安倍総理大臣が、現在の世界経済がリーマンショックの前と似た状況にあるとの認識を示したそうです。*1
第一生命経済研究所の熊野英生エコノミストは26日付のリポートで‥‥「多くの人が世界経済の先行きに対する不安を抱いていることは間違いないが、リーマン・ショック後の様子と同一視することが的確だとは思えない」との見方を示した。
リーマンショックはアメリカの金融部門と家計部門の負債の膨張が原因でした。
しかし、両部門の負債の対GDP比は、リーマンショック前の水準には戻っていません。「リーマンショック前と似た状況にある」というのは強引過ぎるでしょう。
先進国経済の行き詰まりの根本原因は、各国政府がリベラル&ネオリベラル路線を採用し、「自国の労働者階級を豊かにする」ことを放棄したことにあります。
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ケインズ理論の主たる帰結は、もちろん景気後退期における国家による投資であるが、それより目に付きにくいが構造に関わるものだけにより重要な帰結は、自国の労働者階級を豊かにすることが得策であるという考えを西側ブルジョワジーが受け入れた、ということである。経済発展期における労働者の賃金の持続的上昇は、消費の規則正しい上昇をもたらし、それが生産の総体を吸収する。
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大量生産には必然的に大量消費が伴わなくてはならないように、大量生産には、人々が生産財やサービスにふさわしい購買力を持つことができるような、しかるべき富(既存の富ではなく、今現在生成されつつある富)の分配が期待されているのである。
エクルズにすれば、不平等の拡大こそが問題の主因であった。