女性がITの力で活躍する場を拡げるイベント「TECH LADY HOLYDAY」
「TECH LADY HOLYDAY」は、女性がITスキルの習得の魅力を知る機会、およびITスキル習得アクションの機会を提供する女性のためのイベントだ。
ITの力で活躍する場を拡げることを目的に、「世の中にサービスを生み出す人を増やす」を理念にしたプログラミングスクール「TECH::CAMP」が運営している。
第1回目の「TECH LADY HOLYDAY」は5月21日、東京・渋谷のイベント&コミュニティスペース「dots.」で開催された。
今回のテーマは「自分の世界観をWebサービスで表現することの魅力」。本イベントは休日の昼間に開催のため、テーマについて登壇者が語り合うメインのトークセッションおよび質疑応答、そして軽食をとりながら聴講する特別授業(ランチセッション)の2つのプログラムで構成。
メインのトークセッションに登壇したのは、ラブグラフ取締役CCOの村田あつみさん、TABLE MANIA編集長の菅野有希子さん、フリーランスWEBデザイナーの出口友梨さん、div取締役の中山紗彩さんの4人。そしてdots.のコミュニティマネージャー小沢宏美さんがモデレータを務めた。
参加者は96人。モデレータの小沢さんが会場でアンケートをとったところ、ほとんどの人が「ITスキルの取得で将来の可能性を広げたい」「自分の好きで活躍している女性の話を聞きたい」という気持ちから、参加していた。
まさに同イベントがお勧めとしている人たちが集まったかたちだ。主催者の中山さんいわく、参加者の中にはデザイン系職種の方もいるものの、その多くはIT系ではなく、営業や事務系職種とのことだった。
ITスキルを身につけ世界が広がった
いずれも「ITスキルを身につけて世界が広がった」という登壇者の4人。出口さんは美大卒業後に務めたアパレル会社で、少しWebスキルがあったので、Web担当になった。
▲フリーランスWEBデザイナー 出口友梨さん
1985年生まれ。1歳3か月の男の子を持つフリーランスWEBデザイナー。美術短大卒業後、アパレル会社にてECサイト運営、IT企業にてWEBデザインを経験し、結婚を機にフリーランスに転身。一日平均2~3時間を仕事にあて、子供の成長をそばで実感しながら、在宅ワーカーとして、会社員の時より多くの収入を得ている。
そのことが今のフリーランスWebデザイナーの道を選ぶきっかけになったのだそう。「Webデザインやプログラミングのスキルは、誰もが習得できるもの。需要があるので、フリーでも活躍しやすいので習得するのはお勧め」と語る。
中山さんも「プログラミングスキルやITスキルを身に付けている人は、まだまだ少ない。女性に限定するとさらに少なくなる。身に付ければ自分のやりたい仕事を獲得しやすくなる」と言い切る。
▲株式会社div 取締役 中山 紗彩さん
1991年生まれ。早稲田大学在学中、法人の20代女性向け事業開発・マーケティングのコンサルティング実行事業の立ち上げを経験したのち、2014年4月リクルートキャリア社に新卒入社。教育機関の先生と保護者のための連絡サービス「うさぎノート」を起案事業化させ、同年12月リクルートホールディングス社メディアテクノロジーラボに出向。2016年2月div社経営企画部入社後、同年4月11日より未経験から1ヶ月でサービスを作れるエンジニアになれる「TECH::CAMP」を運営するdiv社取締役に就任。
「ITスキルがあるというだけで、企画職に行ける可能性もある」と中山さんは続ける。「ITスキルは社内政治道具としても役立つのではないか」というのだ。
小沢さんも「IT業界にいる女性は1割しかいない。例えばdotsが開催しているエンジニアの勉強会も男性ばかり。女性というだけで重宝されることもある」と続けた。
▲dots. コミュニティマネージャー 小沢宏美さん
株式会社インテリジェンス新卒入社後、2000名以上のエンジニアのキャリアコンサルタント、採用人事を経て、現在はエンジニアのためのイベント&コミュニティースペースdots.のコミュニティーマネージャーを務める。「エンジニアは、難易度は高いが自分の手でプロダクトを世に生み出すことのできる高貴な職業だ」と惚れ込み、そのエンジニアの気持ちを理解し本質的な支援ができるようになりたいと、現担当就任前にTECH::CAMPを受講。
村田さんも「女性が少ないからやりにくいという面も確かにあるが、逆に強みになることの方が多い。ITスキルを身につけるのなら、なるべく早く身につけるのがお勧め」と参加者を促すコメントを発信。
▲株式会社ラブグラフ 取締役 村田あつみさん
1991年生まれ。大学時代初期からデザイナーとして企業に勤め、「美学生図鑑」などのヒットメディアのデザイン・コーディングを長期に渡り担当。卒業後、リクルートホールディングスにIT人材として新卒入社。現在はカップルフォトサイト「Lovegraph(ラブグラフ)」の取締役であり、同時に同サービスのWebマーケティング、デザイン、開発に至るまで一人でマルチにこなす女性Webデベロッパー。
菅野さんが携わっているのは、食器やテーブルコーディネータの世界。菅野さんいわく、「まだIT化が進んでない業界だと、少しWebやプログラミングをかじっているだけでも、重宝がられる」と言う。
▲Table mania
編集長 菅野 有希子さん
1983年生まれ東京在住、主人と二人暮らし「フツーの人でもできるちょっと素敵なスタイリング」をテーマにイベントオーガナイズ、テーブルコーディネートやフードスタイリングを行う。【資格】TWSA認定ブロンズテーブルウェアスタイリスト。
ターゲットも大事だというのは、出口さんの話にも通じるとことがある。出口さんは埼玉県が運営している女性向けの在宅ワークマッチングのイベントで顧客をつかんだ。出展していた12社のうち、4社と契約が取れたと明かした。
結婚、出産…自分のライフステージに合わせて仕事ができる
ITスキルはクリエイティブな仕事に転身できる武器になるだけではない。
出口さんや菅野さんのように、結婚して主婦や母というもう一つの重要な役割を担う「二足のわらじ」をはきやすくなる。
例えば田口さんには1歳3カ月の子どもがいる。田口さんは家にいる母になるのが目標だったため、会社勤めをずっとやり続けるつもりはなかった。
仕事をするのは子供を寝かしつけてから。日中は子育てをメインとした専業主婦だ。
「会社に勤めていたときよりも、収入は増えています。二人目も考えているので、仕事のペースは現状を維持したい。子どもに手がかからなくなったら、少しずつおしゃれなサイトや大きな仕事を手掛けてみたい」と語る。
出口さんのこの発言に小沢さんは、「ITスキルを身に付ければ、自分のライフステージに合わせて仕事を変えていく働き方もできるということです」と語り、菅野さんも相づちを打った。
中山さんも「結婚したら、仕事を辞めて好きなことを仕事にしたいと思っている女性は多い。例えばその好きがクリエイティブなことであれば、ITスキルは有用な手段になると思う」と後押しした。
キャリアに悩んでいる参加者へのアドバイスも
トークセッションの最後にはキャリアに悩んでいる人たちへのアドバイスも。
菅野さんは現在の活動を始めるまでに、迷走していたこともあったという。「一時はネイリストもいいかもと思い、そういう学校にも通った」と自身の体験を語った。
そうやって趣味を拡げていく中で、今のような活動に至った。
「違うと思うとやめるぐらいのゆるふわで、パラレルキャリアを始めてみるといいのでは」(菅野さん)。
「とにかくどんな仕事も後に生きてくる。たとえつまらないと思う仕事でも楽しんでやることが大事」(出口さん)
「夢中になれるものがあるのであれば、とにかくやってみること。ITスキルは優位にキャリアを築ける1つのツール」(中山さん)
「プログラミングもやってみたら、意外にはまるかもしれないので、チャレンジしないのは機会の損失。女の子のためのデザイン・プログラミング学習サービス『Design Girls』や『TECH::CAMP』に参加すると人生が変わるかも」(村田さん)
小沢さんも「昨年TECH::CAMPを受講したことで、カスタマーサポート、営業、イベントの司会を務めたりと仕事の幅が広がった。本当にお勧めします」と、ITスキルを身に付けたことで自身のキャリアが拡がったことを証明した。
続いてQ&Aも行われた。
参加者から「ITスキルを習得して自分の好きなことをするのはパワーがいると思いますが、そのモチベーションのきっかけについて教えてほしい」という質問に対して、それぞれ以下の回答があった。
「親友など身近な人が結果を出したたこと」(村田さん)
「夫が好きにやればいいとどっしりと応援してくれること」(菅野さん)
「家族に認められたいという想い」(出口さん)
「他社に優しくするため。そのために自分を満たす努力をしている」(中山さん)
独自の強みをプラスして、自分ならではのWebサービスを作ろう
続いて村田さんの特別セッションが始まった。セッションタイトルは「世界観をカタチにするためにWebサービスから始めよう」。
村田さんは世界中が愛と笑顔であふれることを本気で願っている。その世界観を実現するサービスとして立ち上げたのが、「ラブグラフ」だ。
「ラブグラフ」はカップルや家族のデートにカメラマンが同行して、自分たちでは残せない自分たちだけの想い出を写真に残すフォト撮影サービスだ。
村田さんが自身の世界観を実現する手段としてWebサービスを選んだのには理由がある。
第一に「店舗などのようにコストがかからないこと」。第二に「他の手段と組み合わせやすいこと」。第三は「いつでもどこでも作業できること」の3点である。
もちろん、想いや夢をWebサービスで叶えるのにはデザインとプログラミングというスキルが必要だ。
ではどうやってデザインスキルを身に付ければよいのか。村田さんは、「デザインスキルは次の3要素から成り立っている」と語る。
- デザイン理論を身に付ける
- 引き出しを増やすこと
- ツールを使うための知識を身に付ける
1のデザイン理論とは、UXの知識の他、デザイン思考、基本原則(近接・整列・反復・コントラスト)、さらには統計・心理学などの知識などが含まれる。
2の引き出しを増やすとは、日ごろから美しいモノを見たりしてインプットを増やすことだ。「PinterestやInstagramなどで画像収集して最新のトレンドを見たりするのもその一つ。中吊り広告や雑誌を見たりすることも、引き出しを増やすことに役立つ」と村田さんは言う。
3のツールの使い方については、自分で検索してやってみれば、だいたい使えるようになるという。
この3点の中でも最も重要なのは、「引き出しを増やすこと」。あくまでもデザインは目的を達成するための手段でしかないからだ。
デザインの基本原則やツールについて学びたいと言う人は、「ぜひ、DESIN GIRLSに参加してほしい」と村田さん。
またもう一つの必須スキルプログラミングスキルを身に付けたい場合は、「TECH::CAMPに参加してみては」とアドバイス。
「デザイン力・プログラミング力を身に付け、それに自分自身の強みをプラスすることができれば、きっと自分にしかできない世界観のWebサービスが作れるはず。まだまだ活躍している女性エンジニアは少ないので、ぜひ、チャレンジしてほしい」
そう語り、村田さんの特別セッションは終了した。
今回登壇した4人のようにWeb業界で活躍する女性は増えてきたとはいえ、まだまだ男性が多いのは事実。女性がITスキルを身に付けるチャンスは多大にあると中山さんは語る。
「徐々にTECH::CAMPに参加する女性も増えていますが、まだまだWebの世界は女性が少ないので、身に付けるのなら今がチャンスです」
ぜひ、Webのスキルを身に付けて、女性ならではの感性や視点を活かしたサービスを作ることにチャレンジしてみてはいかがだろう。