難民問題は終わっていない
5月22日、メルケル首相が、こじれにこじれた難民問題を背負ってトルコへ飛んだ。彼女は、首相になって以来11年の間で、今、おそらく一番追い詰められている。トルコのエルドアン大統領に、こっぴどくやられているのだ。
ヨーロッパは、どの国も難民の波に弱り切っており、とくにイタリアとギリシャは経済的にも大きな打撃を受けている。そこで去年、メルケル首相は、イタリアやギリシャに溜まっている難民を、EU各国が人口や経済力に応じて平等に引き取ろうと提案した。
しかし、これは見事に失敗。皆、口では賛成したものの、本当に引き取る気でいるEU国はほとんど無い。
そもそも、EUの多くの政治家や国民は、難民がここまで急増したのは、ドイツの「ようこそ政策」のせいだと苦々しく思っている。
昨年の夏、メルケル首相はドイツ国内の難民施設を訪問し、ハッピーなシリア難民と、にこにこツーショットの写真を撮っていたではないか。そんなに難民が好きならドイツが引き取れば良い。難民だって皆、ドイツに行きたがっている。
もっとも、そうはっきり言う国がないのは、ドイツの経済力と政治力が強大だからだ。
そうこうするうちに、EUの多くの国は国境を閉じてしまった。だからギリシャまで来た難民はバルカン半島を北上できず、ここ4ヵ月、マケドニア国境で立ち往生している。想像を絶する悲惨な状況だが、EUは何もしない。国際人道グループが腹を立て、抗議のために援助活動を停止するという一幕さえあった。
そこで、困ったメルケル首相は、新たに「解決策の第二弾」を打ち出した。これが冒頭に書いたトルコとの摩擦の端緒となる。
その解決策とは、すでにトルコに入っている難民を、そのままトルコに留めておいてもらおうという画期的な(!)作戦だ。
-
日本人だけが知らない伊勢志摩サミット「本当のテーマ」〜焦点は財政問題でも南シナ海でもない!(2016.05.20)
-
中東で民主主義が定着しない「本当の理由」 ~イスラームをめぐる2つの問題について(2016.05.19)
-
血税3兆円がムダに!?総務官僚が引き起こした、マイナンバーという名の「人災」(2016.05.24)
-
ハーバードの学生が大熱狂! 必ず人生が変わる「東洋哲学」白熱講義(2016.05.21)
-
年収を上げるために、毎日「自分に問いかけるべき」ただ1つのこと(2016.05.25)
- 虫が良すぎたドイツの目論見 〜トルコとの“難民取引”は破綻寸前、窮地に立つメルケル首相 (2016.05.27)
- ドイツの「無責任」な電力政策 〜結局、隣の国に原発があればいい?(2016.05.20)
- ドイツ電力大手が無配当! もしも彼らが「原発」と「火力」を切り捨てたら?(2016.05.13)
- 反ユーロ、反難民、そして反イスラム……ドイツで「極右」政党が急激に支持を広げている(2016.05.06)
- 先進国のドイツでしょっちゅう「停電」が起こるワケ(2016.04.29)
- VW事件にみるドイツの「不都合な真実」~ユーロ圏最悪の格差社会はこうして出来上がった(2016.04.22)