ドイツのIoTの発信源となっている「ハノーバーメッセ」。その会場ではIoTの実用例が目立った。
マイクロソフト、SAPに勢い
米マイクロソフトのブースでは、英ロールス・ロイスのジェットエンジンや独ティッセンクルップのエレベーターなど、巨大な実物を並べて来場者の目を引きつけた。これらはみな、同社のシステム基盤「アジュール」を使ってIoTシステムを構築した。アジュールは予防保全や遠隔監視などIoTの主要用途ごとにひな型があり、短期間でシステムを構築できる。
一方、ドイツの世界的ソフトウエア会社であるSAP。会計パッケージで知られる同社だが近年はクラウドシステムに力を入れる。
提携関係にあるのが電機大手の独シーメンスだ。シーメンスが15年12月に発表したクラウドベースのIoTシステム「マインドスフィア」はソフトウエア基盤とデータセンターなどのシステム基盤にSAP製品を活用する。企業向けソフトと工場自動化(FA)機器の巨人のコンビに独政府の支援が加わった格好。日本勢には間違いなく脅威だ。
ボッシュが独自システムで競合に
そのSAPが「パッケージソフトでは大口顧客だが、IoTでは競合になってしまった」と話すのが、自動車部品世界首位の独ボッシュだ。3月に自社開発のクラウド型IoTシステムを発表。センサーをつけた通い箱で温度や振動などのデータを収集し、輸送品の品質を管理するシステムをハノーバーメッセで披露した。ボッシュのアドバンテージは、巨大市場である自動車での応用だ。
ボッシュ同様に異業種から参入するのは、米ゼネラル・エレクトリック(GE)。IoTシステム「プレディクス」を開発した。ただソフト基盤とシステム基盤には、米ピボタルと米アマゾンウェブサービスの製品を活用する。ピボタルはGEに加えて米フォード・モーターや米マイクロソフトからも出資を受けた。
IoTシステム基盤の標準の座をとれれば大きなビジネスになる。巨大企業は激しい競争を繰り広げる。
八子 知礼
6時間前
この領域でそもそも日本企業の名前を殆ど聞かない。巨大ものづくり産業は手離れの良さを重視する傾向があったため、クラウドサービスを付加したリカーリングビジネス化には及び腰だ。一方で欧米のIoTを実現する上でも一番末端のデバイスや計器の中では日本の部品メーカーの部品やモジュールが活躍する。得意なレイヤーや領域で早く作ったサービスビジネスモデルをインターコネクトする方が早く、インターネット黎明期のような加速度的なつながり方ができるのではないかと期待する。とにもかくにも早く着手することだ。欧米がねらうデータによるビジネスは、データが溜まっていないと話にならない。言わば貯金していないのと同じなのだから。
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