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創業20周年を迎えたインティ・クリエイツに,創業当時の苦労話や2Dアクションゲームへのこだわりなどについて聞いてきた(ゲーム開発会社探訪 第1回)
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印刷2016/05/28 00:00

インタビュー

創業20周年を迎えたインティ・クリエイツに,創業当時の苦労話や2Dアクションゲームへのこだわりなどについて聞いてきた(ゲーム開発会社探訪 第1回)

 インディーズゲームの人気が高まるにつれて,それまでの大手パブリッシャに代わって開発会社が表舞台に立つ機会が増えてきた。クオリティが高く,オリジナリティのあるゲームを求めるゲームファンにとって,今や「どこが発売したのか」ではなく「どこが開発したのか」が,ゲーム選びのより重要な要素として位置づけられるようになってきたとも言えるだろう。

 そこで,今回から始まる新企画「ゲーム開発会社探訪」では,これまであまり表舞台に立つことがなかったものの,クオリティの高い作品を生み出し続けてきたゲーム開発会社にスポットを当て,数回に分けて紹介していく。

 第1回は,「ロックマン ゼロ」「ぎゃる☆がん」「蒼き雷霆 ガンヴォルト」などを開発し,2016年5月に創業20周年を迎えたインティ・クリエイツを訪問して,同社代表取締役社長 會津卓也氏と取締役社長 津田祥寿氏に,創業当時の苦労話や2Dアクションゲームへのこだわりなどについて話を聞いてきた。

左から,インティ・クリエイツ 代表取締役社長 會津卓也氏,同取締役社長 津田祥寿氏

インティ・クリエイツ公式サイト



「会社は簡単に作れる」って書いてあったんです


4Gamer:
 創業20周年おめでとうございます。まずはゲームデベロッパとして創業したきっかけからお聞きしたいのですが,当時の雰囲気はどんな感じだったのでしょうか。

會津卓也氏(以下,會津氏):
 ありがとうございます。創業は1996年で,PlayStationがドーンと展開し始めた頃です。あの頃はファミコンやスーパーファミコンでゲームを作っていた企業向けだけでなく,クリエイティブな人間に対する支援がいろいろとあったんです。
 その中でソニー・ミュージックエンタテインメント(以下,SME)さんが主宰していた「Club DEP」という企画コンテストで,創業メンバーの一人がプロ部門の優秀賞をいただいたのが創業のきっかけです。その前は,私自身も含めてカプコンの社員でした。

4Gamer:
 コンテストでの優秀賞がきっかけとはいえ,会社を飛び出すのはかなり度胸が必要だったのではありませんか。

會津氏:
 いろいろと調べてみたら,何かの本に「会社は簡単に作れる」って書いてあったんですよ。まあ,実際簡単に作れるんですが……。そのあとが大変なんですけどね(笑)。

4Gamer:
 カプコンに在籍していた当時は,どんな社員でしたか?

會津氏:
 私の代は同期が130人ぐらいいたので,会社が大きなアパートを一棟借りして,そこに社員をどんどん入れていくような形をとっていたんです。その中には同期の開発者だけでなく,管理部門,経営企画の人もいて,社会人になったばかりでいろいろと会社の仕組みに興味を持ち始める頃だったので,寮に帰ってからみんなで夕飯を食べに行くと「この会社はここが良い,ここが悪い」という話をしたりしていましたね。

4Gamer:
 プログラマー以外の,ふだん関わりが少ない人とも交流を持っていたんですね。

會津氏:
 そうです。だからこそ,そこでいろいろと話をしていくなかで,このままでは難しいと思ったことがありまして。あと,大きな会社の場合,「この人と仕事をしたい」と思っても,同じチームに配属されることはすごく少ないので,それが不満だったんです。「彼らと一緒に作ったら,面白いゲームができるに違いない」と思っていても,同じチームになることがない。それなら,自分達で会社を作ったらいいんじゃないかと。

4Gamer:
 なるほど,それで会社を立ち上げようという流れになったと。

會津氏:
 ええ。そこで,社内でこれはと思った人に片っ端から声をかけていったんです。「会社を作ろうと思っていて,口座を用意したから,ここに100万円振り込んでほしい。資本金にするから」って。

4Gamer:
 なんか,ちょっと危険な香りがする誘い文句ですね(笑)。

會津氏:
 どう聞いても詐欺ですよね(笑)。でも,それを詐欺と思わず本気でお金を振り込んでくれた人間が12人いたんです。

4Gamer:
 それはすごい!

會津氏:
 それで次にそのメンバーで集まり,どういう会社にしようかと話し合って,インティ・クリエイツという社名もそこで決まりました。僕はほかの社名にしたかったんですけど,多数決で決まってしまったんです(笑)。

4Gamer:
 立ち上げメンバーの中から,どうやって社長を選出したんですか?

會津氏:
 最初の発起ミーティングで社長をどうするかという話になったとき,誰かに「會津でいいんじゃない?」と言われて。「えっ? 俺,嫌だよ」と答えたんですが,「とりあえず」と。「じゃあ,とりあえず」って引き受けて,そのまま20年が経ちました。

津田祥寿氏(以下,津田氏):
 でも,言い出しっぺだからというのもありましたね。僕は立ち上げメンバーとしては最後のほうに入ったので,「言い出しっぺが社長ならいいか」と後ろのほうの席で聞いていた感じです(笑)。

會津氏:
 なので「とりあえず」の社長なんです(笑)。ほかにやる人もいないし,実際,みんな嫌がるんですよね。

津田氏:
 横で見ていると大変そうなんですよ。「やっぱりゲームを作ってるほうがいいな」ってなります(笑)。

4Gamer:
 ところで,大阪を離れて関東に来ることになったのは,どういう経緯だったんですか? 創業ということなら,大阪でも良かったのではと思うのですが。

會津氏:
 それは割と単純な理由で,最初のクライアントであるSMEさんの所在地が都内だったからです。ただ,まったく土地勘がなかったので,「山手線に1時間ぐらいでアクセスできるところ」をターゲットに2週間ぐらいかけて相場を調べて回り,その中でも手ごろだった千葉県の北習志野に決めました。

津田氏:
 ただ,1時間はさすがに遠かったので,数年後に「次は30分の範囲にしよう」と市川に移りましたが。

會津氏:
 ともかく,こうして場所も決めて,みんなに「そろそろ来いよ!」って呼びかけたんです。

4Gamer:
 ほかのメンバーが集まるまで,不安はありませんでしたか。

會津氏:
 無いと言ったら嘘になりますね。阪神・淡路大震災があったりもしましたから。自宅が全焼してしまって,合流できなかった人もいました。とはいえ,最終的にはほぼ全員来てくれました。


2度続いたクライアントの消滅をパスタでしのいだ!?


4Gamer:
 ということは,創業間もない会社としては最初からある程度の人数が揃っていたわけですね。

會津氏:
 インティ・クリエイツでは,企画を立てるところから,ゲーム開発,デバッグ,マスターアップ,取扱説明書の作成,プレスリリースの準備まで,すべて社内で一貫してやりたいと思っていたんです。自分達の大切なゲームですから,ゼロから作ってお客様に届ける手前まで,開発者としてやるべきことは全部やりたいと。すべてのセクションを初めから揃えた結果,相応の人数になってしまいました。

津田氏:
 それでも,実際には人手が全然足りませんでしたが(笑)。

4Gamer:
 それで最初に作ったのが,PlayStation用ソフト「可変走攻ガンバイク」

會津氏:
 ひと言でいうと趣味全開のゲームですね。優秀賞をいただいた人間が中心となって企画を立ち上げ,コンセプトデザインを行って,ディレクションは津田が担当しました。

「可変走攻ガンバイク」
ぎゃる☆がん ぎゃる☆がん

4Gamer:
 10人ほどのメンバーでPlayStation用のゲームを丸ごと1本作るとなると,かなり大変だったのではないですか。

會津氏:
 1996年に会社を立ち上げて,「可変走攻ガンバイク」が発売されたのが1998年ですから,18か月ぐらい作ってましたね。

津田氏:
 今考えると,ゲーム内容が広すぎたというか,もっとミニマムにまとめたほうが良かった気がします。

會津氏:
 そもそも,それまでは開発に何百人もいるような環境だったので,感覚がずれていたんでしょうね。当時のチームで作るようなゲームの規模ではなかったかもしれません。ほとんど寝ずに作ってましたから。

津田氏:
 それでも,ほぼ2年かかりましたね……。

會津氏:
 カプコンのライブラリを持ち出すわけにはいかないので,みんなで手分けして基本的なフレームワークを作るところからスタートして,まともなものが動くようになるまで1年かかりました。そこからコンテンツを載せていったのですが,とにかく時間が足りない。SMEさんにα版を持っていったときは,プレイアブルキャラクターがちょこっと動いて,背景が表示されて……ぐらいの状態でした。

4Gamer:
 α版ならそれで十分なのでは?

會津氏:
 ただ,当時のSMEさんのα版は「あとは調整を残すのみ」という定義だったので……。

津田氏:
 そうそう,そうでしたねえ。

4Gamer:
 その定義,すごく厳しくないですか……。

會津氏:
 ですよね(笑)。カプコンにいた頃は,α版とはゲームの原理試作――つまり,「そのゲームの一番面白い部分が最低限分かるもの」というぐらいの内容だったんです。

津田氏:
 開発度でいうと30%程度の内容ですね。

會津氏:
 だから,このときも軽く動かして「(ゲームの)素性がいいね」「楽しそうだね」というのが分かるぐらいのものがα版という認識だったんですよ。そのつもりで持っていったら「全然出来てないじゃないか」って,怒られました(笑)。

「可変走攻ガンバイク」
ぎゃる☆がん ぎゃる☆がん

津田氏:
 言葉のすり合わせをしなかったのが悪かったといえば,それまでですが。そんなことすら分かっていない社会人だったんです。

會津氏:
 そんな24歳の若造だったんです。なかなか厳しかったですね。

4Gamer:
 それから,かれこれ20年。いろいろあったと思いますが,一番苦労されたことはなんでしょうか?

會津氏:
 「可変走攻ガンバイク」がしっかり売れればよかったんですけど,あまり売れず,しかも発売後にSMEさんがゲーム事業から離れたので,さて次の話をという段階でクライアントが消滅してしまったんです。20代の社長で,ろくに売れていないゲームを作った会社ですから,次の仕事をとるのが難しくて。
 そんな中,とある方にソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメントジャパンアジア。以下,SCE)さんをご紹介いただいて,次の作品を作れることになったんですが,その間,5か月ぐらいお金がなくて苦労しましたね。まあ,それも前哨戦なんですけど(笑)。

4Gamer:
 前哨戦なんですか!?

會津氏:
 ええ。2作めの「LOVE&DESTROY」を作ったあと,今度はSCEさんがサテライトカンパニーを廃止することになって,そのときにお付き合いしていたアーク・エンタテインメントさんが無くなってしまったんですよ。2作めを出したあと,再びクライアントが無くなってしまったわけです。

4Gamer:
 うわあ,キツイですね。

會津氏:
 2作めもそれほど売れなかったですし,それもあって次のお話もなかなか決まりませんでした。我々はオリジナルゲームをゼロからパッケージまで,すべて作るのがコンセプトだったので,受託開発を考えてなかったんです。なので,このときは9か月ぐらい仕事がありませんでした。

津田氏:
 仕事が来ないので,お金もないまま,とりあえず何か作っているという感じでしたね。

「LOVE&DESTROY」に登場するメカ,バトルポッド
ぎゃる☆がん ぎゃる☆がん ぎゃる☆がん

會津氏:
 会社の家賃も払わないといけないので,何人かに出向してもらって家賃を捻出していました。私も正月を越すのにキャベツと鶏肉を買ってきて,水炊きして社員みんなで食べたりとか。あと,思い出深いのは400グラム入りの乾燥パスタですね。あれを100円で買ってきて25グラムずつ食べると,16食分になるわけです。それに醤油をかけて食べていました。

4Gamer:
 かなりの節約生活だったんですね……。それだけ長期間仕事がないと,辞めていく人もいたのでは?

會津氏:
 そのときに辞めた人はいませんでしたね。ただ,創業時のコンセプトはいったん保留して,受託もいくつか受けようと方向転換しました。そんな苦しんでいるときに,何かのショウでカプコンブースにいらした稲船敬二さんに「ロックマンを作りたい」という話をしたら「企画を持ってきなよ」と言ってもらえて。それで作ったのが「ロックマン ゼロ」。これがターニングポイントとなって業績が上向き,創業5年めぐらいから,ようやく会社が動き出した感じです。

津田氏:
 そうですね,ちゃんとしたというか。

會津氏:
 ちゃんとお金が払える会社になった,というか(笑)。


一番馬鹿げてるから作ろう! 「ぎゃる☆がん」制作秘話


4Gamer:
 「ロックマン ゼロ」で会社としての転機を迎えたとのお話ですが,インティ・クリエイツのタイトルの特徴として,2Dアクションゲームが多い印象があります。やはり,2Dに対するこだわりがあるのでしょうか。

津田氏:
 創業してからの2本は3Dモデルを使ったアクションゲームでしたが,これらを作ったあとに「自分には3Dを作る才能がないんじゃないか?」と思ってしまって(笑)。では,自分が一番得意なものは何だろうと考えたとき,やっぱり2Dアクションだろうと。もともとカプコンに入社したのも「ロックマン」を作りたかったからですし,そこにならこだわってもいいのではないかと考えるようになりました。

會津氏:
 そういえば「ぎゃる☆がん」の企画も,もともとは“2Dのアクションゲーム”というお題の社内コンペで出されたんですよね。女の子のキャラクターでレールシューターを作ろうという企画を出してきた人がいて,お題とまったくズレていたので一度は失格になったんですが,あまりにも面白いから津田が「作ろう!」と言いだして。

津田氏:
 あれはパッと見た瞬間に「一番馬鹿げてる」と思いました。だから「作ろう!」って(笑)。真面目な話をすると,そのときもゲーム的な爽快感や気持ちよさといった,遊びの大事な部分をきちんと考えながら企画を判断していたのですが,「ぎゃる☆がん」の企画を見たときに,このセンスは新しいなと思ったんです。これを作ったら,目立つだろうと。

「ぎゃる☆がん」
ぎゃる☆がん

會津氏:
 そして,ここからまた苦難が始まるんですよ(笑)。

4Gamer:
 今度は何があったんですか?

會津氏:
 とにかく難産でした。「ぎゃる☆がん」はXbox 360で2011年に発売していますが,もともとの企画書は2008年に上がっていたんです。

津田氏:
 さらに,コンペが終わったあとに「ぎゃる☆がん」を2Dでやるか3Dでやるかという話になって,何か月か試作を作ってましたね。

會津氏:
 昔の疑似3Dゲームに,奥から手前へだんだん拡大するようなスプライトを使ったものがありますよね。最初は,あれを手描きのイラストでやっていました。女の子が走ってきて,撃つと萌えポーズで倒れていくみたいな感じで作っていたんですが,数キャラ分作ったところで工数的にヤバいことになってしまって……。しかも当初はWiiで発売しようと考えていたんですよ。

4Gamer:
 なんと,そうだったんですか。

會津氏:
 最初の企画では,自分がゲームの中で拾ったパーツを使ってヒロインをカスタマイズしていくゲームだったんです。最終的には,そのヒロインを攻略するために並み居る女の子達を倒していきながら,告白して結ばれるという展開で。
 もちろん,いいパーツを付けてカスタマイズしたいところなんですが,そうするとヒロインがどんどん強敵になっちゃうんです。苦労してヒロインを攻略すると,ネットにそのヒロインをアップロードできるようになって,「俺のヒロイン倒してみる?」みたいな感じで自慢できる。つまり,ほかの人に自分がカスタマイズした自慢のヒロインを倒させるゲームだったんです。

4Gamer:
 そのバージョンの「ぎゃる☆がん」も,ぜひ見てみたかったですね。

會津氏:
 ただ,女の子を倒すことだけでも刺激的だと思っていたんですが,アルケミストさんにその企画を持っていったら「もっとエロくないとダメだよ」と言われてしまいまして。そのときの内容はそこまで刺激的じゃなかったんですが,もっと興味をそそるような感じにするとなると,Wiiはあきらめることになるなと。

「ぎゃる☆がん」
ぎゃる☆がん

津田氏:
 もし「ぎゃる☆がん」がWiiで出ていたら,センセーショナルな出来事だったでしょうね。

會津氏:
 プラットフォームの件だけでなく,インティ・クリエイツではしばらく3Dゲームを作っていなかったことも難産の原因でした。あらためて3Dゲームを作るための勉強をし直したりしながら,試行錯誤を重ねて作っていたんです。

4Gamer:
 「ぎゃる☆がん」の開発メンバーは何人ぐらいいたのですか?

會津氏:
 最後の最後は30人くらいいましたが,大体10人ぐらいですね。ただ,ほかの受託ラインが忙しい時期には4人ぐらいしか関わっていなかったこともあります。谷間の時期にコアメンバーが集結して開発を進めるという感じで,トータルで2年半ぐらいかけて完成させました。とにかく,いろいろと時間がかかってしまいましたね。


社長に「何か作って」と言われて生まれた「ガンヴォルト」


4Gamer:
 インティ・クリエイツといえば,もう1つ「蒼き雷霆 ガンヴォルト」(以下,「ガンヴォルト」)も外せないタイトルです。

會津氏:
 ええ。「ぎゃる☆がん」がひと通り落ち着いたあとで,その時に手が空いていたメンバーで「ガンヴォルト」を作っていきました。

4Gamer:
 「ガンヴォルト」もコンペでの企画立案だったんですか?

津田氏:
 いえ,「ガンヴォルト」は會津から「何か作って」と言われたのがスタートでした。

會津氏:
 インティ・クリエイツの15周年記念として,何かタイトルが欲しかったんです。でも,15周年には間に合いませんでした(笑)。

「蒼き雷霆 ガンヴォルト」
ぎゃる☆がん

津田氏:
 最初は,3か月ぐらいで開発できるようなものをと思って作り始めたんですけどね。ともかく,僕がやるとしたら,やっぱり2Dアクション。新しい,少年向けのヒーローが主人公で,ゲームシステムやターゲットについても頭の中にざっくりとしたイメージがあったので,内容的にはあまり悩みませんでした。

會津氏:
 実は,津田に新作の開発を頼んだのには2つの大きな目的があって,1つはオリジナルIPを作ること。「これぞインティ・クリエイツのIP」というものが欲しかったんです。2つめは,“受託病”を払拭したかったというものです。義務的に仕事をやっている感覚というか,そういった雰囲気を感じることがあって,それが嫌だったんです。自分達の好きなものを,納得できるクオリティでお客さんに届けたいという,昔の社風に戻したいなと。

4Gamer:
 そういった意味では,目的は見事に達成されましたね。

津田氏:
 今も,かなり自由に続編を開発しています(笑)。

會津氏:
 確かに目的は達成されたんですが,「ガンヴォルト」では「これ,どうやって売ったらいいんだろう」と本気で悩むぐらいに開発費が掛かってしまったので,ちょっと度が過ぎているかもしれません(笑)。そこで「ロックマン ゼロ」でもお世話になった稲船さんに「こんなの作っちゃったんですけど,どうやって売ったらいいと思いますか?」と相談に行ったんです。

4Gamer:
 稲船さんは何とおっしゃったんですか?

會津氏:
 売り方の相談に行ったはずだったんですが,ゲームの動きを見て「これな,もっとスピード感あったほうがええって」「こんなもっさりしとったらアカンで」って(笑)。
 ゲーム内容のことをいろいろと話し始めちゃったので,「分かりました」と持ち帰って,その部分を直しました。それで再度持っていったら「ああ,こんな感じこんな感じ。これがええと思うわ。これ,“稲船敬二アクション監修”って文句で売ったらええねん」となりまして。

「蒼き雷霆 ガンヴォルト」
ぎゃる☆がん

4Gamer:
 なんとも稲船さんらしいエピソードですね……。ところで,「ガンヴォルト」は海外でも非常に高い人気がありますね。

會津氏:
 販売本数で言うと,全体の4分の3は海外での売り上げになります。

4Gamer:
 海外のファンは「ガンヴォルト」のどこに注目したとお考えですか?

會津氏:
 「ロックマン」みたいなところかな(笑)。

津田氏:
 正直なところ,開発中は海外のことをあまり考えていませんでした。ターゲットとして意識していたのは日本の小学生くらいの子供達で,彼らに向けて「かっこいいヒーローが活躍するアクションゲーム」を作りたいと思っていたんです。

會津氏:
 そうですね。海外はまったく意識していませんでしたし,実際には日本でも小学生より大人達にウケていました。それこそ,ロックマン世代に(笑)。

4Gamer:
 そんな「ガンヴォルト」シリーズは,この夏に「蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪」が発売されます。

津田氏:
 1作めを作り終えたときに,すべてを出し切ったと感じていたのですが,ふとしたときに面白そうなアイデアが浮んできたんです。それで,試作っぽいものを作ってみて,これはイケそうだなと。

4Gamer:
 ズバリ「ガンヴォルト 爪」の注目点はどこでしょうか?

「蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪」の新プレイヤーキャラ,アキュラ
ぎゃる☆がん
津田氏:
 新プレイヤーキャラの“アキュラ”と,新しいゲーム性ですね。前作も横スクロールアクションで,複数の敵を同時に撃破する面白さというものがあったんですが,今回はアキュラが加わって,さらにその部分が強化されています。

會津氏:
 画面やキャラクターも,デザイナーとイラストレーターのやり取りでうまい落としどころに収まったというか,うまくバランスが取れていて,いい感じに仕上がっていますよ。

津田氏:
 キャラクターによっては,何か月もかけて検討しました。このゲームではキャラクターデザインも大事だと思っているので,妥協せずに時間をかけて仕上げています。

會津氏:
 2Dアクションゲームだったら,面白いものを作れるという自負はあるんです。だからキャラクターに時間をかける。キャラクター,世界観,デザインというのは,ゲームの“表の顔”になりますので。

津田氏:
 「ガンヴォルト」シリーズに関しては,「見た目はレトロだけど,遊んでみたら面白い」という部類の作品だと思うんです。だからこそ,この手のゲームをプレイしたことがない人にも手に取って遊んでもらいたい。どんな風に作ったら,そういう人達にも楽しんでもらえるのか,難易度などについても常日頃から考えながら開発しています。

「蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪」
ぎゃる☆がん

4Gamer:
 難度調整は大切な部分ですよね。

津田氏:
 「ガンヴォルト」はとにかく“やさしく”しようと思っていました。うちのゲームは昔から難しいんですよ。そのほうが攻略していく面白さもありますし,それはそれでアリなんですが,今は“簡単だけど面白い”という方向性で開発しています。「みんなが楽しめるアクションゲーム」はどうやったら作れるのか,試行錯誤しながらやっています。

4Gamer:
 簡単な方向での調整は,バランス取りが難しいと思うのですが。

津田氏:
 そうなんですよ。開発メンバーがみんな「これでいいんですか?」って聞いてくるんです。「これじゃ,やさしすぎる」と。何回もゲームを遊んでいて,簡単にクリアしてしまう腕前になっているのもあるんですが,「これじゃゲームになってない」と言われたりすると,正直,ちょっとテンションが下がってしまうこともありました(笑)。
 でも,シューティングゲームなどもそうですが,昔から作られてきたジャンルのゲームほど,今は難しくなりすぎて,すぐにあきらめてしまう人も多いと思うんです。そういう意味で,誰にでも楽しんでもらえるようにチャレンジしているので,今回の「ガンヴォルト 爪」の反応も楽しみです。

「蒼き雷霆 ガンヴォルト 爪」
ぎゃる☆がん

4Gamer:
 では,そろそろ総括として,インティ・クリエイツの今後の展望を聞かせてください。

會津氏:
 これまでの方針を変えるつもりはないので,横スクロールの2Dアクションゲームを作り続けるのはもちろんですが,「ぎゃる☆がん」のようなちょっと変り種のゲームも含めて,今後もできるだけ多くのコンシューマゲームを皆さんにお届けできればと思います。
 面白いアイデアがあったら,それを「作ってみようか」と身軽に意思決定できる会社でありたいです。とにかく,方向キーと4つのボタンで,ドット単位の操作ができるゲームをお届けしていきます(笑)。

4Gamer:
 最後に,ゲーム業界で働きたいと思っている読者に向けて,メッセージをお願いします。

會津氏:
 ゲーム業界はどうしても浮き沈みがあるので,安定した生活を目指して入ろうとするなら,向かない部分があります。ですので,自分が本当に好きなゲームを作っている会社や,自分が好きなモノが作れる環境に飛び込むべきですよ。少しハードルが高いと思っても,あきらめずにチャレンジしてみることが大切です。これからゲーム業界を目指す人達には,ぜひ頑張っていただきたいですね。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。

インティ・クリエイツ公式サイト

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