少し前まで、欧州の防衛企業大手をとりまく状況は憂鬱なものだった。緊縮財政のために大陸諸国における軍事支出は制限され、増額を正当化できるほど明確な外的脅威は存在しなかった。最も注視すべき対象はテロリズムだった。
北大西洋条約機構(NATO)加盟国の当局者は国内総生産(GDP)の2%を国防費に充てる方針を掲げたものの、欧州諸国の大半はその水準に遠く及ばなかった。ドイツの国防費はGDPの1%強にとどまった。
兵器の輸出は安定はしていたが、特筆すべきものではなかった。
■豪潜水艦の商談で勝利
だが時代は変わるものだ。5月4日、フランスのフランソワ・オランド大統領はカタールで開催されたある式典に出席した。フランスが開発した戦闘機「ラファール」24機とミサイルをアラブ首長国連邦(注)に販売することを記念する式典だ。売上総額は63億ユーロ(約7700億円)と見込まれている。
注:原文のまま訳した
以前には70機を購入することが検討されており、それに比べれば受注数を減らす結果にはなったが、戦闘機メーカーのダッソー・アビアシオンと汎欧州のミサイルメーカーMBDAにとって大きな取引であることに変わりない。
昨年4月にはインドのナレンドラ・モディ首相がフランスを訪れ、ラファール36機を発注した。総額はおよそ90億ドル(約9800億円)。もっとも、その後インドで起きた政治的混乱のためこの案件は頓挫している。
一方、エジプトとの間で昨年合意した取引では、戦闘機24機とフリゲート艦1隻を52億ユーロ(約6400億円)で販売することになっている。マレーシアもラファールの購入を検討している。
さらに実質を伴うのはオーストラリア政府の決定だ。同政府は4月下旬、老朽化が進む現行の潜水艦に替えて、仏DCNS製のショートフィン・バラクーダA1を12隻採用すると決めた。