「はだしのゲン」作者 米大統領に宛てた手紙見つかる

「はだしのゲン」作者 米大統領に宛てた手紙見つかる
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原爆投下後の広島で生き抜く子どもの姿を描いた漫画「はだしのゲン」の作者の故・中沢啓治さんが7年前、アメリカのオバマ大統領に宛てて、被爆地、広島、長崎の訪問を強く働きかける手紙を書き、大統領の家族と親交のあるアメリカ人女性に送っていたことが分かりました。
この手紙は、オバマ大統領が「核兵器のない世界」を掲げたプラハ演説を行った4か月後の平成21年8月に書かれました。

手紙はA4の大きさの1枚で、この中ではまず、「悲願の『核兵器廃絶』が現実の目標になったことを実感し、歓迎しています。それは貴方の“プラハ宣言”が核兵器廃絶に向けた希望の灯りになったからです」と記しています。

そして、「核兵器を使った唯一の核保有国の“道義的責任”と貴方の意思をより強固なものにして、他の核保有国の意見をまとめる為には、何としても一度広島と長崎においで頂き、被爆者の声を聞き、原爆資料館をご覧頂きたいと思います」と、オバマ大統領に被爆地訪問を強く働きかけ、最後に自筆の名前で結んでいます。

今回見つかったのは当時、手紙を英語に訳したアメリカ人の翻訳家が手元に残していたコピーで、25日、埼玉県所沢市に住む妻のミサヨさんの元に送られてきました。ミサヨさんによりますと、手紙は大統領の家族と親交のあるアメリカ人女性に送られましたが、大統領には届かなかったとみられるということです。

ミサヨさんは「このタイミングで手紙が見つかり、自分の気持ちを伝えてほしいという夫の強い思いを感じました。オバマ大統領には、被爆者の話を聞いて感じたことをぜひ、世界に発信してほしいです」と話していました。