- Home
- 経済・税財政
- 安倍首相「日本も世界も確実に景気回復・成長軌道だ」→伊勢志摩サミットから突如「リーマンショック級の危機」←G7で日本だけ「ゼロ成長」「マイナス成長」、アベノミクスでリーマンショックより落ち込んだ実質賃金と家計
安倍首相「日本も世界も確実に景気回復・成長軌道だ」→伊勢志摩サミットから突如「リーマンショック級の危機」←G7で日本だけ「ゼロ成長」「マイナス成長」、アベノミクスでリーマンショックより落ち込んだ実質賃金と家計
こたつぬこさんのツイートです。
安倍さん、これまでさんざん賃金上がってるだ雇用は増えてるだ言ってきたのに、突然「実はリーマンショック級の危機です」とかどこの詐欺師やねん。
— こたつぬこ (@sangituyama) May 26, 2016
そして、NHKと共同通信の報道です。
サミット討議で首相「リーマンショック前と似た状況」
NHKニュース 5月26日 17時25分安倍総理大臣はG7伊勢志摩サミットで、世界経済の現状について、リーマンショックの前と似た状況にあるという考えを示しました。安倍総理大臣は、これまでリーマンショック級の出来事があれば、消費税率の引き上げを延期する可能性があるという認識を示しており、今後、引き上げ延期の見方がさらに強まることも予想されます。
消費増税、夏の参院選前に判断
安倍首相、世界経済の危機強調
共同通信 2016/5/27 18:11安倍晋三首相は27日、三重県で開催された主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の閉幕に合わせて記者会見し、来年4月に予定する消費税率10%への引き上げの是非を夏の参院選前に判断すると表明した。リーマン・ショック時の経済指標の落ち込みと比較し、現状の世界経済が危機に陥るリスクを強調。政策を総動員して対処する観点から検討するとした。来週にも増税再延期の方針を発表するとみられる。夏の参院選に合わせた「衆参同日選」の可否を巡る質問には言及を避けた。
サミットで突如として、「リーマンショックの前と似た状況」と言い出した安倍首相。まずサミットの前は何と言っていたかを振り返っておきましょう。
▼参議院 予算委員会 2016年3月7日(国会議事録より)
安倍首相「欧米の景気回復に支えられ、世界経済は緩やかな回復が続く」
「日本経済は企業が最高の収益上げ雇用が増え実体経済も強い」
安倍首相 今の山崎委員の御質問は、世界経済が大変不安になっているのではないか、日本でも市場が大きく変動して大丈夫か、こういう不安を代表して質問していただいたのではないのかなと、このように思います。
世界経済については、基本的には石原大臣がお答えをさせていただきました。そうしたものを背景に、世界的にリスク回避の動きが金融市場で見られるわけでありまして、その中で我が国の市場も大きく変動しています。
しかし、先般のG20の声明においても、G20が集まって世界経済がどういう状況なのかということを分析した結果、最近の市場の変動の規模はその根底にある世界経済の現在のファンダメンタルズを反映したものではないという認識が示されたわけでありまして、これはまさに今私が申し上げましたように、リスク変化を求める中において市場が大きく変動しているということを裏付ける声明であったのではないのかなと、こう思います。
我が国の経済の実態を見れば、これはもう御承知のように、名目GDPでは27兆円増えました。そして、各企業は最高の収益を上げています。企業が収益を上げられていないという状況であれば、これは確かに実体経済が弱いということになります。また、雇用が増えていないという状況であれば、これはもう非常に経済が厳しいという状況でありますが、そうではなくて、雇用においても110万人の新しい雇用をつくり出すことができているわけでございます。
世界経済については、確かに弱さが見られるわけでありますが、全体としては緩やかに回復をしていると。先行きについても、欧米の景気回復に支えられ、緩やかな回復が続くことが期待されます。こうした中で、我が国経済の先行きについては、新興国経済や市場の動向に注視はもちろん必要でありますが、雇用・所得環境の改善が続く中、民需に支えられた景気回復が見込まれると、このように思います。
▼参議院 予算委員会 2016年3月3日(国会議事録より)
安倍首相「世界経済は全体としては緩やかに回復している」
「日本の経済、ファンダメンタルズはしっかりとしたもの」
「雇用・所得環境の改善が続く中、民需に支えられた景気回復が見込まれる」
「経済の好循環継続」
我が国の実体経済を見れば、もはやデフレではないという状況をつくり出す中で、政権発足以降、名目GDPは27兆円増加をしましたし、何といっても、企業は過去最高の収益を上げています。企業の動向がこれは非常に厳しいというのであれば実体経済は厳しいかもしれない。しかし、企業は最高の収益を上げていて、かつ政労使の対話等も通じ、この上げた最高の収益は給与となって17年ぶりの賃上げにもつながっている。労働市場も24年ぶりの有効求人倍率の高さにあるし、これは全国全ての都道府県で有効求人倍率は改善をしているという状況でございます。また、失業者も60万人減少をしておりますので、日本の経済、ファンダメンタルズはしっかりとしたものであろうと、このように思います。
世界経済については弱さが見られるものの、全体としては緩やかに回復しており、先行きについても欧州の、欧米の景気回復に支えられ、緩やかな回復が続くことが期待されます。
こうした中で、我が国経済の先行きについては、新興国経済や市場の動向に注視が必要でありますが、雇用・所得環境の改善が続く中、民需に支えられた景気回復が見込まれるわけでありまして、今後とも、国際社会と連携しながら、内外の情勢を注視しつつ、雇用の改善や金利の上昇を通じた経済の好循環を継続させていかなければならないと、このように考えております。
▼参議院 決算委員会 2016年1月21日(国会議事録より)
安倍首相「消費税増税後も成長軌道に戻ってきている」
17年ぶりとなった前回の消費税引上げ後は、これは確かに委員が御指摘のように、予想よりもはるかに消費の落ち込みが大きかったわけでありまして、その後もその傾向は続いたわけでございますが、こうしたこともあり、平成二十六年度の経済成長率は当初の見込みを下回ったわけであります。ただ、当初、堅調な内需に支えられた景気回復を見込んでいたのは、政府の経済見通しのみならず、これは民間の経済見通しにおいても同様であったことは申し上げておきたいと思います。
消費に大きな影響があったということを判断したからこそ、まだ消費は弱いという中においてデフレ脱却の道が危うくなると判断したからこそ10%の引上げを1年半延期したところであります。
この間、我々はしっかりと3本の矢の政策を進めてまいりました。その結果、賃上げも順調に行われているのは事実でありまして、成長軌道に戻ってきていると、このように思う次第でございますが、今後ともしっかりと今までのこの政策を、3本の矢の政策をしっかりと前に進めながらデフレ脱却を確かなものにしていきたいと、このように考えております。
▼2016年1月4日 安倍内閣総理大臣年頭記者会見
安倍首相「景気は確実に回復軌道を歩んでいる」
この3年間で雇用は110万人以上増えました。17年ぶりの高い賃上げも実現し、景気は確実に回復軌道を歩んでいます。
サミット前の安倍首相の発言は、アベノミクスが大成功し景気は確実に回復軌道を歩んでいるというものですが、実際はどうでしょうか。
今朝の東京新聞の指摘です。
安倍首相は世界経済停滞の原因は新興国経済の減速と強調するが、先進国では日本自体が今年はほぼ「ゼロ成長」の見込みで、各国の中で「一人負け」の状況。金融政策で経済をテコ入れする安倍戦略のほころびは隠しようもない。
東京新聞 2016.5.27
東京新聞が指摘するように、日本経済の全体を見ても、安倍首相が言っていることは大ウソだということが分かるのですが、直近のデータも紹介しておきます。5月20日に厚生労働省が「毎月勤労統計調査」の2015年度確報を発表しました。実質賃金をグラフにしてみると以下になります。
上のグラフにあるように、アベノミクスはこの26年間で実質賃金を最低にしました。しかも、5年連続の実質賃金低下は過去初めてです。そして、リーマンショック時の2008年度の2.5ポイント低下よりもアベノミクス下の2014年度の2.9ポイント低下の方が大きく実質賃金が下がっているのです。
下のグラフは、朝日新聞のサイトからです。(5月20日付)
上のグラフにあるように、実質賃金の前年度比で見ても、リーマンショックよりアベノミクスでの落ち込みの方が大きいのです。
そして下のグラフは以前も紹介した「激しく落ち込む家計消費支出」ですが、一目瞭然、リーマンショックよりアベノミクスがはるかに激しく落ち込んでいます。
日本経済を支える柱である家計をリーマンショック以上に落ち込ませておいて、「景気は確実に回復軌道を歩んでいる」とか「経済の好循環が生まれている」とか、よくも言えたものです。リーマンショックもサブプライムローンという詐欺と略奪のシステムの崩壊が引き金だったわけですが、アベノミクスも安倍首相の詐欺(大ウソつき)と略奪(消費税増税)で成り立つという意味でも「リーマンショックに似ている」と言えるかもしれません。
この記事へのコメントはありません。