日本の科学者の代表機関である日本学術会議(会長、大西隆・豊橋技術科学大学学長)は26日、安全保障に関わる科学研究のあり方を検討する「安全保障と学術に関する検討委員会」を設けたと発表した。軍事と民生に応用できるデュアルユース(両用)技術の研究を認めるかどうかなどを議論する。軍事技術研究への関与を長く自制してきた学術界が、方針を転換する可能性が出てきた。
検討委の委員は大西会長、向井千秋副会長(東京理科大学特任副学長)、山極寿一京都大学学長ら15人。2017年9月をメドに結論をまとめる。
日本学術会議は1950年と67年に、戦争目的の科学研究に関与しないとの趣旨の声明を出している。その後、社会状況が変化し、2015年からは防衛省が基礎研究に資金を配分する「安全保障技術研究推進制度」を始めている。日本の研究者が軍事関連技術にどう向き合えばいいのかを改めて議論することにした。
26日に記者会見した大西会長は「過去に声明を出した当時と比べて、軍事と学術が各方面で接近している。安全保障と学術のあるべき関係を議論する必要がある」と述べた。