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佐藤八段が寄せ切り3連勝 初の名人位に王手

第74期名人戦第4局を制し、感想戦で笑みを浮かべる佐藤天彦八段=広島県福山市の福寿会館で2016年5月26日午後7時40分、加古信志撮影

 広島県福山市の福寿会館で25日から指された第74期名人戦七番勝負第4局(毎日新聞社・朝日新聞社主催、大和証券グループ協賛、名人戦福山開催実行委員会協力)は26日午後7時27分、129手で挑戦者の佐藤天彦(あまひこ)八段(28)が羽生善治名人(45)に勝ち、対戦成績を3勝1敗として初の名人位にあと1勝に迫った。残り時間は佐藤30分、羽生1時間18分。第5局は30、31日、山形県天童市の天童ホテルで指される。

 こう着したかに見えた中盤戦から見事な構想を見せた佐藤が鮮やかに寄せ切り、3連勝を飾った。

 羽生が後手番で誘導した横歩取りから、封じ手の2四歩(55手目)をはさんで長い中盤戦が続いた。互いに相手の狙いを察知してか、決戦には踏み込まず、「丁寧な指し手が続く中盤戦です」と解説の糸谷哲郎八段も語っていた。

 局面が動いたのは2日目午後になってから。佐藤は羽生の玉頭で8四歩(67手目)と突き、流れに乗って角を切って2六にいた飛を8六飛(89手目)と回る秀逸な構想を実現した。

 その後も「好手」(糸谷八段)の6三歩(95手目)から8三飛成と飛も切り、一気に寄せ切った。まだ選択肢が多い局面から大胆な指し回しを見せた佐藤の強さが光った。

 これで名人位へあと1勝。数字の上では絶対に有利な立場だが、次の1勝が大変なことは名人戦の歴史が物語っている。

 夕方の休憩をはさんで羽生は粘ったが、逆転の筋は発見できなかった。特に悪手がなかっただけに、羽生にとっては一気に押し出されたような敗戦だった。【山村英樹】

 佐藤八段の話 封じ手の後、具体的な手順がわからなかった。6四歩(66手目)の局面でいくつか手段を考え、本譜のように飛を8筋に回る感じでどうかなと思った。第5局以降も一局一局が大変な戦いになる。

 羽生名人の話 1日目から、あまり指す手のない形になってしまい、つまらなかった気がする。2日目は、玉頭に傷も残り、ずっと悪いと思っていた。6四歩(66手目)からは適当な手がなかった。自爆気味でした。

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