Backfeed、The DAO向けガバナンス提案を発表
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The DAOではコミュニティで何かしら議論が行われており、中でもガバナンススキーム(主として投票や議決の仕組み)についてはいくつかの問題が懸念されています。
ぼくはまだThe DAOが一定の成功を収めるのかどうか確信はもっていません。そうなるはずの代物だという期待値はあるので、ダメダメな部分があっても投資資金が消滅するまで(撤退させるまで)は前向きに考えていきたいと思ってます。
以下は外部による改善案の中の一つで、Slock.itの提案よりも重要な提案になるのではないかと思うものを紹介します。
公式に発表された記事の翻訳文です。長文ですw
目次
The DAO向けガバナンス提案を発表
Backfeedは現在、The DAO向けに包括的ガバナンスの提案に取り組んでいます。これはThe DAOトークン保持者やメディア、そして広くイーサリアムコミュニティ全体によって各フォーラムで表明された懸念の多くを取り上げたものです。
1年半にわたり、Backfeedでは分散型で協働的な経済の強化拡大のためのガバナンスのスキームと経済モデルを開発してきました。中央によるコントロールなく分散型組織を運営するために必要な方法の創造はこれまでも、また現在も私達の主要なゴールであり目的です。
私達は、自らに、そして世界に、従来の専門の経営陣を持ち中央がオーナーシップとコントロールを持つ組織に劣らず、あるいはそれ以上に、分散型のエンティティ(訳注:主体)が敏捷、効率的、また利益を生むことが出来ることを明示できる機会に感謝しています。
多くのブログ記事や発言で明らかにされたThe DAOの潜在的な不具合のモードや、数人の純粋に心配している人々が表明したThe DAOのガバナンスのスキームに関する広い恐れや疑念は私達のよく認識するところであり、Backfeedがその為に開発するソリューションによって適切に対処されうると考えています。
次の項目はThe DAOの現行の運営モードに由来する問題の部分的リストを構成するものです。
これらの問題は解決可能であり、The DAOが長期的弾力性を持ち効率的に運営されるためには、解決されるべきです。これらの問題等に対処する私達の提案(proposal)は来週
、The DAOのトークン保持者による審査に提出されます。それと同時に、提案の全容を説明するプレスリリースが発表される予定です。
1. The DAOの現行のガバナンスモデルは複雑な問題を解決するのに適切ではない。私達の群衆の知恵のほうが賢いはずである
投資の提案の評価は、スキルと専門知識、時間、そして努力を要求する仕事です。
その理由から、従来の集中化された株式会社はこの機能を、会社が収益を分け与えるところの任命されたエキスパートに移譲します。私達はこの機能を効果的に「群衆」の間で、分散することが完全に可能であることを強く信じています。
しかし現在、The DAOは意思決定において単純な株主民主主義のみに頼っています。これは潜在的にぱっとしない結果と詐欺の試みの奨励につながります。
私達の提案は実力主義的なガバナンススキームを含むもので、より善意的な群衆の知恵の力学を推進し、伝統的な「専門家委員会」も、単純な株主投票も上回る結果を出すものです。
スキームの全容は私達の提案内で詳述されますが、現段階では、私達のガバナンスの提案は、トークン保持者が提案を評価する手続きに参加する動機付けになり、知識とスキルによる貢献が報酬によって報われ、この手続きで最高のパフォーマンスを示した個人の影響が強化されるものであると申し上げておきます。
そうなれば、私達が持つスキルの集合と利点は最大限に活用され、私達の異なる視点は相互に打ち消し合うのではなく相互間にシナジーが生まれ、ぱっとしない結果は回避されます。
2.影響力は勝ち取られるのではなく、買われる。
従来の企業モデルと同様、The DAO内における影響力や投票力は、投資された資本だけで決まります。もちろんそれには理由がありますー投資された資本はその個人が取ったリスクの程度を示すものであり、よって伝統的にはその組織における意思決定への影響力を決定します。
しかしながら、分散型組織において、もしこの組織が群衆の知恵を完全に活用しポジティブなボトムアップ型の参加に動機付けを与えたいなら、各自が保持するトークンの額を唯一の影響力の尺度とすることは出来ません。
私達の提案はThe DAOのガバナンスのプロセスに公開の評判システムを導入し、ポジティブな影響力を強め、ノイズをフィルタリングし、以下を防止します:
●過半数攻撃(majority attack)と敵対的買収
●仕組まれた詐欺的提案へのThe DAOの資金の流出
●「stupid money(考えなしに突っ込まれた大金)」による独裁
●良い知見を持つが保有額が少ないトークン保持者がなす貢献の抑制
3. 参画低下の問題
過去の経験が示すように、システムが参画へのインセンティブを提供しなければ、株主投票への参加はしばしば、馬鹿馬鹿しいほど低下します。
この現実のため、大きな投資提案への高い参加率はおろか、20%というThe DAOの意思決定のための最小定足数さえほとんど達成されないでしょう。
これは深刻な問題であり、それによってThe DAOを停滞、そして間をおかず空中分解に導くかも知れません…初期の段階で。
これも、私達の評判システムならびにBackfeedプロトコルの中のインセンティブメカニズムによって解決されます。
4. The DAOはキュレーター委員会の形で単一障害点を残している
The DAOの現在のキュレーター委員会はイーサリアムコミュニティ内の著名で高名なメンバーで構成されており、彼らがこの大切な機能を可能な限り最もプロフェッショナルかつ注意を払った形で実行するであろうことに疑いの余地は全くありません。
しかしながら、長期的弾力性を確保するためには、そしてthe DAOの特徴である「自律」と「分散」を保つためには、この人的信頼のシステムはアルゴリズム的かつ分散型のバージョンによって置き換えられるべきです。
それにより特定の個人の高名さではなく、むしろハードコードされた監査可能で予測可能なプロトコルによって生まれる力学に依存する「信頼できる環境」を創りだすことが出来ます。
私達の提案は2つの別個の項目に分かれます。
第1の提案
二週間以内に発表されますが、主にThe DAOのキュレーションメカニズムに取り組むものです。ここでは、シビル攻撃に強い公開の評判システムを詳述し、それによって現在の委員会が持つキュレーションの権限を徐々にThe DAOコミュニティ内の信頼されるエージェントの一団に委譲します。
そのような制度ではキュレーションのプロセスは「信頼の人的ウェブ」を構成要素として制定され、コミュニティ全体に浸透していきます。それは潜在的な利害の衝突に対して任命された委員会に基づくそれよりはるかに弾性的なものです。
第2の提案
第1の提案後に発表となりますが、The DAOのための完全で包括的なガバナンスのスキームを含み、上で提示された全ての不具合のモードに対処するものです。
この提案は第1の提案の進化バージョンとなり、評判システムをコミュニティ全体に拡大する一方で、参画と相互評価のためのインセンティブメカニズムを提示します。
第1の提案は5月末にリリースされ、英語とSolidity言語(訳注:スマートコントラクト記述言語)での包括的な記述を含みます。私達は有益な討論のきっかけとなること、そしてあなた方の知見とともにその場しのぎのソリューションではない、広く分散型企業のためのプロトタイプを生み出せることを希望しています。
(原文):Backfeed to announce governance proposal for The DAO
(翻訳):士林翻訳サービス
さいごに
断片的あるいは表面的な情報だけで批判して終わる一部の興味のない人々がいるのは当然(ぼくもそっちサイドになることはあるし)ですが、なんといいますか、「お金(期待値)の集まるところに知恵も集まる」といっていいのでしょうか…。
それはわかりませんが、DAOサイドの人々も決してアホではなく脆弱性がありそうなことに気付いており、5000人以上の規模をもつコミュニティという新たなブレインを味方につけ、そちらでは建設的に議論を重ね改善を図ろうと力を注いでるんですね。
この提案がThe DAOで通るかどうかって超基本的な問題がありますが…(笑)
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