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1000万円も…賃貸住宅での高額賠償請求 権利保護シンポジウムで議論

自死遺族等の権利保護シンポジウムで、自殺を理由にした賃貸住宅での高額賠償請求について対策を議論する弁護士ら=東京都千代田区の衆院第1議員会館で2016年5月27日、中村美奈子撮影

 自殺者の遺族が直面する差別や偏見を法律面から解決する手立てを探る「第5回自死遺族等の権利保護シンポジウム」が27日、東京都千代田区の衆院第1議員会館で開かれた。

 遺族からの相談を受け、弁護士や司法書士、精神科医などの専門家につなぐ遺族らの活動団体「自死遺族等の権利保護研究会」の主催。賃貸住宅の場合、自殺を理由に部屋の改修費用や賃料の減額分などとして約1000万円もの高額な金銭を大家から請求されるケースがある。シンポジウムでは、弁護士や大学教授らが、高額の損害賠償請求への対抗手段について議論した。

 専修大法科大学院の山田創一教授は「大家側に高額な請求をされても、過大な請求は額を引き下げることができる。想定外の死に対して遺族は責任を負わないと主張し、認めさせる裁判例を積み重ねていくことが必要」と述べた。

 和泉貴士弁護士は「孤独死では、新たな入居者にその事実を告知する必要はないと認めた裁判例があるが、自殺は告知義務を求められるのが現状。入居者がいやな気分になるからという心理的瑕疵(かし)の概念が不動産業界では当然とされているが、そもそも曖昧で非科学的な考え方であり問題だ」と訴えた。

弁護士らの討議に続いて、精神科医の野田正彰氏が精神科医療の問題点について講演した=東京都千代田区の衆院第1議員会館で2016年5月27日、中村美奈子撮影

 最後に精神科医の野田正彰さんが、薬物投与が中心の精神科医療の現状について講演した。「薬を飲むことでは病気と闘う力は湧いてこない。精神科医の仕事は本人がやってきたことを肯定し、自己洞察を導く積み重ねのうちにある」と語った。【中村美奈子/デジタル報道センター】

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