あおもりの旬 2008年9月号「しらうお」
青森県内最大の湖、小川原湖。この湖は、全国有数の水揚量を誇るシジミやワカサギ、しらうおなど、豊かな水産資源に恵まれています。
今回ご紹介する「しらうお」の漁期は、9月から3月の秋漁と、4月から6月の春漁で、水揚量は全国の約7割の年間約700トンと全国一を誇り、今やしらうお漁は、同地域を支える水産資源の1つとなっています。
「しらうお」と「しろうお」
「しらうお(シラウオ科)」は、漁獲が始まったばかりの9月の体長は約4cmですが、成長すると約10cmになります。4月から6月ごろに産卵のため内湾から河川や湖沼に上ります。
非常に弱い魚で、漁で網から上げ、空気にふれるとほとんどが死んでしまいます。生きているときは無色透明ですが、死後は白色不透明となり、刺身として食卓に上ります。目は小さくて口は大きく、腹面に2列に並ぶ黒色点があるのが特徴です。
似ている魚に「しろうお(ハゼ科)」があり、これは踊り食いが有名なほど強い魚で、酸素を注入した袋などで流通しています。青森県でも蟹田川などで獲れ、春の風物詩となっています。
「しらうお」と「しろうお」を見分けるポイントは、脂びれ(尾びれの近くの小さい背びれ)の有無(「しろうお」は無し、「しらうお」は有り)、上から見た頭の形(しろうおは丸く、しらうおはとがっています。)などです。
漁獲は、一隻の船が円形に網をまいて行き、両端を引き寄せる船曳漁法で行います。その際に、船はアンカーで固定した状態で網を引き揚げ捕獲します。資源確保のため、毎月の操業日、漁獲量を決め、制限を設けています。小川原湖漁業協同組合では、現在、32隻の船が船曳網でしらうお漁を行っています。
船曳漁業の様子 水揚げされたシラウオ |
主な成分と効果
「しらうお」はナトリウム、リン、亜鉛など無機質が多く、魚体が小さくまるごと食べるのでカルシウム補給にも役立ちます。ミネラルのほかビタミンEやB2、B12、葉酸、Cなども多く含みます。
活しらうおを全国へ!
「しらうお」は網にかかるとすぐに死んでしまうほど繊細ですが、地元の漁師しか味わったことのない「しらうお」の踊り食いなど、生きた「しらうお」を食卓に提供することを目指して、平成9年度に地元料理店主などを中心に「上北町活しらうお販売研究会」が発足し、旧上北町役場や小川原湖漁業協同組合の協力を得て、平成12年度には「しらうお」を最長180日間生存させることに成功しました。
決め手となったのが、塩分と水温。塩分濃度は小川原湖に近い0.4%から0.8%の間、水温は8度以下など、「しらうお」が生存しやすい条件を試行錯誤の末に見つけ出しました。
容器は、四角い入れ物では4隅に集まり折り重なって死んでしまうケースが多いことから円形にし、また、光に弱い性質であることから、黒いビニール袋に入れて輸送します。漁船から運び出す際にも、塩分濃度を調節した水を専用容器に入れて漁船に持ち込み、料理店に運んでいます。
販路開拓へも積極的に取り組んでおり、東京の築地卸からの問い合わせもありますが、まだ「しろうお」との区別がつかない消費者も多く、認知度の向上が課題となっています。
「しらうお」はもともと料亭などで扱われる高級食材で、会長の蛯名さんも、「東京の料理店などの需要も開拓し、付加価値をつけて販売していきたい。」と意気込んでいます。
しらうお 料理
てんぷら |
佃煮 |
刺身 |
卵とじ |
紫黒米ごはん (しらうお乗せ) |
酢の物 |
関連ページ
- あおもり産品チャンネル:2006年10月 小川原湖の「シラウオ」の巻(小川原湖)
- 知る > あおもりの特産品図鑑 > 魚介類
- 買う > 県内直売所情報 > 道の駅おがわら湖湖遊館
- 青森県産品データベース > 水産品 > 魚類 > 「シラウオ」
[料理撮影協力]
居酒屋レストラン えび蔵
住所:青森県上北郡東北町上北南4−32−542
電話・FAX:0176−56−5098