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定期的な運動でリスクが低下する13種類のがん、大規模レビューで示唆

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2016年05月26日 AM10:00

運動で13種類のがんのリスクが低減

運動によって多くのがんのリスクが有意に低減する可能性が、大規模なレビューで示唆された。週に2~3時間の運動をするだけでも、、肺がんのリスクが低減するという。


画像提供HealthDay

さらに、がんリスクは運動時間が増えるほど際限なく低下し続けるようだと、研究の筆頭著者である米国立がん研究所のSteven Moore氏は述べている。ただし、運動とがんリスク低減の因果関係は明らかにされていない。

今回の研究では、定期的な運動が13種類のがんのリスク低減に関連しているとの結果が得られた。該当するその他のがんは、白血病、骨髄腫、、腎がん、、子宮内膜がん、、膀胱がん、

現行の連邦政府による運動ガイドラインは、週150分の中等度から強度の運動(早歩きやテニスなど)または75分の激しい運動(ジョギングや水泳など)とされている。これは心臓の健康を目的とするものだが、がん予防にも有用だとMoore氏は指摘している。

今回焦点を当てたのは、仕事や家事を除く余暇時間に、健康向上のために自主的に行う運動だ。著者らによると、米国成人の約半数は政府が推奨する最低限の運動時間を満たしていないという。

研究グループは、米国およびヨーロッパの12件の研究データを統合し、19~98歳の成人140万人のデータベースを作成。自己申告された運動の内容によって、26種類のがんのリスクに差がみられるかどうかを検討した。

検討したがんのうち、半数のリスク低減に運動との関連がみられ、多くは肥満や喫煙歴などの因子を考慮しても有意な低減が認められた。がんリスクは全体で7%低減し、リスク低減の範囲は42%(食道がん)から10%(乳がん)に及んだ。大腸がんと肺がんは、それぞれ16%、26%低減した。この知見は「 Internal Medicine」オンライン版に5月16日掲載された。

「今回、運動ががん予防に役立つ理由は明らかにしていないが、運動をするとさまざまながんとの関連が認められているホルモンの値が低下するほか、インスリンおよびインスリン様増殖因子の値も制御される」とMoore氏は話す。

付随論説の著者の1人である米ノースカロライナ大学(チャペルヒル)教授のMarilie Gammon氏は、「運動する人の細胞は酸化ストレスを受けにくく、DNA損傷を修復する能力も高い。食道がんをはじめとする致死率の高いがんに大幅なリスク低減が認められたことは非常に喜ばしい」と説明している。(HealthDay News 2016年5月16日)

▼外部リンク
Exercise May Cut Risk of 13 Cancers, Study Suggests

HealthDay
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