。さらに、長時間労働の会社などは、残業代がなくなるぶん、管理職の方が給与ダウンするケースも少なくありません。もちろん、責任負担を避けたいこともあるでしょう」

 こういった管理職のネガティブな点が、昇進意欲を抑止しているのは明らか。もちろん、それは「国や日本企業の将来」といった大きな視点で見ると、あまり良いことではない。山口氏が指摘する。

 「以前と比べて、明らかにビジネスパーソンのハングリー精神は弱まっています。となると、戦後の高度経済成長を遂げたような活力は望めません。普通に考えれば、国際競争で劣勢になっていくでしょう」

 そうした未来が現実になれば、私たちにとっても喜ばしいことではないはず。それでも、実際に働いているビジネスパーソンからすれば、会社や日本の幸せよりも自分の幸せを優先してしまうもの。そうして追い求める形として、「二流の生き方」があるのではないだろうか。

 一流のような重圧やしがらみはなく、三流のような悔しさを感じることもない。絶妙なポジションで、安定した人生を送る。そして、本業だけではない様々な人生の楽しみを謳歌する。それが二流の生き方のメリットと言えそうだ。

 ただし、今回話を聞いた人に共通していたのは、彼らにそれ相応の人望や能力があったこと。出世を拒みながら、それでも企業が必要とするほどの人望、1人で事業を行える能力――。それらがなければ、実現しなかった生き方ではないか。また、出世を望まない彼らだが、“本業”である仕事への姿勢は真摯だったことも印象的だった。

 人生の価値観は人それぞれ。「二流の生き方」と言われて、喜ぶ人は少ないかもしれない。しかし、本稿に登場した人たちが、楽しそうに人生を振り返っていたのは確かである。あなたは彼らの生き方を見て、何を感じるだろうか。

世論調査

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