料理研究家 山本朝子のコラム&レシピ

食

No.46 「少年の心も育てるよい食事」

友人の高校教師から聞いた話です。30年近く教師として働き、いろいろな学校に転勤して痛感することがあると。

「生活が乱れ、中退者の多い高校では、そうでない高校と比べると、勉強よりも何よりも生徒が食べているもの内容が違う。」

まず、朝ごはんを食べてこない。昼はコンビニでの買い食い。コンビニのおにぎりやお弁当でも毎日続ければ問題ありですが、スナック菓子やさまざまな炭酸飲料が食事のようにとられていて、そのカスがゴミ箱にあふれている。晩御飯はいうまでもなく、家で食べることはほとんどいない。

家庭で作られたものを食べる習慣のない少年たちは問題行動に走ることが多いという事実を否定する材料はほとんどないようです。

今から30年ほど前、山口百恵さんが結婚のため引退される際、「貧しかった子供のころ、和食は白いご飯におしょうゆ、洋食はおソースをかけて妹と母と3人でおいしくいただいたものでした。貧しくとも幸せでした。結婚したら、温かい家庭を作ることに専念したい。」とおっしゃっていましたが、それは、もし、おしょうゆや、ソースが本ものであれば、上記の問題行動を起こしがちな少年の食生活とはまったく違う「心のこもった清貧の食卓」といえるのではないでしょうか。

丸中醤油のような古式製法で作られた醤油の中には、麹菌をはじめとして、旨味をかもし出す自然由来のアミノ酸、使用した材料、小麦、大豆、自然塩の持つたくさんの栄養素が満ち溢れています。

古式製法で作られたソースもまた、果物が発酵した微生物の力が大いに発揮され、使用されたたくさんの野菜やフルーツの栄養素が満タン入っていることでしょう。しかし、悲しいことに発酵材料を使用しているソースメーカーは現在日本には「B社」一社しかないということです。

食べるものであっても、食べるべきものではないものが売られていて、人の心を蝕んでいる、そういう世の中であることが悲しいですね。本ものの食べものがなくなってしまわないよう、お料理の仕事についている私たちがきちんと伝えていきたいと思います。

特に問題行動を起こす生徒が多い学校では、家庭科の枠をはずして、ヒトという生き物として食を考える授業を学習課程に入れるべきです。

今月は、少年にでもできる、朝食の洋風スープ、夕食の厚揚げのすき焼きのレシピにしました。ほんもののおしょうゆがあれば速攻おいしくできるものです。

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