2016年5月25日、Zepp Tokyoにて、小沢健二「魔法的」ツアー初日の公演がありました。
いろいろ書きたいこと、語りたいことは山ほどあるのですが、取り急ぎ、セットリスト(ナタリーの記事より引用)に沿って備忘録的に初日の感想を書きたいと思います。
ネタバレ全開ですのでどうかご注意を。
01. 昨日と今日
「10,9,8,7,6,5,4,3,2,1」のカウントダウンから、ステージに幕がかかったままでのスタート。原曲よりずっとテンポアップして、ひたすらに「かっこいい」アレンジでした。このアレンジにより、「今回のライブはこういうテンションでいきます」と一発で理解できる出だし。
「ああー、ああ、ああー、ああ」の部分だけライトアップして、幕越しにステージが見えて大歓声。毎度のことながら、こういう演出はほんとうに震えますね。
02. フクロウの声が聞こえる(新曲)
ステージに幕がかかったまま、その幕に、曲名と歌詞が順番に映し出されます。
一通りの歌詞が映されてから「魔法的」ロゴが出て演奏開始。
モノローグ無しで新曲をたくさんやる、って情報を聞いていたので「これが新曲かな?」とわかりましたが、さっぱりわからず戸惑った人も多そうです。
「お父さんが言う」とか「熊のぬいぐるみを抱いて寝る」とか、子育てを想起させるフレーズが多いです。この曲に限らず、今回の新曲の多くに通して言える特徴ですね。特に後者からは、母・小沢牧子さんのエッセイに書かれた「どんどん」のエピソードを連想しました(こちらは象だけど)。
最初のサビのところだったか、それまでずっと張られたままだった幕がバッと落ちたのですが、落ちたスクリーンが小沢さんのマイクスタンドに引っかかってしまいました。これは、狙い通りだったのか、それとも小さなアクシデントだったのか。
03. シナモン(都市と家庭)(新曲)
こちらもイントロで歌詞がすべて映し出されたのですが、「スーパーヒーローに変身」とか「フッフッフ」とか、ぎょっとするフレーズが含まれていたため、客席からどよめきが起こっていました。
「シナモンダンス」(勝手に命名) が見所。
小沢さんがアウトロで仮面ライダー的な変身ポーズを決めていたのも印象的でした。
そういえば、この曲の間奏でメンバー紹介があったのかな? 下手(客席から向かって左)の白根さん(Dr)から、時計回りに。みなさん、それぞれの変身ポーズ的なものをキメていました。メンバー紹介の最後に「お久しぶりです、小沢健二です」で大歓声。
04. ホテルと嵐
まさかの「球体」曲です。
イントロで、もう大いにざわつきましたね。
新曲の場合、演奏が始まる前か始まると同時くらいのタイミングでスクリーンに曲名が映し出されます。つまり逆に言えば、曲が始まっても曲名が映し出されない場合、「次はみなさんお馴染みの曲」という意味です(ただし大胆にアレンジされているので、イントロの時点では「この曲なんだろう?」となる)。
「球体」と今回のバンドとでは楽器の構成が異なるので、アレンジも大いに変わっていました。
「やがて誰の体も~」のギター掻き鳴らしが圧巻。
05. 大人になれば
「球体」から2連発! ひふみよでも東京の街が奏でるでも、「球体」曲はまったくやらなかったのに!
原曲にもある、終盤の「たらっ、たらっ、たらーったった…」のくだりを観客に合唱させる無茶ぶりがありましたので(しかも3往復くらい)、みなさん予習しておいたほうが良いと思います。
この曲が終わったあと、客席からの「小沢ー!」「小沢くーん!」コールの中に「大人っ!」って言ってる人がいて笑いました。
06. 涙は透明な血なのか?(サメが来ないうちに)(新曲)
「サメダンス」(勝手に命名)が見所。というか踊り所。みなさん、恥ずかしがらず、周りの人に迷惑をかけない範囲で、大いに踊ったほうが絶対に楽しいです。
07. 1つの魔法(終わりのない愛しさを与え)
セトリに一曲は必ず入ってくる「Eclectic」曲。ツアータイトルがツアータイトルだけに、今回はやはりこの曲でした。
「パパラッパ、パパラッパ……」のパートはバンドメンバー(木暮さんやキタローさんなど)が担当。
「ああ 風と光があなたに恵むように…」のパートが省略されていたような気がします(少なくとも、原曲みたいな感じではなかったと思う)。
08. それはちょっと
ステージに並んだ楽器の中でも、ひときわ目を引くのが「チューブラーベル」(要は、のど自慢の採点のアレ)。どこで使うのかな、と思ったら、この曲のサビでした。
サビはみんなで大合唱。楽しい! 大サビは2回繰り返しましたね。
09. ドアをノックするのは誰だ?
小沢さんの「次の曲は白根くんのドラムと僕のギターだけで始まります」の言葉とともにスタート。ドラムとギターが複雑に絡み合うイントロ。どの曲だろう、と思った矢先に、「ワン、リトル、キス……」と歌い出して、客席から歓声。
もちろんドアノックダンスは健在です。
10. 流動体について(新曲)
すごく格好良い曲でした。歌詞がまた良かった……。この曲と次の「超越者たち」は本当に格好良くて、一目ぼれならぬ一耳ぼれ(?)をしました。
歌に合わせて歌詞が映し出されていたと思うので、できるだけ(口パクで)合唱しながら聴きたいですね。
11. さよならなんて云えないよ
今回はイントロのギターリフ(Black or Whiteからの引用のアレ)が健在でした。木暮さんがバッチリと。ひふみよでは省略されていた「おっべいびー」もバッチリと。サビは大合唱でした。
新曲を真剣に聴き入りつつ、お馴染みの楽しい曲では爆発するように大合唱する。その緩急のつけ方がまた素晴らしいセットリストだと思います。
12. 強い気持ち・強い愛
「さよならなんて云えないよ」からノンストップで。
「Stand up, ダンスをしたいのは誰?」のくだりはイントロでも間奏でも無し。
もちろん盛大に大合唱です。
小沢さんはこの曲の途中でちょっとだけギターを下ろして歌っていましたが、逆にそれ以外は、ずーっと終始ギターを弾きまくっていました。
13. 超越者たち(新曲)
この曲も良かった。
唄と同時に歌詞が映されていたタイプの新曲なのですが、途中で「(そう)」とか合いの手を入れるところがありました。見よう見まねで声を上げてみたら楽しかったので、皆さまもぜひ。
-14. 天使たちのシーン
かなり大々的にアレンジ。
「ひふみよ」の時もボーカルの譜割りやメロディが大きく変わっていましたが、今回はまた全く違うアレンジでした。
フルでは演奏せず、前半だけで、そのままノンストップで次の曲へ。
15. 飛行する君と僕のために(新曲)
ロングジョンのテーマ曲。1月の朗読会の時点で既に曲名が明らかになっていましたね。
PAのバランスのせいか、歌詞があまり聞き取れなかったのが残念でした。歌詞自体はイントロの段階で全部スクリーンに映されていて、すごく良かったのですが……。
16. ラブリー
「飛行する君と僕のために」からノンストップだったかな?
歌詞は「LIFE IS COMIN’ BACK」と「完璧な絵に似た」の組み合わせでした。「東京の街が奏でる」の時と同じですね。
もちろん盛大に僕ら手を叩き、盛大に合唱。
途中、間奏の最中にもかかわらず、小沢さんが観客に「歌って歌って!」的なジェスチャーをしたので、みんな「何を歌えば……?」と困惑。そこで小沢さんが取ったジェスチャーが、フルートを吹くポーズ。「フルートを歌って!」とのこと。みんな笑いながら無茶ぶりに応えました。
17. その時、愛(新曲)
「ラブリー」終わりで大歓声が上がるなか、「次の曲も初めて人前でやるんですが、この歌詞を覚えて、できれば一緒に歌ってほしいです」との言葉とともに(サビの?)歌詞が映し出されたのですが……この歌詞が長い! 客席から「覚えきれない」と小声で悲鳴が上がっていました。
ただ、「覚えて」と言われた箇所は曲中で3,4回出てきますし歌詞も投影されているので、(そらで歌うのは難しくても)僕は最終的にはけっこう歌えるようになっていました。
歌えば歌うほど、そのフレーズが好きになってきます。身体に馴染んでくるというか。小沢さんの作品って、元々そういう曲が多いですよね。口ずさむほどに好きになる。
この曲もダンスがあります。そのダンスがまた、とんでもない……。ぎょっとすること間違いなし。
そして、歌詞に「凛々しい音」というフレーズがありました。凛々しい音。凛音。ご長男のお名前ですね。その仕掛けに気付いてから歌詞を目で追うと、父から子へのメッセージのように読めます。いつの日か、この歌詞に込められた想いが、成長した息子へ届く日が来るのでしょう。そう考えながら聴いていたら、目頭が熱くなりました。
<アンコール>
18. シナモン(都市と家庭)~フクロウの声が聞こえる(新曲)
アンコールは、「シナモン」からの、「新曲振り返りコーナー」がありました。
今回は振り付けのある曲が多いので、「そうだそうだこんな踊りをしたっけ」と笑いながら振り返る、楽しいコーナー。
そして、最後にまた「フクロウの声が聞こえる」。
この曲、ライブ序盤で最初に聞いた段階では耳に馴染まず戸惑いがあったのですが、ライブ全体を通して(さらに振り返りコーナーで復習までして)聴いた上でまたこの「フクロウ」へ帰ってくると、今回の一連の新曲のテーマというか、聴きどころというか、そういったものがじわじわと伝わってきますね。
このライブでは何度かカウントダウンがありました。
「それでは、本日最後のカウントダウンです。5,4,3,2,1……日常に、帰ろう」
ステージの照明がふっと消えて、みなさん退場。
(正直、このカウントダウンからもう一つくらいお馴染みの曲が来るんじゃないかと思ったので、物足りなさはありましたが)とてもスマートな閉幕でした。
取り急ぎ以上です。かなりラフな内容になっているので、後ほど読み返して、いろいろ直したり書き足したりすると思います。
「ここが違うよ!」みたいな箇所があればTwitterにてお教えいただけると幸いです。