森金融庁の改革とは何か
金融庁は森信親長官が昨年7月に就任して以降、地方銀行が地方創生への貢献を通じて、自らも持続可能なビジネスモデルを打ち立てるべきだとする方針を掲げ、地域金融行政の大改革に乗り出している。
その狙いは、メディアで取り沙汰される「地銀大再編へ金融庁が圧力」というものとは、どうもかけ離れているようだ。一体、何が起きているのか。
森金融庁が実施する主な地域金融の施策は以下の通りだ。
・地銀ではなく、中小企業に銀行取引の実態をヒアリング
・貸出金金利を収益分析して、どういう地銀が利ざやを確保できているかを調査
・経費率や自己資本比率ではなく、地方創生の貢献度合いを示すベンチマーク策定
・長期返済猶予の地銀への取引実態調査
・サービサー(債権回収会社)に債権が売却された企業への銀行取引調査
これらの調査に共通するのは、「多くの銀行は企業の事業を見ていない。担保や保証を見ている。多くの銀行は顧客の顔を見ていない。営業ノルマと自分を評価する上司の顔を見ている」という金融庁の痛烈な問題意識だ。
なぜ顧客を見ないのか
なぜ顧客を見ないのか。銀行が顧客だけではなく、不動産担保や保証だけをみてきたこと、金融庁がそれを許してきたことには理由がある。
それは2000年初頭から吹き荒れた不良債権処理問題に他ならない。
確かに不良債権処理を優先せざるを得ない時期もあった。これによって銀行の健全性は回復した。しかし、何より恐ろしいのは人間の「惰性」だ。不良債権処理が一段落し、状況が明らかに変わり、人口減少を考えなくてはならない時代になっても「顧客をみない銀行経営」が見直されず、延々と続いてきたのだ。
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