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イギリスに実在した「ノッカー・アップ」と呼ばれる職業とは!?

目覚まし時計が発明される前、「ノッカー・アップ」と呼ばれる職業があった。産業革命を陰で支えた牧歌的でユニークな職業、誕生の背景から消滅までのまとめ。

更新日: 2016年05月27日

szczesnyndjiさん

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▼ ノッカー・アップとは?

Photo by George Marks / Retrofile

イングランドやアイルランドに存在した職業で、産業革命期に誕生して隆盛し精度の高い目覚し時計が入手しやすくなった少なくとも1920年代終わりまで存在した。

産業革命の始まりは1760年頃から。日本は江戸時代。

各地に大規模な工場が建てられ、大勢の労働者たちは、毎日決まった時刻に工場に出社することを義務付けられました。寝坊しようものなら、遅刻として罰金も取られかねません。

時計そのものは進化を遂げ、家庭にも普及していきましたが、目覚まし機能はありませんでした。そして、寝坊による遅刻は、収入にとって深刻な問題だったようです。

▼ 目覚まし屋、その起こし方とは?

当時のイギリスはアパートが多かったので、いくつもの階を回って1件1件ノックしていくのは、効率が悪かったので、『ノッカー・アップ』は長い棒を持ち歩き、その棒で外から依頼者の家の窓をノックしたそうです。

ノッカー・アップは依頼者が目を覚ましたことを確信するまで依頼者の窓から立ち去ることも無かったという。

一般的にノッカー・アップに携わったのは年配の男性と女性だったが、時には警察官が朝のパトロールの間に収入の足しにしようとノッカー・アップの仕事も行ったという。

こんな感じで依頼者を起こしていたようです。

▼ 豆鉄砲を使ったノッカー・アップもいた

写真の女性は、メアリー・スミスさん。

多くの目ざまし屋は長い棒で起こす人の寝室の窓をたたくことで起こしたらしいのですが、メアリー・スミスさんが使ったのは、なんと拭き矢のように豆を飛ばしたのだそう。スゴイ技術ですね。

▼ 絵本にもなっている

作・絵: アンドレア・ユーレン
訳: 千葉 茂樹
出版社: 光村教育図書

メアリーの仕事が進むにつれ、空が少しずつ明るくなっているのがはっきり分かります。メアリーがいなければ、町に朝はやって来ないのかもしれませんね。

不自由な時代の工夫、人とのつながり、いろんな事を感じさせてくれる本でした。

巻末には、ノッカー・アップの解説があります。

▼ 目覚まし時計の誕生

ロンドンで世界最初の万国博覧会が開かれ、最新鋭の工業製品のひとつとして目覚まし時計が出展されたのは1851年のことです。

そのころのものは、だいぶアバウトに作動するものだったようですが……1920年代後半になると、かなり精度の高いものが入手しやすくなりました。

日本では、1899年に初めて目覚まし時計を製造しました。また、江戸時代の日本は現代よりもシンプルでゆるい時間感覚だったようです。

▼ ノッカー・アップから目覚まし時計へ

Photo by Spike Mafford / Photodisc

目覚まし時計の普及に併せて、1920年代になるとノッカー・アップの数は激減し、その姿を消すことになります。

その後の目覚まし時計での生活は便利さに喜ぶ反面、寂しい気持ちもあったのでは?ノッカー・アップの朝を経験した人たちが、なんだか羨ましい。

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