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 日本学生支援機構が、貸与型奨学金の受給者の男性に対し、延滞金など約240万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、東京地裁は27日、全額の支払いを男性に命じた一審・東京簡裁判決を取り消し、機構の請求を棄却した。松村徹裁判長は、当時の担当者が権限もないのに延滞金の免除を約束していたと認定。機構からの請求は許されないと判断した。

 判決などによると、男性は1980~87年、機構の前身の日本育英会から高校、大学分の奨学金約175万円の貸与を受けたが、母親の病気などで困窮して支払いが滞り、延滞金が発生。03年ごろ担当者から「元金を支払えば延滞金は免除する」と言われたという。男性は大学分の元金の返済を終えたが、04年に発足した機構は「免除の合意はなかった」として、延滞金などを請求した。

 男性の代理人で、奨学金問題対策全国会議の事務局長も務める岩重佳治弁護士は、「育英会はかつては柔軟に対応していたが、機構が発足してから回収姿勢を強めた。同種事例は多いはずで、重要な判決だ」と話した。